憧れてはいるけれど、サーフィンはとてもできそうにない…そういった人におすすめなのが、パドルサーフィンです。海のアクティビティ初心者や体力に自信がない場合でも、波乗りが楽しめて、上達次第ではダイナミックな技への挑戦も可能です。パドルの基礎知識からこぎ方まで紹介しています。
パドルサーフィンとは?
パドルサーフィンは、その名の通りパドルを手に持って波に乗るサーフィン。パドルサーフィンの歴史や、基本的な知識、一般的なサーフィンとの違いを解説します。
そもそもパドルサーフィンって何?
パドルサーフィンは、SUP(サップ)という略称でも呼ばれるスポーツです。「Stand Up Paddle Surfing」、つまり「立ってパドルでこぐサーフィン」を指します。パドルサーフィンのボードは、一般的なサーフボードよりも安定性が高く、慣れるのに時間がかかりません。
パドルをこいで進むため、パドリングが必要なサーフィンと比較して体力の消耗が少なく、年齢や性別を問わず始めやすいことが人気となり、アクティビティの新定番として注目されています。しかし、パドルサーフィンが生まれたのは、ここ最近のことではありません。
古代のポリネシアでは、すでにSUPが行われていました。貴族階級が安全のために見回りをする際、カヌーのパドルを使って、波の上を進んだのがパドルサーフィンの原点といわれています。また、1960年代のハワイではワイキキビーチで働く若者が、観光客のサーフィンの様子をボードの上に立って撮影したり、ロングボードでパドルを使って波乗りをしたりしていました。
その後も、パドルを使用した下半身のトレーニングや、沖合の波に乗る際にパドルを使った方法がサーファーの間に浸透していき、パドルサーフィンのスタイルが確立しました。現在では、サーフィンと異なるマリンスポーツとして人気が高まっており、各地で大会も開かれるようになりました。
パドルサーフィンとサーフィンの違い
パドルサーフィンと通常とサーフィンとのもっとも大きな違いは、一見してわかるようにパドルを持っていることです。サーフィンの場合には、波に近づくために、ボードに腹ばいとなり両腕を回して沖へと出ます。しかし、パドルサーフィンでは常に立った状態で、パドルをこぎながら移動するのが特徴です。
パドルサーフィンに使うSUPボードは、通常のサーフボードよりも一回り大きく、安定性があるため立つのも簡単。腹ばいではなく、立って進むため、海上が良く見えて波を探しやすいのがメリットです。また、サーフィンの場合には、大きな波をつかまえる必要があります。
しかし、パドルでこぐパドルサーフィンの場合、例えば波のない河川や湖でも楽しむことが可能です。初心者で波が怖い人でも、穏やかな水辺でサーフィンに挑戦できます。
パドルサーフィンの魅力
海のスポーツといえばサーフィンですが、パドルサーフィンには別の魅力があります。次はパドルサーフィンが人気の理由を解説します。
誰もが挑戦しやすいパドルサーフィン
パドルサーフィンは、やはりサーフィンと比較してトライしやすいのが魅力です。サーフィンをするためには、まずボードごと沖に出るためにパドリングを取得しなければなりません。初心者にとっては、波に逆らって前に進むだけでも一苦労です。
さらに、サーフィンの醍醐味ともいえる「波に乗る」ためには、不安定な波の上でサーフボードの上に立ち上がる必要があります。ただ、うまく乗れてもボードの上でバランスを取るのは極めて難しく、初心者の中には習得に数ヵ月かかることも。
そのため、途中で挫折する方も少なからずいるようです。パドルサーフィンは、サーフボードと比べると、安定性に優れています。パドルボードの長さは、サーフィンのロングボードと同じか、それより長く、幅と厚みが大きいため、非常に浮力が大きいです。
さらに、パドルでこいで移動するので、波の穏やかな場所でゆっくりと練習ができます。激しい波の上で立たなければならないサーフィンより、精神的にも技術、体力的にもハードルは高くありません。最初のうちは、波のない場所で水面を移動するだけでも十分に心地良く、サーフィンとは違う楽しみを味わえるでしょう。
エクササイズ効果も期待できる
比較的に簡単とはいっても、水面上で姿勢を保つためにはそれなりに体の動きが必要です。水面のわずかな動きを感じて、バランスを取るために内側の筋肉を使います。ボードの上で重心を保つ練習により、体幹トレーニングとしての効果が期待できるでしょう。
近年は、この効果を利用した水上ヨガも人気です。また、パドルサーフィンに慣れてくると、パドルを自在に操りながら自在に使えます。こぎ方を変化させることで、サーフィンを楽しみながら上半身のエクササイズにも効き目があります。
パドルサーフィンは使い方次第で、高いフィットネス効果が得られます。
巨大な波に挑戦
パドルサーフィンは、初心者が穏やかな水面で楽しめる一方で、大波に挑戦する楽しみ方もあります。1990年代には、レイアード・ハミルトンやブライアン・ケアルラナといったトップクラスのサーファーたちが、パドルを使いながらビッグウェーブを鮮やかに乗りこなし、観客を魅了しました。
サーフィンと同じくパドルサーフィンでも、初心者から少しずつステップアップすれば、いつかは大波を乗りこなす上級者に成長できます。
パドルサーフィンのこぎ方
パドルサーフィンは、初心者でも習得しやすいスポーツですが、正しい乗り方やこぎ方を知らないと上達しません。パドルサーフィンの基本的な動作を解説します。
パドルサーフィンの基本姿勢を学ぼう
パドルサーフィンが初めての場合、最初にボードに立つ動作を学びます。あらかじめ陸上で、動作と姿勢を練習するのがおすすめです。水上でボードに乗ったら四つん這いの姿勢を取り、片足ずつゆっくりと立ち上がります。
このとき、両手を肩幅くらいの位置に置き、安定を保ちながら姿勢を変えてください。ボードの中心線を均等に、またぐように足を置き、下腹で重心を感じるイメージです。確実に立ち上り、バランスを取れるようになるまで練習をくり返します。
正しいパドルの持ち方
ボードの上に正しく立てるようになったら、パドルのこぎ方をマスターしていきます。パドルの持ち方により、疲労やスピードが変わるため、グリップは強く握りしめず手のひらで軽く包み込むように意識してください。
次に、反対側の手で、肩幅より少しだけ広めの位置を軽く握り、両肘とも常に伸ばした状態となるよう心がけます。グリップ側を上にし、横から見たときに腕とパドルがきれいな三角形を描くイメージで下ろしましょう。こぐ構えをしたときにパドルの水をかく部分であるブレードが、進行方向と逆側に曲がっているのが正しい向きです。
パドルサーフィンの上達のコツは?
パドルサーフィンをうまくこぐポイントは、以下の通りです。
・足は肩幅程度に広げ、膝を軽く曲げる
・手に力を入れずにパドルを操作する
・視線は進行方向
・内ももに力を入れて重心を意識する
最初は、「しっかりとこぐ」「方向転換ができる」といったことから練習します。波乗りの練習は、波が砕ける場所を見極め、テイクオフを開始。良い波をつかまえるためにも、基本のパドル操作をしっかりと身に付けることが大切です。
まとめ
パドルサーフィンは、「サーフィンに興味はあるけれど自信がない」という人でも取り組みやすいスポーツです。水辺であれば、海のような波がなくても楽しむことができます。サーフィンと比べると難易度は低めですが、ポイントを押さえて練習しないと思うようにはいきません。
姿勢やバランスの制御、パドルの操作など、基本に従って練習することが大切です。波乗りのコツには、「波を見極める」「波に乗り遅れない」など、通常のサーフィンとの共通点も多く見られます。マリンアクティビティを始めてみたいのであれば、パドルサーフィンを試してみてはいかがでしょうか。