肺活量を鍛えるためには、「呼吸筋」を鍛えることがおすすめです。呼吸筋を鍛えることで1回の呼吸で取り込む酸素の量が増え、肺活量を上げられます。今回は、最低限知っておきたい肺活量の鍛え方を紹介します。お家でできるものもあるので、参考にしてみてください。
肺活量とは、吐き出される空気の量
日本臨床検査専門医会によると、肺活量とは「最大限息を吸い込んだ状態から、どれくらい空気を吐き出せるか」のことです。
具体的には、ゆっくりと息を吐ききってから、空気を胸いっぱいに吸い込んだ状態(最大吸気位)の吸う量と、吸い込んだ状態(最大吸気位)から、最後まで吐き切った状態(最大呼気位)の量を見ます。肺活量を知るには、呼吸器内科等で「肺活量検査」を行う方法が一般的です。
肺活量の基準を知る
成人男性の肺活量の基準は「3,500cc」、成人女性では「2,500cc」。しかし、この基準は年齢や性別、身長などによって異なります。参考までに予測肺活量(身長・年齢・性別から求めた予測値)の計算式を紹介しますので、興味がある人は計算してみてください。
- 成人男性 =(27.63-0.122×年齢)×身長(cm)
- 成人女性 =(21.78-0.101×年齢)×身長(cm)
呼吸筋を鍛えることが肺活量向上のカギ?
肺活量を上げるためには、「呼吸筋を鍛えること」が効果的だといわれています。なぜなら、呼吸筋を鍛えることで、一度に送り込む酸素の量が増えるためです。呼吸の仕組みを理解すると、その理由が見えてくるでしょう。
呼吸をするときは、肺が大きく収縮を繰り返すことで空気の出し入れをしています。肺は、自ら動くことはできません。肺の周りにある筋肉(呼吸筋)が働くことによって、大きさを変えています。
すぐ息切れがする人は、呼吸筋が衰えているため、酸素を送り込む量が少なく呼吸が浅くなります。肺を広げたり縮めたりする役割がある呼吸筋を鍛えれば、一度に送り込む酸素の量が増え、結果的に肺活量向上も期待できるでしょう。
最低限知っておきたい5つの肺活量の鍛え方
肺活量を上げるためには、まず効果的な鍛え方を知るというのが第一歩。冒頭で説明した通り、肺活量を上げるためには「呼吸筋」を鍛えることが鍵となります。
ここではお家で手軽にできるトレーニングを5つ紹介しましょう。中には専用の道具を使うものもありますが、今日から始められるトレーニングも多いので、ぜひ参考にしてみてください。
1.定番中の定番!ペットボトル潰し
ペットボトルを使って、呼吸筋を鍛える方法。学生時代に吹奏楽部に所属していた人なら、経験があるかもしれません。お家にペットボトルがあれば、一緒にやってみましょう。
やり方は以下の通りです。
- ゆっくり息を吐ききる
- ペットボトルに口をつけ、中の空気を吸い込む
最初は上手く吸えない場合が多いので、なるべく柔らかい2Lのペットボトルを使うことをおすすめします。どうしても空気が吸えないのであれば、ペットボトルに穴を空けてみるのもよいでしょう。段々慣れてくると、ペットボトルをへこませられるはずです。
2.ティッシュに息を吹きかけて維持する
最も手軽ですぐに始められる、ティッシュトレーニング。やり方はとてもシンプルです。
- ティッシュを壁に当てて、息を吹きかける
- 落ちないようにキープする
最初は手の大きさ程度の距離から始め、慣れてきたら徐々に壁から離れていきます。肺活量が上がってくれば、ティッシュが壁に張り付いている時間が増えてくるでしょう。
ポイントは、一定量の息をティッシュに向かって吹きかけることです。夢中になって姿勢が悪くならないよう、背筋を伸ばすことを意識しましょう。
3.最初は意外と難しい!風船膨らまし
自分以外の人と比べると、肺活量の差が出やすいトレーニングです。やり方は以下の通りです。
- 腹式呼吸を意識して、お腹に息をためる
- 風船をくわえ、頬がふくらまないように風船をふくらませる
最初のひと息で、風船がどれくらい膨らんだかをチェックします。何度が続けていくことで、以前よりも風船が大きく膨らんでいれば、肺活量が増えた証です。酸欠になりやすいため、やりすぎには注意してトレーニングをしましょう。
4.選べる3タイプ!パワーブリーズトレーニング
パワーブリーズという専用の呼吸筋トレーニング器具を使った方法を紹介します。プロアスリートやミュージシャンも愛用しており、多くの実績を作っています。パワーブリーズを使ったトレーニング方法は以下の通りです。
- マウスピース全体を唇で覆うようにくわえる
- 完全に息を吐いてから、2秒くらいで口から息を吸い込む
- 1.2.を繰り返し、1セット30回をやり切る
ポイントは、素早く、力強く、できるだけたくさんの空気をなるべく早いスピードで吸い切ることがポイントだといえます。最初は負荷が軽い状態から始め、徐々に慣れてきたら負荷を上げていくやり方がおすすめです。
注意点として、息切れするまではやらないこと。また、目眩などを感じた場合はすぐ使用を中止することは覚えておきましょう。
大迫選手も活用!ストロートレーニング
サッカー日本代表の大迫選手が取り入れていた、ストローを使ったトレーニング方法。ストローをくわえることで、呼吸に負荷をかけます。この状態で呼吸をしながらトレーニングをすると、呼吸筋をより効果的に鍛えられるでしょう。やり方は以下の通りです。
- ストローをくわえる
- その状態で腹筋をする
大迫選手は、このストローを風船に変えて腹筋をするという、とてもハードなトレーニングをしていました。ストローをくわえた状態だけでも効果的なトレーニングになるので、慣れていない人は段階を踏んでから挑戦してみましょう。
肺活量の鍛え方でよくある疑問
肺活量の鍛え方において、噂では聞くけど「これって本当に効果があるの?」といった疑問があるかと思います。その中でもよく挙げられるのが、「水泳をやると肺活量が増えるのか」や「腹筋は肺活量向上に効果があるのか」という疑問でしょう。
ここでは、水泳や腹筋をすることで肺活量が上がるのかという疑問について、解説していきます。
水泳をやると本当に肺活量は増える?
結論から言えば、水泳をやると肺活量は増えるとされています。Redbull.comの「水泳:7つの驚くべきメリット」によれば、水泳はVO2 MAX(最大酸素摂取量)の向上に最適なスポーツとのこと。このVO2MAXは酸素量を制限したときに最大値を向上させることから、顔を水につけた水泳は酸素量を制限するため、肺活量が大きくなるのです。
腹筋は肺活量向上に効果がある?
「東京佼成ウインドオーケストラの奏法Q & A」によると、肺活量と腹筋の関係性は無関係とされています。理由は、腹筋は息を吸うときに使う主要な筋肉ではないためです。
呼吸に使われる筋肉は主に、お腹の中にある横隔膜と肋骨の間にある肋間筋になります。腹直筋も呼吸に関係していますが、腹筋単体を鍛えるよりも有酸素運動や呼吸に負荷をかけるトレーニングをしたほうが、効果的といえるでしょう。
まとめ
肺は自ら広がったり縮んだりできず、周りにある呼吸筋が肺を動かしています。そのため、肺活量を上げるためには、まず呼吸筋を鍛えることが鍵となってくるのです。呼吸筋トレーニングにはさまざまな方法があるため、自分にあったやり方を楽しみながら探してみましょう。ぜひこの記事を参考にして、肺活量の向上を目指してみましょう。