潮の満ち引きとサーフィンの関係って?コンディションのいい波の選び方

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波のコンディションは潮の満ち引きによって大きく変わります。よい波を捕まえてサーフィンを楽しむためには、その日・その時間帯の潮の動きを読むことが大切です。今回は、潮の満ち引きと、それがサーフィンに与える影響について解説するとともに、よい波を見つける方法についても紹介します。

潮の満ち引きとは

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海には、満ち潮(上げ潮)と引き潮(下げ潮)があります。簡単に説明すると満ち潮とは、海面が上昇する現象のことであり、反対に引き潮とは海面が下降する現象です。海面が最も高くなっている状態を「満潮」、海面が最も低くなっている状態を「干潮」と呼びます。

1日に2回、海の高さは変化する

海の水位が上がったり下がったりする現象は「潮汐(ちょうせき)」と呼ばれ、1日のうち約12時間の周期で2回起こります。干潮時から6時間かけて海面が徐々に上昇して満潮になり、その後6時間かけて満潮から下降して再度干潮に至ります。

潮汐は海面の変化であると同時に、波の変化でもあるので、よい波に乗りたいサーファーにとってはとても重要な要素です。ちなみに太平洋側の海の潮汐は、満潮時と干潮時の潮位の差は約1.5mであり、日本海側の海は約40cmです。

潮の満ち引きは太陽と月の引力が関係している

潮汐(海面が高くなったり低くなったりする現象)はなぜ起こるのかを説明します。潮汐が起こる際の力は「潮汐力」と呼ばれますが、この潮汐力は地球が受ける月の引力、さらに太陽の引力が関係して起こります。

引力とは、人や物を引きつける力です。私たち人間が地上に立っていられるのは地球の引力のおかげですが、海もまた天体の引力の影響を受けています。

月が真上に来ている地域の海と、その反対側(地球の裏側)の地域の海では、月の引力および地球の遠心力によって海面が引っ張られて上昇し、干潮から6時間後に満潮となり、さらに6時間後に干潮となります。地球は1日1回自転しているため、24時間のうちに潮の満ち引きが2回起こるという仕組みです。

さらに、地球と月の引力に合わせて太陽の引力も潮の満ち引きに影響を与えています。太陽は月よりも遠い位置にあるので、太陽の潮汐力は月の半分ほどですが、太陽と月と地球が一直線に並んだときは潮の満ち引きが最大となるので「大潮」と呼ばれます。

ほかにも、「小潮」「中潮」といった潮の状態があり、それらはすべて太陽・月・地球の引力および位置関係・時間帯によって変化します。

潮の満ち引きがサーフィンに与える影響

満潮は英語でハイタイド、干潮は英語でロータイドと呼びます。海はハイタイドおよびロータイドによって波の動き・波の質が大きく変わってきます。

ハイタイドやロータイドなどの波によってポイントが異なる

潮の動きは地域差があります。ロータイドでも波が割れづらい、ハイタイドのときによい波がブレイクするなど、サーフポイントで特徴はさまざまです。よい波を見つけるためには、そのサーフポイントの波の傾向を事前にチェックしておくことが大切です。

ハイタイド

ハイタイドは潮が満ちて水位が上がりきっている状態のため、波数は少なくなる傾向があります。また、ハイタイドは海のエネルギーが小さい(波の動きが弱い)状態なので、波が厚く、割れづらくなります。 ハイタイドでは、サーフィンができるほどの波が上がってこないということもしばしば。

ハイタイドでは岸辺でブレイクする波が多いため、より本格的なサーフィンを楽しみたいという場合は不向きなこともあります。

ロータイド

ロータイドは潮が引いている時間帯のため、海面と海底の距離が近くなります。海面と海底の距離が近いと、行き場を失う海水が多くなり、波の動きも強まって波数が増加。そのためロータイドでは、はやいブレイクが多数発生して、岸辺ではなく沖寄りでバレルが生じやすくなります。この点で見れば、ロータイドのほうがサーフィンに適した波です。

ミドルタイドがおすすめ

ミドルタイドとは、満潮時および干潮時ではなくその中間の時間帯、海水が上がったり下がったりしている潮のこと。ロータイドからハイタイド、またはハイタイドからロータイド、この海面の高さが大きく変化する時間帯は海のエネルギーが大きくなるので、よい波が生じやすくなります。

ミドルタイドは潮が大きく動いている状態であり、波が割れやすく、バレルも生じやすいので、最もサーフィンがしやすい時間帯といえます。そのため、ミドルタイドはサーフィン初心者だけでなく中級者以上のサーファーにもおすすめです。

「波の動きの強さだけならロータイドのほうがよいのでは?」と考えるサーファーも多いですがロータイドの場合、水深が低くすぎて危険な状態になることもあります。水深が比較的深めで、かつ波が割れやすいミドルタイドがサーフィンのベストな時間帯としておすすめです。

いい波の見つけ方

波の良し悪しは、潮汐の影響で変わってきます。よい波を見つけるためには、その日の潮の状態、潮位を知っておくことが重要です。

潮見表を確認

潮位を確認するのにおすすめなのが潮見表です。潮見表には満潮時刻と干潮時刻が記されているので、どの時間帯がサーフィンに適しているかをある程度把握できます。

また、潮見表には日ごとに月の満ち欠け(月と太陽と地球の配置)も記されており、小潮・中潮・大潮・若潮・長潮の5つの潮の状態がいつなのかを知れます。

大潮の日の干潮から満潮になる時間帯は潮の「上げ込み」と呼ばれ、いつもよりもかなり大きな波が来る傾向。満潮を迎えると潮の動きが止まるので、これを「上げ止まり」と呼びます。上げ込み時はサーファーがよい波を捕まえられる時間帯であり、上げ止まりは、サーフィンの休憩時間です。

潮見表はサーフショップなどで無料配布されていることが多いです。また、近年は潮見表を見られる時計や携帯電話も販売されているので、そちらもチェックしてみてください。

タイドチャートでサーフィン中にも潮の変化を確認

「その日の潮の動きをより詳しく知りたい」「現在の時間の潮の状態を見極めたい」ときは、タイドチャート付きのリストウォッチやタイドチャートアプリを使用しましょう。タイドチャートを見れば、その日、その時間帯に潮の状態を明確に知れます。

タイドチャートにもさまざまな種類がありますが、できれば数値のみが記載されたものよりも、曲線グラフ付きのデータのほうが、分かりやすくておすすめです。タイドチャートのチェックでは、潮の動きだけでなく水深がどれくらいかも確認しましょう。水深の違いによってブレイクやバレルの質も大きく変わります。

タイドチャートのデータを蓄積していけば、どの日・どの時間帯にどのくらいの波が来るかということがある程度分かります。天候、潮の状態、水深などをタイドチャートでしっかり把握して、よい波を捕まえられるようなれば一人前のサーファーといえるでしょう。

まとめ

サーフィンを楽しむためには、潮の動きを見極めてよい波を見つけることが大切です。潮の動き、波の状態を知らないと単にサーフポイントに足を運ぶだけで、サーフィンを楽しめるほどの波が、全くないということにもなります。

最近は各サーフポイントの潮の状態が詳しく分かるスマホアプリもあるので、サーフィンに行く前にしっかりとチェックしてよい波に出会えるようにしましょう。

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