みなさんは、「初動負荷トレーニング」という画期的なトレーニング方法をご存知でしょうか?この初動負荷トレーニングは、イチローさんやダルビッシュ有選手などのトップアスリートも、実際にトレーニング法として採用し実践しています。このトレーニング方法は専用のマシンを使って関節を細かく動かし、可動域を徐々に広げるトレーニング法です。
実際は、動的ストレッチに近い初動負荷トレーニングですが、サーフィン上達のために初動負荷トレーニングを取り入れようと検討している方もいるかと思います。その中には「専用マシンがないとできないの?」「自宅でできないの?」と疑問を抱いている方もいるでしょう。
そこで今回は、初動負荷トレーニングの特徴・効果から自宅でもできる初動負荷トレーニングのやり方について詳しく紹介します。また、サーフィンで使う筋肉と照らし合わせて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも「初動負荷トレーニング」とは?
「初動負荷トレーニング」は、株式会社ワールドウィングエンタープライズの代表である小山裕史先生が発明・創案したトレーニング方法です。1981年に創立して以来、数多くのトップアスリートを輩出しており、選手・スポーツに適した正しいフォーム作りや故障の改善などに務めています。
その長年の指導と動作・トレーニングの研究を続ける中で確率されたのが、この画期的な初動負荷理論。それに基づくトレーニングが初動負荷トレーニングなのです。
初動負荷トレーニングの特徴
初動負荷トレーニングは、「神経」「筋肉」の機能に着目したトレーニング法のこと。神経と筋肉の協調性・相互作用を高められるので、余計な力感がなく筋出力が高まります。また、しなやかで細かな動作を追求する上で有効なトレーニングです。
独自開発した初動負荷トレーニングマシンを用いてトレーニングするので、身体への負担が少なく、安全にトレーニングできます。急激な心拍数上昇・血圧上昇を招かないという特徴があり、血圧が気になる方や高齢の方でも安全なトレーニングです。
スポーツ選手はもちろん、成長期である中学生・高校生や運動が苦手な女性・高齢の方など、あらゆる方がトレーニングできるのも特徴です。競技力向上だけでなく健康維持・ダイエット・リハビリテーション・生活習慣秒の疾患予防まで、幅広い効果が期待できます。
初動負荷トレーニングの効果
初動負荷トレーニングの効果は以下の通りです。
- 神経筋機能の促進
- 筋の柔軟性向上
- 血流促進・代謝促進
- 老廃物除去
- 身体の歪み矯正
- 関節可動域の拡大
- 関節・筋肉のストレス除去
その他に、競技シーンにおける瞬発力・パワーの向上・怪我、故障の予防や改善、さらには現代の増加傾向にある疾病の予防や改善にも期待できます。
疲労物質が速やかに除去されることも特記されており、疲労の蓄積・筋肉痛が起こりにくいです。日常生活・仕事で溜まった疲労をリフレッシュすることや、競技に携わる方のアフターメンテナンスや試合前日にも有効です。
初動負荷トレーニングをする前にサーフィンで使う筋肉を理解しよう
ここでは初動負荷トレーニングのやり方を説明する前に、サーフィンで使う筋肉を紹介。使う筋肉を理解しておくと、トレーニングの際の筋肉に対する意識が変わり効きやすくなります。
パドリングの場合
パドリングでは、「上腕二頭筋・大胸筋・前鋸筋」といった筋肉を使います。十分なケアとトレーニングで疲れにくくなり、動作もスムーズ。また、体幹がないがゆえに身体の中心部に軸がなく、パドルの際に体がブレてしまい上手く前進しません。そのことから体幹の一つである「広背筋」を鍛えることが重要です。
テイクオフの場合
テイクオフの場合、股関節まわりのインナーマッスルが重要となります。ボードをスムーズに足を引きつける動作から必要なお尻の筋肉である「大殿筋」。骨盤と大腿骨を支えている「中殿筋」、足を前方に降り出す股関節屈筋の中で強力な筋の「大殿筋」などがあります。
アップス&ダウンズの場合
アップス&ダウンズの場合、「内転筋」に力を入れ、膝を内側にしぼってスタンス・ライディングを安定させることが大切。このときに意識するのが、「長母趾屈筋・前脛骨筋」です。
膝を内側に入れたまま、足の親指でボードを掴むようなイメージで支え、脱力した状態で動作を繰り返します。これが上手い人ほどスネが鍛えられており、上手にボードに力が伝わることから親指にタコができるケースもあります。
サーフィンをするのに最適!自宅でできる初動負荷トレーニングのやり方
基本的には専用のトレーニングマシンを用いて行う初動負荷トレーニングですが、自宅でできる初動負荷トレーニングの方法はないのでしょうか?結論からいうと、初動負荷トレーニングは自宅でもできます。もちろんマシンも使用はしませんが、ベンチやダンベルを使用したトレーニングを紹介します。
もしフラットベンチが自宅にない場合は、ソファ・オットマン・カラーボックスなど、高すぎず安定性のあるものを用いてください。またダンベルが自宅にない場合は、ペットボトル・重さのある本・雑誌などある程度重いものを代用として使用するとよいでしょう。
では、先ほど説明したサーフィンで使う筋肉に効果のある初動負荷トレーニングの具体的なやり方を詳しく紹介していきます。
ダンベルストレートアームプルオーバー|大胸筋・広背筋
ダンベルプルオーバーのやり方は以下の通りです。
- 体とベンチをクロスさせて仰向けになり、肩甲骨から上部をベンチに乗せる
- 胸の前でダンベルを持り、肩甲骨を寄せる
- ダンベルを持ったまま、ゆっくりと万歳の状態になる
- ダンベルを頭上に持ったままストレッチがかかったら、胸の前にゆっくりと戻す
ダンベルストレートアームプルオーバーでは、目安の回数でちょうど限界がくるような重量で行うのがポイントです。回数として、「15回×3セット」を目安にするとよいでしょう。
ルーマニアンデッドリフト|ハムストリング・大殿筋・脊柱起立筋
ルーマニアンデッドリフトのやり方は以下の通りです。
- 肩幅くらいの足の広さで立つ
- ダンベルを太ももの前で持ち、肩甲骨を寄せる
- 肩甲骨を寄せたまま背筋はキープしながら、徐々にお尻を後ろに引く
- スネ部分までダンベルを下ろす
- 太ももの裏側にストレッチがかかったら1秒キープする
- ゆっくりと元の状態に戻る
ルーマニアンデッドリフトでは、怪我の危険性もあるあるトレーニングなので腰を曲げないように注意してください。回数として「8〜12回×3セット」を目安にするとよいでしょう。
ダンベルフライ|大胸筋・三角巾・上腕三頭筋
ダンベルフライのやり方は以下の通りです。
- ベンチに仰向けの状態で寝る
- 胸の延長線上にダンベルを持つ
- 肩甲骨を寄せ、みぞおち部分を上に突き出す
- 肘を軽く曲げて、ダンベルをゆっくりと開く
- 胸にストレッチがかかるように、肘で「W」を描くように開くのがポイント
- ストレッチがかかったら、肩甲骨を寄せたまま、胸の前にゆっくりと戻す
上記の動作を行う場合、開くとき3秒・閉じるとき2秒を意識してみてください。回数として「12〜20回×3セット」を目安にするとよいでしょう。
ワイドスクワット|ハムストリング・大殿筋・内転筋など
ワイドスクワットのやり方は以下の通りです。
- 足の幅を肩幅の2倍にまで開き、つま先を外に向ける
- ダンベルを骨盤の前に持ち、肩甲骨を寄せる
- そのままお尻を下ろしていく
- 股関節の付け根にストレッチがかかったら1秒キープする
- ゆっくりと元の状態に戻る
ワイドスクワットでは、きちんと下半身に刺激を入れたいので背筋を伸ばしたまま行うようにしましょう。目安の回数は、「10〜15回×3セット」です。
ダンベルスカルクラッシャー|上腕三頭筋
ダンベルスカルクラッシャーのやり方は以下の通りです。
- ベンチに仰向けになり、膝を曲げて身体を安定させる
- ダンベルを真上に持ち上げ、手のひらを内側に向ける
- 肘の位置を固定したままダンベルをゆっくり下ろす
- 腕が曲がり切る直前で元の位置に戻る
ダンベルスカルクラッシャーでは、二の腕を動かさない・肘を開かないのがポイントです。回数の目安は「10回×3セット」となっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。サーフィンは怪我をしにくいスポーツといわれますが、急激に身体に過度な負荷をかけたり、運動不足だったりすると肉離れや攣るなどの怪我をする恐れもあります。
そこで今回紹介した自宅でできる初動負荷トレーニングを行い、サーフィンの上達以外にも怪我をしにくい身体を手に入れてください。ぜひ今回紹介したトレーニング法を試してみてはいかがでしょうか。