「ビーチコーミング」をご存知でしょうか。ビーチコーミングとは、海岸に打ち寄せられた貝殻、シーグラス、木の実、流木などの漂着物を観察したり、集めてハンドメイドを楽しんだりするものです。今回は、ビーチコーミングの魅力とおすすめのスポットを紹介します。
海のきれいな漂着物を探す「ビーチコーミング」
ビーチコーミングは海岸や浜辺に打ち寄せられた漂着物を観察したり、集めたりするレクリエーションのことで、最近人気のアクティビティのひとつです。ここではビーチコーミングの魅力を4つ紹介します。
お金を掛けずに気軽に楽しめる
ビーチコーミングは基本的に漂着物を採集するだけなので、お金は不要。DIYをする際に他の道具や素材を購入する以外、費用がかからないのは大きな魅力です。
季節関係なく楽しめる
海に入るわけではないので、オールシーズン楽しめます。とくにおすすめのシーズンは、台風が到来する秋、寒さに対応できなかった貝殻が打ち上げられやすい冬から春です。海水浴客が少ない時期に、のんびりと楽しめるのも魅力といえます。
子供も安心して遊べる
ビーチコーミングは水中に入りません。そのため、溺れたり悪天候や気温の変化で体調を崩す心配がないので、幅広い年齢の方が安心して遊べます。
アクセサリーやインテリアを作れる
ビーチコーミングの楽しみは、漂着物を見つけるだけではありません。見つけた漂着物を使って、世界でひとつだけのアクセサリーやインテリア作りが楽しめます。
どんな漂着物が見つかる?
浜辺には、さまざまな漂着物が打ち寄せられています。漂着物はエリアによって異なりますが、ビーチコーミングで採集できる主なアイテムは次のとおりです。
貝殻
タカラガイ、サクラガイ、ナミマガシワガイなどは比較的見つけやすく、ビーチコーミングで人気のあるアイテムです。きれいな貝殻は見て楽しむだけでなく、加工するとアクセサリーやインテリアとしても映えます。
シーグラス
シーグラスはガラスの破片ですが、波にもまれて丸みを帯びた形になり、曇りガラスのようになっているのが特徴です。色によって見つけやすさは異なり、緑、透明、茶色、水色は比較的見つけやすい色です。レアな色は灰色、紫、赤、黒など。オレンジ色はもっとも珍しく、見つけられる割合は10,000個に1個ぐらいといわれています。
さらに珍しいのが「ウランガラス」です。「ウランガラス」は紫外線をあてると緑色の蛍光を発するガラスで、現在は製造されていません。ビーチコーミングでは、骨董品やアンティーク品として高値で取引されている「ウランガラス」が見つかることもあります。
陶器や土器の破片
陶器や土器の破片を見つけられることがあります。なかには年代ものもあり、ものによっては昭和初期や江戸時代以前のものや、ときには縄文時代の土器の破片が見つかることも。
流木
浜辺では、さまざまなサイズの流木が見つけられます。流木は小さいものは水槽のデコレーションに。大きなものはオーナメントやインテリアに利用可能。中には、インターネットやフリーマーケットで販売する人もいます。
ただし、オーナメントやインテリアとして使う場合は、下処理やアク抜き、適切な管理も必要になります。
木の実
熱帯植物のなかには、海流散布植物というものがあります。それらの植物は浮力のある実をつけて海流を利用、分布を広げます。
ビーチコーミングでは、海流散布植物の木の実がよく見つかるのが特徴です。おもな木の実の種類には、シナアブラギリ、テリハボク、ニッパヤシ、モダマ、シロツブなどがあります。
ビーチコーミングに必要なアイテム
本来は海で漂着物を見つけるだけなので、とくに必要なアイテムはありません。安全に楽しんだり、きれいな漂着物を壊さずに集めるために、以下のアイテムを持っていきましょう。
帽子
日差しが強い季節は、熱射病や日射病になる恐れがあります。帽子を選ぶときは、UVカット素材で速乾性に優れたもの、風で飛ばされないようにゴムや紐がついているものがおすすめです。
軍手
漂着物のなかにはガラスの破片などもあり、掴んだ拍子に手を切る恐れがあります。軍手は種類が豊富なので、季節に合わせて厚みのあるものを選んだり、掴みやすいように滑り止めがついているものを選ぶと作業がしやすいでしょう。
靴
間違ってガラスの破片や尖ったものを踏んでケガをしないように、靴を履きましょう。浜辺を歩いていると、波や雨で濡れることもあります。履いたまま水に入ることができ、速乾性に優れたマリンシューズがおすすめです。
タオル
汗を拭いたり、濡れたときのために、タオルを用意しましょう。暑い時期、首に巻いておくと、日焼け防止にもなります。
雨具
天候が変わりやすい時期は、折りたたみ傘が必要です。小雨で作業を続けるの場合は、雨ガッパがおすすめです。
ジップ付きビニール袋やタッパー
集めたものを種類ごとに分けて持ち帰ると、あとで整理がしやすいです。小分けにはジップ付きビニール袋が便利ですが、壊れやすいものは蓋付きのタッパーに入れると安心です。
ゴミ袋
浜辺にゴミ箱はありません。ゴミ袋を持ってきましょう。ビーチコーミングと並行してゴミ拾いもできます。
観察セット
本格的に漂着物を観察したいのであれば、図鑑、カメラ、ルーペ、ピンセットなどがあると現地で観察ができて便利です。
ビーチコーミングの注意点
マリンスポーツと比較すると危険が少ないのですが、いくつかの注意点があります。とくに、小さいお子さんと一緒に楽しむ場合は、ビーチコーミングの注意点をしっかり確認しておきましょう。
ガラスや陶器の破片に注意
ガラスや陶器の破片は、長時間波にもまれて角に丸みを帯びたものが多いですが、たまに鋭い破片のまま、浜辺に打ち上げられるものがあります。浜辺を歩くときは靴を履き、浜辺を掘り起こしたり漂着物を採集するときは軍手を必ず着用してください。
液体の入っている瓶はむやみに開けない
漂着物のなかには危険物もあり、液体が入った瓶の中身が化学薬品である可能性があります。化学薬品の瓶を開けると、気化したものを吸い込み、体に悪影響ががあることも。
ジュースや飲み物であれば、腐敗している可能性があります。傷口からバイ菌が入ったり、バイ菌のついた手で目や口を触ってしまう危険があるので、むやみに開けないほうが安全です。
海洋生物の死骸には触れない
浜辺には、海洋生物の死骸が打ち上げられます。海洋生物はビーチコーミングで採集するものではありませんが、子どもは興味本位で触りたがるので注意が必要です。種類によっては猛毒があったり、毒針を持っています。毒のない種類でも腐敗していることがあるので、触れないようにしましょう。
日射病や熱中症に注意
作業に夢中になると、天候の変化に気づかなかったり、朝は曇っていても日中は日差しが強くなったり、悪天候になったりすることがあります。帽子や雨具は必ず持っていき、暑い時期は水分補給も心掛けてください。
ビーチコーミングのおすすめスポット
漂着物を集めるだけなので、どこの浜辺でもビーチコーミングは可能ですが、お宝が見つけやすい場所を知っていれば、きれいな漂流物に出会える可能性がアップ。たくさん集まれば、それなりの達成感があります。ここでは、関東周辺のおすすめビーチコーミングスポットを紹介。ぜひ足を運んでみてください。
沖ノ島(館山)
千葉県では有名なビーチコーミングスポットです。定番のタカラガイや巻貝などの貝殻、シーグラスだけでなく、イルカの骨や馬の骨などの化石、縄文時代土器が見つかることもあります。
アクセス:館山駅東口からバス約12分→館山航空隊下車→徒歩約20分
三戸浜海岸(三浦半島)
漁村の風景が広がる情緒ある海岸で、ビーチコーミングが楽しめます。大きめのシーグラスとタカラガイがよく見つかるので、アクセサリーやインテリア加工の素材を見つけたい方におすすめです。
アクセス:京急三崎口駅→徒歩約20分
大浜海岸(西伊豆)
全長約500mもある西伊豆町最大級の海水浴場で、周辺にはスーパーやコンビニ、日帰り温泉があり、トイレ、シャワー設備も充実しているので丸一日遊べます。大浜海岸では、シーグラスや陶片の他、メノウや石英、レッドジャスパーなどの天然石も採集できます。
アクセス:伊豆急下田駅からバスで約50分
御前崎ロングビーチ(御前崎)
ウミガメの産卵場所として、国の天然記念物に指定されています。毎年8月の終わりに、ウミガメの赤ちゃんの放流を見学できるビーチです。日本の朝日百選・夕陽百選にも選ばれており、きれいな朝日や夕日を堪能しながらビーチコーミングが楽しめます。採集できるアイテムは、貝殻、流木、シーグラスなどです。
アクセス:JR菊川駅前からバス約38分→浜岡中学校前下車→御前崎海洋センター行きに乗り換え約28分→御前崎海洋センター下車徒歩約30分
浜名湖(浜松)
湖でも波が発生し、岸辺には漂着物が打ち上げられます。海水が入り込む浜名湖では、サクラガイなどの二枚貝やタマガイだけではなく、珍しい絶滅危惧種の貝殻が見つかることも。浜名湖は潮干狩りもでき、弁天島周辺では無料で潮干狩りをすることも可能です。
アクセス:JR浜松駅からバス約45分
まとめ
海は癒し効果があるといわれていますが、実際は人でいっぱいの海水浴やマリンスポーツのイメージが強く、気軽にいけない方もいるのではないでしょうか。ビーチコーミングは海水に入らないので、朝の早い時間や海水浴客がいないシーズンを選んでのんびり楽しめます。海が好きでお金のかからない楽しみを見つけたい方は、ビーチコーミングをはじめてみてはいかがでしょうか。
ビーチコーミングで拾える漂着物とは?貝殻やシーグラスを見つけよう