サーフィンと季節風の関係って?安全のために基本的な知識を確認

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サーフィンの風といえば、オンショアやオフショアが思い浮かびますが、それだけではありません。そのため、シーズンごとに吹く風についても、良く知ることが大切です。ここでは、サーフィンをするうえで知っておきたい基礎知識、季節風との関係を紹介します。

サーフィンと風の関係

出典:Yeongsik Im / PIXTA

四方を海に囲まれた日本には、さまざまな風が吹き寄せます。そして、風によって作られる波もまた、多様です。最初にサーフィンと風の関係を見ていきます。

強風はサーフィンの大敵?

サーフィンをする際の風の強弱は、パフォーマンスに強く影響を与えます。基本的に、風がなければ、海から陸に向かって吹くオンショア、その逆のオフショアでも楽にサーフィンができます。

強風になればなるほど、思い通りのサーフィンが難しくなり、リスクも伴います。波の表面に細かな凹凸が生じている状態がチョッピー。さらに、凹凸が大きくなり、ガタガタの状態がバンピーです。バンピーになると、サーフィンに大きく影響します。

また、波の形が一定せずにグチャグチャの状態が、ジャンクです。オンショアやサイドオンショア、サイドショアで強風が吹くと、ジャンクの状態となる可能性が高まります。オフショアでは、風によるテイクオフが難しくなるだけではなく視界が悪くなって危険です。

ホームポイントは風も考慮

初心者で基本技術を十分に習得するまでは、練習場所を決めて行くようにしたほうが速く上達するといわれます。ホームポイントを決める際には、潮の流れや海底の状態などとともに、風の強さが比較的安定していることを考慮するのがおすすめです。

常に強い風が吹くポイントでは、基本的な動きの練習がうまく進められません。初心者が多く集まるポイントを探すと、いい場所が見つかります。

季節風とサーフィン

出典:Aon_Skynotlimit / PIXTA

四季がはっきりとしている日本では、シーズンにより吹く風も異なります。サーフィンと季節風の関連性を解説。

そもそも季節風とは?

夏と冬では、吹く風の向きが変わります。これが、季節風です。季節風が起こる原因は、陸と海の温度の差が大きな要因。もちろん、エリアによっても多少の違いはありますが、大きくは陸地と海水の温度の差と考えれば理解しやすいです。簡単にいうと、夏は地上が熱をためやすいので、温度が高くなり、冬は海水が冷えにくくなります。

・夏の温度:陸上>海水
・冬の温度:陸上<海水

温度が高いと表面の空気が上昇、それに従って温度の低いほうから空気が風となって移動します。これが、季節風のメカニズムです。日本は、太平洋と日本海に挟まれていますが、さらに日本海側の先には大陸があるため、影響を受けます。

この結果、夏には太平洋から南東季節風が、冬には大陸から北西季節風が吹き込んできます。

春~梅雨・秋雨時の各エリアの状況

天気情報や、ニュースでも話題になる春一番は、2~3月にかけて発生する低気圧が前線を伴いながら、日本海側を北上する際に吹く風のことです。南風に乗って温かい空気が日本に吹き込み、各地では、南もしくは南西の風が吹き荒れます。

強い風により海上ではうねりが発生しますが、特に太平洋側ではオンショアの大きな波が立つ傾向です。一方、日本海側は一部のエリアを除き、オフショアとなり波も穏やか。2~5月、10~12月ごろには、春一番の時期と似たような気圧配置になり、このときに同様の波が起こります。

梅雨前線は、日本上空に停滞するタイプの前線です。秋の長雨シーズンでも、同様の停滞型前線が発生し、前線の北側は北より、南側は南よりと風の向きが変わります。天気も前線の位置が上下するに従って、広い範囲で影響を受けて不安定になりがちです。

基本的に、前線が停滞していても南側にあるときは、全国的にあまり大きな波とはなりません。逆に、南海上の台風の波を、前線がブロックすることもあります。「前線が途切れる」「北上して陸地にかかる」といった場合や、前線が離れるときに、台風のうねりが到達する可能性も出てくるため、注意が必要です。

夏からは台風情報に注意!

近年は、海水温の上昇により、特大の台風の到来が多い傾向です。特に、日本近海の海水温が高い7~9月ごろの台風は勢力が強く、日本の南岸沿いに「台風スウェル」と呼ばれる強烈なうねりが発生します。

台風の進路は、「偏西風の強さ」「台風の位置関係」「高気圧の位置や勢力」によって複雑に変化する傾向です。また、台風によるうねりも、潮の流れや干満によって到達する状況が異なります。特に、日本海側では台風の進路や速度、大きさの変化などに注意が必要です。

「台風スウェル」は、通常のうねりとは違う特徴があります。特に、危険なのがフラットな波が続いているように見える中、時折入ってくる巨大なうねりです。こうした異常なうねりは、「おばけセット」「クリーンナップセット」と呼ばれています。

日ごろから見慣れているポイントからは、想像ができないほどのビッグウェーブになる可能性もあるでしょう。台風の季節には、気象情報の確認と、ポイントの状態について念入りにチェックが必要。台風シーズンには、サーファーの漂流事故が起こりがちです。

初心者のうちは、わずかなリスクでも回避するようにしてください。

サーフィンのベストシーズン

海に囲まれた日本では、一年中サーフィンに親しむことも可能です。しかし、自分の状態やサーフポイントを熟知する上級者ではない限り、避けるべきシーズンもあります。ここでは、初心者向きのベストシーズンについて解説。

日が長い夏はサーフィンのベストシーズン

サーフィンは、海水に浸かっている時間が長いため、海水温が低いとそれだけで体力を消耗しがちです。そうした意味でも、夏がサーフィンにベストマッチしているといえます。サーフィン中も、その前後も着こむ必要がないため、開放感があり、身軽なことも魅力です。

日照時間が長いため、朝から夕方まで長時間サーフィンを楽しめるので、冬に比べて体が動きやすく、その分ケガのリスクも低下します。地域は、太平洋高気圧の周囲から吹く風で良い波の発生しやすい太平洋側が特におすすめです。

太平洋高気圧が張り出しているため、台風もその周りを通過。台風がもたらす、適度なうねりが長く続き、サーフィンに最適な波をもたらします。

初心者が上達を目ざすなら秋シーズンもおすすめ

街角では、冷たい空気を感じるようになっても、サーフィンシーズンは終わりません。季節が変わり気温が下がっても、海水は急激に冷えることがなく、水中のほうが温かいこともあります。水は、空気よりも温まるのが遅く、真夏なのに海水が冷たく感じることもあるでしょう。

真夏に温められた海水は、秋になっても高い水温を保ち、11月中旬ごろまでこの状態が続きます。そのため、マリンスポーツや海水浴客の人出が落ち着く夏の終わりから、サーフィンを始めるのも一つの方法です。

秋は、風の向きが南から北へと変化する時期でもあり、サーフポイントの多い太平洋南側ではサーフィン向きのオフショアの日が多くなります。秋のサーフィンに向くポイントとしては、奄美大島や宮崎、高知、伊豆、湘南あたりがおすすめ。このあたりであれば、海水温が高く、秋にサーフィンを楽しめます。

まとめ

サーフィンでは、波が重要な要素ですが、その波をつくり出すのは風です。海に周囲を囲まれ、四季のある日本では、季節が変わるのに従って風の向きも変わります。気象状況によっては、危険性のある風が吹くことも多いため、サーフィンに関連する基本的な知識は不可欠です。

選ぶサーフポイントによっても違いはありますが、季節風により大きく環境が変化することも少なくありません。安全にサーフィンを楽しむためにも、季節の変化やその時々の気象情報に注意しながら、海に出かけることが大切です。

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