公道でスケボーはNG!ケース別に法律を解説。今後の課題とは

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「公道でスケボーに乗る」行為は法律で禁止されています。もし知らずに乗った場合、違反として厳しい罰則を受ける可能性があります。公道でスケボーをしてはいけない理由を法的観点から解説。スケボーに乗るなら知っておくべき法律をケース別に紹介します。

公道でスケボーをしてはいけない理由

公道でスケボーをしてはいけない理由は、法律で定められているからです。自動車や自転車のように、公道で走るためには「道路交通法」を守る必要があります。しかし法律の条文には、幅広く解釈できるような曖昧な表現を使用。違反の判断が難しいとされています。

道路交通法で禁止されている

道路交通法第76条4項に「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー、スケートをし、又はこれらに類する行為をすること」とあります。つまり公道での危険行為の禁止です。禁止行為違反となり3ヶ月以下の懲役、または5万円以下の罰金が課せられます。

「交通のひんぱんな道路」とは?

実は『「絶対に」公道でスケボーに乗ってはいけない』と断言できません。条文に「交通のひんぱんな道路」と非常に曖昧な表現が使用されているからです。車の交通量や歩行者数、道幅などの状況によって判断されます。

住宅地内にある自宅の横でスケボーに乗る程度であれば可能です。しかし同じ場所でも、時間や交通量の変化よって「交通のひんぱんな場所」に該当する可能性があります。スケボーに乗るたびに注意が必要です。

過去には違反で摘発された人もいる

公道での滑走が禁止されているとはいえ、スケボーは気軽に乗れてスピードの出る乗り物。毎年全国各地で違反する人がいます。やはり基準が曖昧なため、警察もなかなか摘発に踏み切れません。そのため何度か注意を受けた末の摘発であったり、事故後の余罪であったりする場合が多く報道されています。

その他の法律をケース別に紹介

法律はさまざまなケースを想定しており、人やモノに危害を加えた場合は相応の罪に問われます。スケボーに乗るなら知っておくべき法律について理解しましょう。今回紹介する法律は、シンプルなケースを想定して解説します。たとえば公道で以下の法律に違反した場合は、前述の「禁止行為違反」にも該当。実際は場所や被害の大きさにより、さらに罰則が重くなる可能性があるでしょう。

スケボー禁止区域で滑ったケース

刑法第130条の住居侵入罪が適用されます。3年以下の懲役、または10万円以下の罰金です。住居や管理された建造物が該当。駐車場や施設などでスケボーに乗ることを禁止しています。誰もいない公園や空きスペースでも、「スケボー禁止」の告知がある場合は違反に該当するため注意しましょう。

公共施設のモノを汚損破損したケース

刑法第261条の器物損壊罪が適用されます。3年以下の懲役、または30年以下の罰金です。スケボーの技は高く跳び上がるものが多く、着地の衝撃などで路面を傷つけます。タイル張りの路面では破損する恐れがあり、過去に被害報告もあるほどです。ほかにも階段の手すりや縁石などが障害物に利用され、被害を受けるケースがあります。

人にぶつかりケガさせたケース

刑法第209条の過失傷害罪が適用されます。30万円以下の罰金、または1,000円以上1万円未満の科料(とがりょう)です。スケボーも乗り物である以上、人に衝突する可能性があるでしょう。意図がなく、不注意でケガさせたため「過失」として扱われます。

人にぶつかり死亡させたケース

刑法第200条の過失致死罪が適用。50万円以下の罰金が課せられます。過失傷害罪と同じく、過失によって人を死亡させた場合に適用される罪です。懲役刑はなく罰金刑で罪を償います。

ちなみにスケボーのように反復、継続する行為は「業務」に該当。「業務上過失致死」が認められる場合があります。5年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金が課せられる重罪です。

電動スケボーで公道を滑走したケース

持ち運びの良さから、徐々に人気が出てきた電動スケボー。通勤に利用する人が現れるほど人気です。電動スケボーの多くは法律上「原動機付自転車」に該当。そのためさまざまな法律を守る必要があります。

電動スケボーで公道を走るには、

  • 保安部品の完備(ミラーや方向指示器など)
  • 運転免許証の携帯
  • 自賠責保険の加入
  • ナンバープレートの取り付け
  • ヘルメットの着用

などが必要です。それぞれに法律が設けられており、複数の罪に問われる可能性があります。もちろん飲酒運転や二人乗りも違反行為です。

▲電動スケートボードによる違反例

スケボートラブルが減らない理由

スケボートラブルが減らない理由はさまざまです。日本はスケボーができる場所が少ないにもかかわらず、スケーター人口が増加しています。さらにスケボーは海外発祥のスポーツ。アメリカ文化に強く影響を受けたスタイルは、日本の世間から受け入れられにくいことも理由です。それぞれ詳しく解説します。

スケボーができる場所が少ない

そもそも日本でスケボーができる場所は少数です。多くのスケーターが「近くにスケートパークがない」「滑りたくても滑れない」といった思いをしています。もどかしい感情を抑制できなかった一部のスケーターが、駐車場や公園、公道で滑るようになりました。

広く舗装された路面は、スケーターにとって絶好の場所でしょう。しかしあくまで公共の場所。施設の汚損や破損、衝突事故といったトラブルの可能性は非常に高いと考えられます。「自分は大丈夫」といった安易な考えは、スケボートラブルが減らない理由でしょう。

海外のストリートなイメージが影響

発祥国であるアメリカの文化が、日本のスケボー文化に強く影響しています。アメリカのスケボーとは、手軽な交通手段に使用されるほど世間から認められた存在です。「ストリートスタイル」と言われるように、街中のいたるところでスケボーに乗る人を目にするでしょう。アメリカのストリートスタイルに憧れ、影響を受けた日本のスケーターは非常に多くいます。

しかし日本の一般人からすると、アメリカのスケボー文化は受け入れにくい環境でしょう。法律や設備、考え方が根本から異なるためです。スケーターと世間の「スケボー」に対する認識の違いが、トラブルになる原因といえます。

スケーター人口が急増した

2016年8月、東京2020オリンピックの正式種目にスケボーが決定。スケボーが注目されるようになり、スケーター人口が急増しました。しかし前述したように、日本はスケボーに乗れる場所が多くありません。初心者の中にはまだ操作できないにもかかわらず、公道や公共施設で練習する人もいます。このままでは、さらにトラブルが増えると考えられるでしょう。

スケボーのイメージを良くする行動が大切

スケボーのイメージを良くするためには、ルールを守った行動が大切です。日本でスケボーが盛り上がればスケーターと一般人、双方にとって居心地のよい環境が期待できます。そのためにはまず、世間がもつ「危険」「うるさい」「迷惑」といったイメージを払拭する行動が必要です。

法律やマナーを守って楽しむ

法律はもちろんマナーを守り、スケボーに対するイメージを良くしましょう。東京2020オリンピックの新競技として注目され、さらにはメダリストが続出するといった好成績が人気を後押ししました。世間からスケボーへのイメージは向上しているといえるでしょう。

最近では、公共施設でもスケボーによる滑走が許可されるといった朗報がありました。日本でもスケボーが認められてきたからでしょう。今後もイメージを損なわないよう、スケーターは騒音やゴミなどのマナーに配慮した行動が大切です。

スケートパークを利用する

スケボーパークを利用すれば、思う存分にスケボーを楽しめます。騒音被害がおよばない場所に設置されており、施設内で滑るため一般人に迷惑をかける心配がありません。またスケーターにとってもメリットだらけです。

スケーター目線からみたスケートパークのメリットは、

  • 舗装された路面環境で、快適に滑れる
  • 街中の構造物に見立てたセクションを使った練習ができる
  • ほかのスケーターも集まるため、スケボー仲間ができる

などがあります。スケートパークは、スケーターと一般人の双方にメリットがある施設です。許可された場所で、迷惑をかけずに楽しむことがスケボーのイメージを良くする行動でしょう。

全国のスケートパーク紹介記事はこちら

今後の課題は「スケートパークの設置と世間からの理解」

日本のスケボー文化を発展させるには、スケートパークの設置と世間からの理解が課題です。アメリカとは法律も文化も違う日本のスケボー。まだまだ世間に受け入れられにくい風潮です。良好な関係を築くためには、ルールやマナーを守った行動が大切でしょう。

そこで注目されているのがスケートパークです。一般人に迷惑をかけず、思う存分に練習できます。2021年に開催された東京2020オリンピック以降、日本のスケボー人気は急激に向上しました。始めたばかりの初心者からプロ選手まで、多くのスケーターがスケートパークの設置を希望。全国各地で署名運動を実施する人も現れました。

まとめ

今回は公道でスケボーをしてはいけない理由を解説。スケボーに乗るなら知っておくべき法律を、ケース別に紹介しました。法律に違反した場合は、相応の罰則を受けます。トラブルの予防、またスケボーのイメージ向上のためにも、ルールやマナーを守りましょう。近くにスケートパークがある人は、積極的な利用をおすすめします。

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