「いい波」を見極めることは、サーフィン初心者が最初に直面する問題の一つです。波にも様々な種類があり、その特徴を把握することでサーフィンの上達にも繋がります。サーファーにとって波は大事なポイント。今回は、「いい波」の条件や見極め方を紹介します。
波はどのように起きるのか
サーフィンは波が作り出す斜面をサーフボードで滑走するスポーツ。サーファーにとって、最も大事なのが「波」です。ここでは、波が起きるメカニズムを紹介します。
風が影響している
波は風が海面に吹き付けることによって起こる自然現象です。風がないと、海は平らのまま。風が強いときには大きな波が起きます。波の大きさは、風が吹いている時間とその距離によって決まるため、風下に行くほど大きな波が確認できます。
引力の影響を受けている
波が起きるもう一つの原因は、引力です。月の引力により、海水が歪み、それが波として形成されます。「満潮」や「干潮」などの言葉は聞き覚えがあるのではないでしょうか。夜、月に近い海では、月に引き寄せられ海水が盛り上がり「満潮」に。反対側の海では海水が減り、「干潮」になります。また、太陽にも引力があるため、月と太陽の位置によって海水が移動することで波が生まれています。
いい波になる条件とは
波は、風や引力の影響でその大きさや形を変えています。しかし、サーファーとしては「いい波」に乗りたいもの。ここでは、サーフィンに最適な「いい波」になる条件を紹介します。
オフショアの波
「オフショア」とは、陸から海に向かう風のこと。反対に、海から陸に向かう風を「オンショア」といいます。「オフショア」が吹くことにより、海面がきれいに整い、「面ツル」の状態に。風が波のパワーを抑えてくれるのでテイクオフもしやすくなります。
サーフスポットの地形
波のコンディションに影響を与える理由の一つがサーフスポットの地形です。波が岸に向かって進むにつれ、海底との間に摩擦が生じます。海底の地形によって呼び方も変わり、海底が砂浜だと「ビーチブレイク」、珊瑚や岩だと「リーフブレイク」、玉石だと「玉石ブレイク」に。それぞれ波の大きさやパワーに影響するため、場所によって波質が違うのです。海底が動きにくく「リーフブレイク」や「玉石ブレイク」は安定した波を起こすことで知られています。
ロータイドの時
月の引力の影響で潮の満ち引きが起こります。「ロータイド」とは、サーフィン用語で干潮のこと。満潮は「ハイタイド」です。一般的に「ロータイド」の時は、海底から上に水を押し上げる力が働き、いい波となりやすくなっています。
サーフィンに適した波はどんな特徴?
サーフィンの上達には、とにかく波に乗ることが大切です。しかし、全ての波がサーフィンに適した波とは限りません。ここでは、サーフィン初心者が知っておきたい、サーフィンに適した波の特徴を紹介します。
面ツルの波
陸から海に向かう風、オフショアが海面をきれいに整えてくれます。この状態を「面ツル」と呼び、サーフィンに最適な状態を指します。「面ツル」の波はテイクオフもしやすく、乗れるととても気持ち良いです。
適度なサイズの波
サーフィン初心者にとっては、波は大きすぎても小さすぎても乗るのが困難です。適度なサイズの波は比較的スムーズに乗ることが可能。強風が吹いている時は波は高くなりやすく、全く風がない日は海面がフラットになりがち。適度に風があり、乗りやすい波の高さの日にサーフィンを楽しみましょう。
動画でチェック
サーフィンをする時にまずチェックしたいのが波のコンディション。しかし「いい波」と一言で言っても、どのような波を指すのかわかりづらいもの。サーファー達にはそれぞれ、好みの波がありますが一般的には「オンショア」で「面ツル」な波と覚えておけば良いでしょう。動画でその状態をチェックしてみてください。
サーフボードによって乗りやすい波が違う
サーフボードの長さや形には多様な種類があります。それは波によって適した長さや形があるからというのが理由の一つです。ここでは、サーフボードごとに適した波を解説します。
ロングボード
リラックスしたサーフィンスタイルで人気の「ロングボード」。浮力が高く、小さな波もキャッチできます。ももより下の高さの波に乗るのに最適なサーフボードです。スピードが遅い「トロい波」もロングボードで楽しめます。
ショートボード
コントロールしやすく、技が決めやすい「ショートボード」。高い波はショートボードの方が乗りやすいです。頭の高さを超す波も乗りこなせます。プロサーファーもショートボードを使用していることが多いです。
ミッドレングス
ロングボードとショートボードの中間の長さの「ミッドレングス」は、幅広い高さの波に乗ることが可能。安定感がありながらコントロールもしやすく、小さな波から大きな波までこなせるので、初心者にもおすすめ。
波を表す用語をチェック
サーフィンを始めたら、サーフィンに関する用語も覚えたいところ。波の状態や特徴を表す用語は、サーフィンの上達や安全性のためにも特に覚えておくべきです。ここでは、波に関する用語を解説します。
面ツル
サーファーにとって好条件な波、「面ツル」。無風の時やオフショアの時のきれいな波のことを指します。海面がガラスのように滑らかな状態で、英語では「Glassy(グラッシー)」と呼びます。
ダンパー
一気に崩れてしまう波のことを指します。乗ることは難しく、乗れたとしてもあまりいい波ではありません。浅瀬で一気に崩れると危険も伴うので気をつけましょう。他に風により海面が荒れた状態を表す「チョッピー」、さらに波がたつきが生じる「バンピー」もいい波ではありません。
ホレた波、トロい波
スピードが速く、角度がついた「ホレた波」、スピードが遅い「トロい波」。ショートボードの場合、「ホレた波」は角度があるのでテイクオフしやすい傾向にあります。ロングボードやミッドレングスは「トロい波」に乗りやすいです。
レギュラー、グーフィー
陸から見て、右から左に崩れていく波が「レギュラー」、左から右に崩れていく波が「グーフィー」です。また、サーフボードの乗り方で左足が前のスタンスを「レギュラースタンス」、右足が前のスタンスを「グーフィースタンス」と呼びます。
ショルダー
「ショルダー」とは、波のうねりの部分です。この部分が盛り上がり、崩れていきます。ライディングの際は、ショルダーから乗るのが最適です。
フェイス
波の斜面を表す「フェイス」。この斜面を利用して加速や技をします。角度があるのでスピードをつけやすい分、初心者が気をつけるべきポイントでもあります。
トップ
「トップ」は波の一番高い地点で、これから崩れてくる部分です。この部分を利用してターンする「トップターン」などの技が有名。
ボトム
「ボトム」は波の一番平らな部分を指します。ここを利用すると「ボトムターン」などの大きな技ができます。
リップ
波の崩れ始めの部分、「リップ」。パワーのある波ではサーフボードを折ってしまうことも。
スープ
「スープ」は波が崩れ、白い泡が立っている部分。崩れてはいますが、パワーがあり初心者が練習するのに最適な波として知られています。
チューブ
岸に向かってリップが突き出し、筒状の空洞になった状態の「チューブ」。チューブをサーフボードでくぐり抜けることは全てのサーファーの憧れとも言われています。
カレント
「カレント」は、いわゆる離岸流のこと。カレントに飲まれてしまうと、沖に流されてしまうので注意が必要です。
いい波の見分け方や予想の方法を紹介
せっかく海に行くのなら、いい波でサーフィンを行いたいと考える人も多いのではないでしょうか。しかし、波は常に変化しており、同じコンディションは二度とないと言われています。ここでは、いい波の見分け方や予想の方法を紹介します。
陸から海の状況を見る
まず海に入る前に、陸から海の状況をチェックしましょう。海に入ってから波を見つけるのは難しいため、どこで波が割れているかをチェックしてそのポイントに向かうようにすると波に乗りやすくなります。
波の大きさや崩れ方を確認
サーフィン初心者は、必ず波の大きさや崩れ方もチェックする癖をつけましょう。自分が乗りこなせる大きさの波であることや、ダンパーに乗らないようにチェックすることで、スムーズなライディングはもちろん、安全なサーフィンができます。
波のピークを探す
波の一番切り立っている部分、「ピーク」に乗ることでライディング距離も長くなり、思う存分サーフィンを楽しめます。全ての波に乗ろうとせず、乗れそうな波がきたタイミングでピークから乗ることを意識してみてください。
いい波に乗れる日本の場所は?
海に囲まれた日本には、多くのサーフスポットがあります。ここでは、「いい波」に出会える可能性が高い、日本屈指のサーフスポットを紹介します。
鵠沼海岸
日本のサーフスポットといえば神奈川県の「湘南」。鵠沼海岸は多くのプロサーファーも多く輩出している人気サーフスポットです。シャワーやロッカーが充実しているのも嬉しいポイント。
釣ヶ崎海岸
千葉県、九十九里浜の南に位置する「釣ヶ崎海岸」。年間を通していい波に乗れることで知られ、東京オリンピックのサーフィン会場にも採用され、話題となりました。
八丁浜
京都の「八丁浜」は日本海側屈指のサーフスポットとして知られています。地形がよく、パワフルな波が人気を集めています。八丁浜海水浴場はサーファーにはもちろん、海水浴客にも人気です。
木崎浜海岸
宮崎県の「木崎浜海岸」は、サーフィンの世界大会なども行われるほど良質な波が有名です。シャワーや駐車場などの設備も充実しており、宮崎空港から10分ほどで到着するアクセスの良さも魅力。
大方浮鞭
高知県には「中村エリア」と呼ばれるサーフスポットが集まったエリアがあります。その中でも「大方浮鞭」は人気のサーフスポットの一つ。日によって高さのある波や、穏やかな波が楽しめます。
スーサイド
沖縄県の「スーサイド」も人気のサーフスポットです。夏から冬まで長い期間サーフィンに適したコンディションが続き、台風の時期を避ければ、きれいな青い海でのサーフィンを楽しめます。
まとめ
サーフィンを楽しむためには「いい波」を見極めることが重要です。波の性質や、いい波の条件を知っておけば、サーフィンの上達にも繋がります。ぜひ覚えてサーフィンをより楽しんでください。