スケートボードには、さまざまなトリックがありますが、今回は「ハードフリップ」について詳しく解説します。
ハードフリップは、キックフリップ・フロントサイド(ポップ)ショービットを習得している方におすすめで、比較的に難易度の高いトリックです。ハードフリップには、3つの回転パターンがありますので、それぞれの方法も解説します。ハードフリップを習得したい方は、ぜひ参考にしてください。
ハードフリップとは?プレッシャーフリップとの違いも紹介
まずは、ハードフリップとはどのようなトリックなのか、またプレッシャーフリップとの違いも紹介します。
ハードフリップの特徴
ハードフリップとは、フロントサイドポップショービット・キックフリップを複合したトリックです。インワードヒールフリップと同様、繊細な足の動きが求められます。
プレッシャーフリップとの違い
プレッシャーフリップとは、デッキが縦に回転するトリックです。後ろ足のつま先でテールの端のお腹側を潰すように押します。通常の場合、テールが地面に当たった直後は後ろ足を上半身に引きつけ始めるのですが、プレッシャーフリップでは少しの間テールに力を加え続けます。これにより、デッキに縦の回転をかける圧(プレッシャー)がかかるのです。
ハードフリップとプレッシャーフリップの大きな違いは、足の使い方。プレッシャーフリップは後ろ足でボードのバックエンドに圧力をかけ、前足は何もしません。
一方、ハードフリップはフロントサイドのポップショーとキックフリップの組み合わせなので、両方の足を使います。後ろ足はポップを行い、前足はキックポジションを取るという、前後の足の使い分けが必要です。
ハードフリップの回転パターンとその特徴
比較的に難易度の高いトリックですが、「縦回転」「横回転」「中間」の3つに分けることが可能です。ここでは、主な回転パターンである「縦回転」「横回転」である2つのパターンを紹介します。
縦回転の特徴
縦回転の特徴は以下の通りです。
- ポップショービットに近く、股下を通すような回転
- 前足のフリックはいらない
- 回転が不足しやすい
- 高さが出やすい
横回転の特徴
横回転の特徴は以下の通りです。
- 回転が独特
- かなり前足を使う
- 回転が足りない分を前足で運ぶ
- 高さが出にくい
ハードフリップの方法【縦回転】
ハードフリップには3つの回転パターンがあると紹介しましたが、まずは縦回転を紹介します。
スタンス
ノーズが上がってきたら、そのままデッキの前後を入れ替えるので、狭めにスタンスを取ります。このとき、ノーズ足は斜めにしておくとフリップがかけやすくなるためおすすめです。また、テール足は基本的にオーリーと同様、ビスよりに置いたり、つま先立ちしたりといった方法があります。
テールの蹴り方
真下または進行方向に向けて蹴り出すイメージを持つことが重要です。弾くというよりは、デッキを立てることを意識して蹴り抜くとよいでしょう。
フリップの回転を入れる
前足が邪魔をしなければ、テールを蹴るだけでノーズは立ち上がり、デッキは裏返ります。この時点ですでにフリップが半回転しているので、思い切ってノーズを飛び越えながら、前足で裏返ったデッキを擦るようにします。
このとき、デッキに引っかかりすぎるとデッキが立ったままの状態になるので、注意しましょう。
デッキをキャッチする
きれいに回転すると、デッキのテールが下から上に向かって上がるので、そこにノーズ足を乗せると、うまくキャッチしやすいです。また、ノーズでキャッチした後、テール足をデッキに乗せてあげるイメージで行うのもよいでしょう。
ハードフリップの方法【横回転】
次に、横回転ハードフリップを紹介します。
スタンス
横回転のハードフリップでは、フロントサイドフリップと同じようなスタンスを取ることをおすすめします。
テールの蹴り方
フロントショービットが可能ならば、同じ蹴り方でOKです。体の向きは、進行方向を向いて後ろに倒れ込むようなイメージで、テール足をおなか方向に蹴り出します。
フリップ回転を入れる
フロントフリップと同じ方法で、フリップ回転をさせます。キックフリップのように進行方向にデッキを振り抜いてしまうと着地が困難になります。よって、デッキのノーズよりも振り抜いた足の方が前に出るように意識して、足首のみを使うイメージで行うとよいでしょう。
デッキをキャッチする
キックフリップやフロントフリップの場合、ノーズ足はノーズ・テール足はテールに着地しますが、ハードフリップでは逆になります。
従って、フリップ回転をさせた後は、すぐにノーズ足でテールをキャッチ、テール足はノーズに着地する必要があります。エアウオークのように、素早く足を交差させるように動かしましょう。
最初は、横回転が90度になっても構わないので、体を動かさないでフロントフリップのようなイメージでチャレンジするとしやすいでしょう。
ハードフリップの方法【中間】
最後に、中間ハードフリップを紹介します。
スタンス
まず、後ろ足はF/Sポップショービットと同様、テールのビスよりも少しだけかかと側に置きます。前足をやや狭めに構えて、前方に対して少し角度をつけるようにしましょう。重心が背中側に傾きやすいスタンスとなっているので、デッキが地面と水平になるように意識するとよいです。
上半身のフォーム・目線
キックフリップやF/Sポップショービットをするとき、上半身を進行方向に対して横を向くように構えますが、今回のトリックでは少しだけ開いたフォームで行います。
頭の位置は前足の真上にある状態で行い、全体の重心は両足の中心または少しだけ前に残します。前足を視界に入れ、デッキをきちんと蹴り抜けるように意識するのがポイントです。
テールの蹴り方
テールの蹴り方は、人によって変わります。横回転ではF/Sポップに近く、縦回転ではオーリーに近いです。しかし、最初は回転方向を選ぶのではなく、とりあえず板を回転させることを意識しながら、テールを蹴るとよいでしょう。
そうすることで、自分に合った蹴り方や回転方向が自然に決まってくるでしょう。また、蹴る方向よりも、きちんとテールを弾くことを意識し、テールを弾いた後は足を素早く上に引き上げることを重視するとよいです。
前足の動作
ハードフリップで重要なのは、前足でフリップの回転をかけることです。方法は、蹴り上げるのではなく、板から素早く前足を外します。
板が回転できるスペースが自ずと与えられ、自分の下で回転させましょう。そして、板の回転に沿って、足首のスナップを使って蹴り抜きます。しかし、その動作が中途半端にならないように、ためらわず蹴り抜くのがコツです。
キャッチから着地
前足の動作が正しく行われると板はスムーズに回転するので、重心を崩さずに板が回るのを待ってからキャッチ・着地します。力加減が弱いと板が180°回転せず、スムーズな着地がしにくいでしょう。
「テールを弾く動作」と「前足で板を蹴り抜く動作」が、同じか6:4くらいのバランスになるように意識してください。
まとめ
ハードフリップは、フロントサイドポップショービットにキックフリップを合わせた回転でデッキを回すトリックです。その名の通り、ハードなトリックで体とデッキの動きが複雑です。理屈を理解しないと難しいトリックのため、今回紹介したことを参考にマスターしてみてください。