サーフィン初心者はロングボードのほうがよいと考える方もいるかもしれません。ロングボードに浮力と安定性があるのは事実ですが、サーフィンは「ロングボードから始めるもの」という考え方は必ずしも正しい訳ではありません。
本記事では、ロングボードとショートボードの違いを詳しく解説していきます。
ロングボードとショートボードのサイズの違い
名前を見れば、ロングボードとショートボードのどちらのサイズが大きいかがすぐ分かります。しかし、どれくらいサイズの違いがあるのか、知らない方も多いのではないでしょうか。サーフボードはサイズによって適正体重が変わってくるので、サーフボードを購入する際はその点も理解しておくことが必要です。
ここではロングボードとショートボードのそれぞれのサイズと適正体重を紹介します。
ロングボードのサイズ
サーフボートの長さが9フィート(約274cm)以上のものがロングボードに分類され、長いものになると11フィートもあり、長さも約335cmにもおよびます。
ロングボードのなかでも小さいサイズの9フィートのサーフボード(幅が56cm、厚み 6.9cm)の場合、サーファーの適正体重は初心者で約85kg、経験者であれば95kgぐらいまで対応可能です。
ショートボードのサイズ
通常6~6.5フィート(約183cm)以下のサイズのサーフボードはショートボードに分類されます。ショートボードのサイズとそれぞれのおおよその適正体重は次のとおりです。
長さ:6’5(195.6cm)
幅:48.3cm
厚み:6.35cm
適正体重:初心者70kg、経験者80kg
長さ:6’3(190.5cm)
幅:48.3cm
厚み:6.03cm
適正体重:初心者65kg、経験者75kg
長さ:6’0(183cm)
幅:47.6cm
厚み:6.03cm
適正体重:初心者60kg、経験者70kg
長さ:5’11(180cm)
幅:9.2cm厚み:5.87cm
適正体重:初心者60kg、経験者70kg
サーフボードのサイズを選ぶときのポイント
また、サーフボードのサイズを選ぶときは以下の点を参考に選んでみてください。
・長さ:身長と適正体重をもとに選ぶ
・幅:安定性を求めるなら広め、細かい動きをしたいのなら狭め
・厚み:浮力を高めるなら厚め、スピードを出したいなら薄め
ロングボードとショートボードの違いとは?
ロングボードとショートボードの違いは、サイズだけの違いではありません。ここでは、ロングボードとショートボードの違いを5つ紹介します。
機能性の違い
ショートボードはロングボードよりも方向転換がしやすく、機敏な動きが得意です。「ロングボード」でスピードをアップさせるためには、パワーのある波を待たなくてはいけませんが、「ショートボード」ならターンを繰り返すことで加速します。
安定性の違い
ロングボードはサイズが大きく幅もあるため浮力が大きく安定しているので、初心者もテイクオフしやすいです。ショートボードはサイズが小さく不安定なだけではなく、沖にも流されやすいデメリットがあります。また、サーフボードを操作しやすい反面、浮力が少なくバランスがとりにくいため転倒することも多いです。
ライディング(ボートに乗って波に乗る)の違い
ロングボードはいったん立ち上がれば、なにもしなくてもスピードを維持しながら直進するので、基本的には直線的なライディングになります。ショートボードは軽量のためテクニックを使って巧みに操ることができるのが特徴。アグレッシブなライディングが楽しめます。
乗る波の違い
ショートボードはそもそも波がないとサーフィンができないですし、トップアクションをするためには、それぞれに適した波を見極めることが重要です。一方、ロングボードは、パワーのない小さな波でもゆったりとサーフィンが楽しめます。
競技でのルールの違い
サーフィンルールは大会によって変わることもありますが、基本的にロングボードとショートボードでは採点方法が異なります。ロングボードの競技では、ロングボード特有の技やスピードをコントロールするテクニックを採点します。動きが大きかったり、波に対してよいポジションをキープできると、点数がプラスされるルールです。
ショートボードの競技ではトップアクションを採点します。パワーのある波で大きなターンや空中へジャンプするエアーリバースを成功させると、高得点が得られます。
サーフィンをするときに必要な道具の違いとは?
サーフィンをするときにはサーフボードの他に関連道具も必要になりますが、ロングボードとショートボードではそろえるものが異なります。ロングボードとショートボードで異なる関連道具には次のようなものがあります。
フィン
フィンはロングボードにはロングボード専用のフィン、ショートボードにはショートボード専用のフィンを購入します。ロングボードのフィンの種類は、フィンが1本のシングルフィン、フィンが3本の「スタビライザー」です。
ショートボードのフィンの種類には、フィンが2本の「ツインフィン」、フィンが3本の「トライフィン」、フィンが4本の「クワッドフィン」があります。
リーシュコード
リーシュコードはサーフボードが遠くに流されないように、体とサーフボードを繋げておくためのコードです。繋げておくだけのアイテムですから、ロングボードとショートボード兼用で使えそうですが、これもそれぞれ用意する必要があります。
ロングボードは長さがあるだけでなく、サーフボードのうえを歩くこともあるので、リーシュコードも長さが必要です。ロングボード用のリーシュコードは9フィート、ショートボード用は6フィートで、約91cmの違いがあります。
ウェットスーツ
ショートボードを使ったサーフィンはさまざまなアクションをするため、ショートボード用のウェットスーツも動きやすいように設計されていて、激しい衝撃にも対応できるようにバックジップやジップレスのものが多いです。
ロングボードではアクションをおこなわないので、ロングボード用のウェットスーツはデザインがスタイリッシュでフロントジップのため重ね着ができます。
デッキパッド
ロングボードはワックスで十分ですが、ショートボードは激しい動きをするので滑り止め効果の高いデッキパットが必要です。
サーフボードケースやラック
サーフボードのサイズが異なるので、ボードのサイズを確認した上で購入する必要があります。
サーフィン初心者はロングボートから?ショートボードから?
一般的にロングボードはショートボードよりも安定していて、テイクオフしやすいです。サーフィン初心者はロングボードから始めたほうがよいと考えられていますが、これは必ずしも正しいとは限りません。 ここでは、サーフィン初心者が必ずしもロングボードから始める必要がない理由を3つ紹介します。
ロングボードとショートボードはテクニックが異なる
前項で説明したように、ロングボードとショートボードにはさまざまな違いがあるため、全く別ものと考えましょう。ロングボードで必要となるテクニックと、ショートボードで必要となるテクニックは違います。ロングボードのライディングが完璧だからといって、ショートボードも同じようにいくかというとそうはいきません。
ロングボードの知識が上達の妨げになる可能性もある
ロングボードとショートボードでは、スピードの出し方やサーフボードの動かし方が違います。下手にロングボードの知識があると、ショートボードでもその癖が抜けきらず、それが原因でショートボードの上達が難しくなる可能性があります。
そのため、ショートボードに乗りたいという意思があるのであれば、最初からショートボードで練習をしたほうがよいでしょう。ショートボードは難しいといわれていますが、初心者用のショートボードを選べば習得しやすくなります。
余計な費用をかけることになる
ロングボード用にそろえた関連道具はショートボードには向かないので、新たに買いそろえる必要があります。サーフボードだけでも10万円以上することもあります。単なる手始めとしてロングボードにお金を使うのはもったいないです。
最終的にはショートボードを真剣にやりたいのであれば、ショートボードのみにお金を使ったほうが経済的でしょう。
まとめ
ショートボードはロングボードと比較してテイクオフがしづらいのは事実ですが、練習を重ねることでだれでもサーフィンが楽しめます。ロングボードとショートボードのどちらにするかお悩みの方は、この情報を参考に自分に合ったサーフィンのスタイルを選んでみてください。