サーフィンは、サーフボードの上に立って、バランスをとりながら、波のうねりに乗って楽しむウォータースポーツです。この波のコンディションに大きく関係する「オンショア」について解説していきます。コンディションが悪いといわれるオンショアの波に慣れておけば、通常の波での上達も早くなるでしょう。
オンショアとは?
まず、オンショアとはいったい何かを説明していきます。
オンショアは岸へ吹く風
オンショアとは、簡単にいうと「海の方から海岸、ビーチの方に向かってくる風」のこと。台風が発生しやすい夏の時期に起こる現象です。
オンショアの風は波を崩してしまうので、うまく波に乗れなくなります。乗れたとしても、長く乗れないことがほとんど。サーフィンをするコンディションとしては、かなり悪条件といえるでしょう。
またオンショアになると、海岸から海に向かう際に風に押し返されてしまうため、ゲット(サーファーが岸から沖に出ること)もとても難しくなります。
サイドショアとの違い
サーフィンをしていると、オンショア以外にも「サイドショア」という言葉をよく耳にするでしょう。サイドショアとは、海岸やビーチの左右から吹いてくる風のことです。サイドショアはオンショアほど大きな影響はありません。
しかし、サイドショアの風が吹くと、波の流れが強くなることがあります。そうなると、その方向にサーファーは流されやすくなってしまいます。一定のブレイクポイントにとどまるために常にパドルをする必要がでてくるため、体力がかなり削られます。
また、サイドショアでもかなり強い風の場合はオンショアのように波が崩れてしまうので、サーフィンに適した波とはいえません。
サーフィンをする上では、オンショアとサイドショアという風があることと、それらの違いをしっかり理解して波のコンディションを察知することが重要です。
オンショアの波はなぜ乗りにくい?
次に、オンショアの波はなぜ乗りにくいのかについて詳しく説明していきます。
波が掘れない
オンショアでは、テイクオフできなくなることがよくあります。原因は、風で波のトップが崩されて、波がブレイクしたように勘違いしてしまうためです。
通常のブレイクは波が盛り上がり、その形を維持できなくなった時に波が崩れて打破します。このように、大きな水のカタマリが崩れるので大きなパワーが出ます。
しかし、オンショアの場合は砕破する前に波を崩してしまいます。つまり、波が小さくてパワーが弱いうえに、波のトップが崩れるので、簡単にテイクオフができなくなるのです。このように、オンショアで崩れた波ではテイクオフが困難といえるでしょう。
波が消えやすい
オンショアの風により波が崩れやすくなり、グチャグチャの波になることで、波と波が重なり合って消えて、長く乗れない波になってしまいます。
波が厚くなりやすい
オンショアの場合は、波が厚くなりすぎる傾向にあります。たとえロングボードであっても、推進力を失ってしまうことも珍しくありません。こうなるとショートボードでは、テイクオフするパワーさえ得られないこともあるでしょう。
波の予測がしにくい
オンショアの風の影響を受けた波は変化が激しく、速くなっています。規則正しく崩れないので、予測が困難になるでしょう。また波と波が干渉し合い、気づいたら波が消滅していることもあります。
初心者だけでなく、ある程度の技術をもったサーファーでも、オンショアの影響を受けた波を乗りこなすのは困難といわれています。
オンショアのメリットとは?オンショアでできる練習について解説
オンショアには悪いイメージを持ってしまいがちですが、オンショアの中にもメリットはあります。ここでは、オンショアのメリットと、オンショアでできるおすすめの練習について説明していきます。
人が少ない
オンショアの波を乗りこなすのはとても難しく、腕のあるサーファーでも困難です。そのため、中級者でもオンショアを避ける傾向があります。しかし、その分ビーチにはサーファーが少なくなり、練習がしやすい環境になることが多いでしょう。
オンショアでできる練習
オンショアの波で、あまり気分がのらないこともあるでしょう。しかし、オンショアでも練習できることはたくさんあります。ぜひ参考にして練習をしてみてください。
- パドリングの練習
オンショアであれ、どんな波であれ、パドリングをすることは可能です。むしろ波が崩れて安定していない方が、よいパドリングの練習になるでしょう。バランスを取りながら、力いっぱいパドリングすることになるので、パワーとバランスを高める練習ができます。
そこでしっかりと安定したパドリングができるようになれば、普通のコンディションの時には余裕で安定したパドリングができるようになります。オンショアの波のときは、パドリングの練習時間にあてるとよいでしょう。
- ドルフィンスルーの練習
オンショアの時は波数も比較的多いため、波の下をくぐるドルフィンスルーの練習にはもってこいの環境です。
スープ(波が割れてできる白い波)を何回もくぐるような練習ができるため、苦手克服に最適です。初心者の方でドルフィンスルーが苦手という方は、ぜひチャレンジしてみましょう。
オンショアの波に乗るには
オンショアの波は腕のあるサーファーでも困難なため、乗り方や方法がとても重要になってきます。どうすればオンショアの波にうまく乗れるのか説明していきます。
まずは波を観察する
まずは、波をしっかり観察しましょう。オンショアの時は、パワーのある波を探すことがとても重要です。
しかし初心者だと、どの波が良いのか分かりづらいかもしれません。そんな時には波のボトムに注目しましょう。少し経験が必要ですが、数を重ねれば厚めの波を判断できます。
波のピークを見極めてテイクオフ
オンショアの時はパワーがない状態でピークが崩れてしまい、テイクオフがとても難しくなります。そのため、ピークをしっかり見極めることが重要です。
ボトム面を使う
基本的にオンショア時には、パワーがなく、厚めの波が多く発生します。テイクオフ後に厚めの波が来たら、ボトムを水面に押し付けましょう。海中のうねりのパワーを利用して推進力にすることが大切です。こうしたオンショアならではの波の乗り方を覚えておくと、練習がはかどります。
波が重なって揺れるところを狙う
オンショアの風の影響を受けた波は変化が激しく、しかも速いため、予測が困難ですが、狙いを定めるポイントがあります。それは角度のある波の斜面。このポイントであれば、基本的には波が重なり掘れた波になっています。
まとめ
ビーチに向かって風が吹くオンショアでは、波が崩れて乗りにくくなります。しかしオンショアのときはサーファーが少なく練習しやすいので、オンショアの波に乗るコツを身に着け、オンショアでできる練習を取り入れるとよいでしょう。
オンショアの時のような悪条件で上達すれば、普通のコンディションが余裕になり、さらにサーフィンが楽しくなるでしょう。