離岸流を知らないと怖い!流されたときの対処法は?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
出典:sorakara / PIXTA

離岸流をご存じでしょうか?「カレント」とも呼ばれる離岸流は、目には見えにくい潮の流れで、一つ間違えば水難事故につながる恐れがあるため、離岸流の特徴や対処法を知っておかなければいけません。ここでは、離岸流の仕組みや種類、そして離岸流に巻き込まれたときの対処法を詳しく紹介します。

離岸流とは

出典:Nao / PIXTA

サーフィン中に知らない間に沖へ流されてしまい、戻りたくても戻れないという経験はありませんか?それは「離岸流(カレント)」によって起こる現象です。

離岸流とは、沖から岸へ打ち寄せた波が戻ろうとするときに発生する、強い流れのことです。毎年サーフィン中の離岸流の原因による事故や溺死が多いため、サーフィンをするうえで、気を付けなければいけません。

離岸流はどのようにして発生するの?

通常、波は沖から浜辺へと向かって打ち寄せられますが、浜辺に向かって強い風が吹くと、浜辺に向かう波の力が強くなります。このときに、浜辺にたまっている海水が沖へ戻ろうとするルートが離岸流です。離岸流は非常に速く、水泳選手であっても流れに逆らって泳ぐことが難しいほど流れが強いです。知らずに流れに逆らって泳いでいるうちに体力を消耗してしまい、溺れてしまうサーファーも少なくありません。離岸流の大きさを具体的に解説します。

速さ

最大で1秒で約2m流れます。これは人が歩く速さと同じくらいですが、水中ではさらに早く感じるようです。

長さ

10~数百メートル位の大きさで、浜辺から離れるほど流れる速度は弱くなります。

それほど大きくなく、10~30m程です。

発生時間

特に決まりがなく、数時間で消えてしまうこともあれば、同じ場所で連続して1カ月程発生することもあります。

離岸流の発生しやすい場所とは?

離岸流に遭遇しないためにも、離岸流がどのような場所で発生しやすいのかを知っておきましょう。以下の条件が重なる海岸は離岸流が発生しやすい場所。これらの条件に当てはまる場所でサーフィンをする場合は、離岸流に注意が必要です。

・太平洋や日本海などの外洋に海岸が面しているところ
・海岸線が長くて、遠浅の海が続いているところ
・海岸に対して、波が直角にはいるところ
・近くにテトラポットや防波堤・消波ブロ浸ックなどの人口構造物がある海岸
・岩が海面から顔を出しているところ
・ヘッドランドと呼ばれる人工的に作られた岬
・川が流れ込む海岸 ・ワンドと呼ばれる入江状に砂浜が浸食されている海岸

離岸流の種類

浜辺から沖へ向かって流れる海水の流れの離岸流は、サーファーの間では「カレント」と呼ばれています。カレントは主に、「リップカレント」と「リーフカレント」の2種類があり、それぞれの特徴に違いがあります。ベテランのサーファーの中には、ブレイクポイントへ向かうまでカレントを利用する方も多いようです。

ここでは、2種類のカレントの特徴を紹介します。

リップカレント

海底が砂浜の海岸で発生する離岸流を「リップカレント」と呼びます。夏の海水浴シーズンに、海水客が海に流されるといったニュースをときどき見ますが、これはリップカレントが原因になることが多いようです。

打ち寄せてくる波は、沖へ戻るときに波の勢いの弱いところや、海底が水路のように掘られているところを通り道にして、沖へと向かいます。 リップカレントは砂浜で起こる離岸流なので、波によって海底の地形が変化しやすいです。そのため発生場所も変化し、特に台風の後は大きく変化することもあります。

リーフカレント

岩やサンゴリーフなどの海底で、その切れ目から起こる離岸流が「リーフカレント」と呼ばれています。リップカレントとの違いは、海底が岩やサンゴなどのほとんど動かないものの影響で発生するため、常に同じ場所で離岸流が発生します。

リーフカレントは、下げ潮の通り道になっていることが多いため、下げ潮の時間にリーフカレントが重なると流れが速くなってしまいとても危険です。 リーフカレントが発生している場所はリップカレントに比べると、見つけるが難しいのも特徴です。

カレントはサーファーの味方にもなります!

巻き込まれると非常に危険だと言われている離岸流ですが、ベテランのサーファーの中には、離岸流を利用して沖に出る方もいます。

サーフィンをするには、通常は沖へとパドリングをしながらブレイクポイントを目指しますが、パドリングは意外と体力を使い、ブレイクポイントに着くころには疲れ果てていることも少なくありません。そのようなときにカレントを上手に利用して沖へ出れば、体力を温存しながらブレイクポイントまで行くことができます。

ただ、カレントを利用して沖へ出る方法は、危険と隣り合わせだということを忘れないようにしましょう。

離岸流の対処法

出典:ひよ / PIXTA

海岸では離岸流の発生している場所を見つけることで、離岸流に巻き込まれることが減ります。その上、うまく利用すればブレイクポイントへと体力を温存しながら行けます。ここでは、離岸流の見つけ方と対処法を紹介。

離岸流の見つけ方

現地で浜辺から沖を見たときの離岸流の見分け方は以下のとおりです。

・海岸地形に凸凹があり、そこから見える波の方向
・波の形が周りとは違うところ
・海の表面が周りと比べるとざわついた感じがしているところ
・海岸の浮遊物やゴミがたまっているところ

離岸流はどの海岸にも起こるもので、特別なものではありません。また、海岸から肉眼で判断するのが難しく、流れの強さや度合いは常に変化するため注意が必要です。

離岸流に遭遇したときの対処方法

離岸流の流れは見た目よりも強く、流れに逆らって泳いでいるうちに体力を消耗して、岸へと戻れなくなります。例えば、ベテランのサーファーでも、気付かずに離岸流に巻き込まれると、回避するのはとても難しいでしょう。初心者であれば、なおさらパニックになってしまいます。離岸流の対処方法を覚えておいて、もしものときに役立てましょう。

岸に平行してパドリングしながら脱出する

離岸流は沖へ強く流れていきます。このときに、流れに逆らって無理に岸へ行こうとすると、体力を消耗してしまい、溺れてしまう可能性もあります。そのため離岸流に遭遇したときには、岸と平行にパドリングをして、離岸流から抜け出すようにしましょう。

このとき、確実に離岸流から脱出をして、岸までたどり着かなければいけないため、できるだけ体力を温存してください。

サーフボードを手放さない

離岸流に遭遇したときに、驚いてサーフボードから落ちてしまうことがあります。そうすると沖まで行ってしまった場合、助けが来るまで浮いていなければなりません。

しかし、足が届かない沖合では、立ち泳ぎをしながら救助を待つのに限界があります。サーフボードがあれば、たとえ沖へ流されたとしても、救助が来るまでの間はサーフボードに乗って待つことが可能です。

また離岸流に遭遇したときには、まずは大きな声で周りのサーファーに声をかけて、状況を伝えるようにして、救助を依頼しましょう。

まとめ

サーファーの間では、カレントと呼ばれている離岸流は、遭遇すると事故や命の危険があり、どこの海岸でも起こる可能性があるため、気を付けなければいけません。波の動きを知ることはサーフィンをするうえでもとても重要なことで、波の知識を身に付けておくと、安全にサーフィンを楽しめます。離岸流の仕組みを知り対処方法を身に付けていると、いざというときに必ず役に立つでしょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加