サーフィンは、「サーフボードの上に立って波に乗る」というシンプルなマリンスポーツ。しかし、それができるようになるには正しい道具選びから始まり、繰り返しの練習とトレーニングが必要です。今回は初心者が身につけたいサーフィンの基本知識をまとめて紹介します。
初めてのサーフィン!基本知識編
海に出る前に、まず知っておきたい基本知識をまとめて紹介します。
道具選び
サーフィンは、初心者の方がすぐにサーフボードで立てるようになるほど、簡単なスポーツではありません。例えば、サーフボードにおいて、もっとも難しいとされるショートボード。海に出かけて練習を重ねても、のべ10日以上は必要といわれています。
夏の間、週末だけ通ったとしても、秋を迎えるまでにショートボードで立てるかどうかといったイメージです。初心者が波に乗れるようになるまでには、まず準備として道具選びが大切。サーフィンには、サーフボードとウェットスーツの2つが最低限必要です。
サーフボードには、「ロングボード」「ショートボード」「その中間の長さのファンボード」の3種類あります。立てるまでの入水日数の目安は、ロングボードで1~3日程度、ファンボードで5日程度、ショートボードで10日程度です。
もちろん、この日数はあくまで目安にすぎません。スポーツ経験や身体能力などで、さらに短期間でサーフボードに立てる方がいれば、何日もかかる方もいます。
サーフィンではウェットスーツは大切なアイテム。水中での体温の低下を防ぐだけでなく、紫外線から肌を守ってくれます。水に入っても保温力があって動きやすいものがメーカーから市販されています。サーフィンをする時期や、サーフポイントの環境にあわせてセミドライやフルスーツ、シーガル、ロングスプリング、スプリング・タッパーなどを使い分けることがポイントです。
サーファーのルール
実際に、サーフポイントへ出かけたときのために、サーファーの以下のようなルールも覚えておきたいところです。
・ビーチでは、サーファーがいたらあいさつをかわす
・「ワンマンワンウェイブ」といい、一つの波には一人のサーファーだけが乗る
テクニック①パドリング
ここからは、サーフィンに必要な基本テクニックを一つずつ紹介します。まずは、パドリングについてです。
パドリングとは
パドリングは、サーフボードの上に腹ばいになり、海の上を移動するテクニックです。うつ伏せ、かつ寝そべった状態で両腕を使って水をかくため、初心者はバランスがうまく取れず、ぐらついたりサーフボードから落ちてしまうことがよくあります。
パドリングは、サーフィンの第一歩。うまくできるようにならなければ、海の上の移動はもちろん、乗りたい波をキャッチできません。基本のテクニックとして、プロやベテランでもパドリングの技術を向上させるため、トレーニングを重ねるほどです。
パドリングの基本的なポイント
パドリングの基本的なテクニックは、次の通りです。
1.身体の乗せ方は、サーフボードの中心に入っている補強材「ストリンガー」にあわせて腹ばいになります。このとき胸は軽く反らせて、視線は進行方向へ向けるのがコツです。
2.1の状態で姿勢のバランスが安定したら、両手でクロール泳ぎのイメージで水をかきます。ヒジは軽く曲げましょう。指先は、親指から人差し指の順番でやさしく水中に入れていきます。クロール動作のとき、みぞおちのあたりを意識するとバランスが取りやすいです。
3.パドリング中は、両脚はピッタリと閉じます。また、腕はサーフボードのノーズの先まで伸ばさず、サーフボードのすぐ脇を通すのが基本です。指は、自然に開きます。肩や腕に力が入りすぎると、バランスが取りづらく、距離が進みません。なめらかなクロール動作が理想です。
初心者でもわかりやすい!サーフィンのパドリングのテクニックを紹介
テクニック②ドルフィンスルー
ドルフィンスルーとは
ドルフィンスルーは、前方から押し寄せて来た波の下をトンネルのように通り、くぐり抜けるテクニックです。サーフボードと身体を一緒にして水中に潜るので、サーフボードや自分を水中に沈めるタイミングが重要になります。
水中で、やりすごす波のタイミングを意識するのが難しいポイント。サーフボードをどのように波の向こうに送り出すかで、スムーズに波の裏側に抜けられるかが決まります。
ドルフィンスルーの基本の動き
ドルフィンスルーの基本的なテクニックは、次のようなイメージです。
1.ドルフィンスルーの前は、波に対する推進力をつけるため、勢いをつけたパドリングが必要です。力強いパドリングをしておくことで、水中に潜ったときの抵抗にも負けずに波をくぐり抜けられます。
2.前方の波のトップが崩れはじめたところを見計らい、パドリングをやめます。同時に、そのままの姿勢を保ったまま、サーフボードと自分を水中に突進。
3.ドルフィンスルーでくぐり抜ける波は、大きさや強さ、波の崩れるタイミングなど、そのときどきで千差万別です。波にあわせ、サーフボードや自分の身体を沈める角度、深さは異なります。
さらに、前もってパドリングの推進力を波にあわせることが必要です。実際の波で何度も練習を重ねましょう。
テクニック③テイクオフ
テイクオフとは
「ポップアップ」とも呼ばれる基本テクニックで、波に乗るときのタイミングのこと。サーフボードに寝そべった姿勢になり、パドリングで一気に勢いをつけ、波の勢いをキャッチしてサーフボードの上に立ち上がります。
ちょうど、飛行機でいうと離陸する瞬間の動きにあたります。加速をつけてしっかりとスタンディングした後は、ほどよいスタンスを保つのがコツです。
テイクオフの基本の動き
以下は、テイクオフの動きを練習する流れです。
1.パドリングをしながら乗りたい波と同じスピードにまで持っていきます。波のピークがやって来たタイミングをつかまえ、波と同じ速度になるようにパドリングの加速力を調整すること大切です。
2.パドリングをしながら、ピークのあたりで乗る波を待ちます。波を決めてピークに目線を向け、サーフボードの速度調整を意識したパドリングを継続。
3.パドリング中、波にサーフボードのテールが押し上げられたような感覚を意識することが重要です。このとき、掘れた波の場合は勢いよくデッキに立ち上がります。一方で、厚い波のときはいつもより多めのパドリングをして加速をつけながらボード上に立ち上がりましょう。
テクニック④ロングライディング
ロングライディングとは
「ロングライド」とも呼ばれていて、長い間波に乗りつづける動きを指します。波の勢いを見極めて、ロングライディングに適した波を選べれば、長時間乗りつづけられるもの。波に乗りつづける技術より、波を選ぶ目を養うまでに時間がかかるかもしれません。
ロングライディングの動きの流れ
ロングライディングをするときのポイントです。
1.テイクアウトをするとき、長いライディングができる波を目線で追って探します。テイクアウトの動きに慣れていなければ、目線が1点に集中していたり、波のリップだけが気になり、波を選び損ねてしまうことも。そのため、テイクアウトのテクニックがベースです。
2.波を選ぶときは、ボトムと呼ばれる乗った後の行き着く場所を見据えることが重要です。テイクアウトの練習を重ねて、サーフィンのラインが見えるようになると、ロングライディングが自然にできるようになります。
初心者でもわかりやすい!ロングライディングのテクニックを紹介
テクニック⑤技
サーフィンの初心者の方があこがれる、波に対して横に進む動きをアップス&ダウンズといいます。
アップス&ダウンズとは
アップス&ダウンズは、波のトップからすべり降りる動きと、ボトムターンを繰り返してスピードを上げていく動きの2つをあわせたテクニックです。波のトップとボトムには、パワーゾーンと呼ばれるエリアがあります。この2つのパワーゾーンを行ったり来たりすることで、ロングライドが可能に。波のブレイクにあわせて横に動くような乗り方でできるのが特徴です。
アップス&ダウンズの動きの流れ
1.テイクオフをし、次の波のボトムをキャッチしながらすべります。波のトップからボトムに向かってすべり降りるスピードを生かすことで、ボトムからの立ち上がりがスムーズに。
2.目線は、ボトムゾーンを意識しましょう。前方の波の半分から下あたりが目安です。
3.ボトムターンを繰り返すときのコツは、動きを抑えてスムーズな乗り方を心がけることが大切です。後ろ足は、前寄りにしたスタンスを維持します。
まとめ
サーフィン初心者の方であれば、ベテランのサーファーの波乗りに近づくために、まず基本知識やルールを学ぶことが大切です。また、サーフィンの上達は、なんといっても何回海で波に乗って練習したかにかかっています。特に、パドリングやテイクオフは基本中の基本。
それだけに、ある程度のところで満足するのではなく、次のステップに上がるためにもテクニックを磨きつづけることが重要です。ぜひ、サーフポイントに通って実際に波と格闘しながら、サーフィンテクニックを身体で覚えさせていきましょう。