サーフボードを安全に使いこなすためには、ワックスが必須です。しかし、塗りっぱなしにしているとパフォーマンスが悪くなるだけではなく、ボードに良くありません。ワックスは、水温で種類を変える必要があり、適度な塗り直しが大切です。今回はワックスの正しい剝がし方を紹介します。
サーフィンワックスしっかり剥がしている?
せっかく塗ったサーフボードのワックスを、なぜ剥がさなければならないのでしょうか。ここでは、サーフボードワックスの役割や、剥がすことの必要性について解説します。
サーフボードのワックスとは
サーフボードのワックスには、足元や身体との間のグリップ(摩擦)力を高め、滑りにくくする効果があります。ライディング中のスタンスの確保はもちろん、パドリングや立ち上がりのとき、サーフボードから離れてしまうことのないようにするためにも、ワックスが必須です。
ワックスを塗る際は、わざと表面に粒状の凸凹をつけて、ひっかかりを良くします。ワックスがなければ、水中ではボードをうまくコントロールできません。
サーフボードのワックスを剥がす必要性
サーフボードのワックスを塗ることは、時間がかかるため、手間に感じる方もいるでしょう。できれば塗ったままにしておきたいのですが、サーフボードのワックスは、サーフィンをするたびに粒の部分が劣化していきます。ひっかかる部分が摩耗して滑りやすくなると、ワックス本来の役割が果たせません。ワックスをこまめに塗り直すことでグリップ力が保ち、思い通りのパフォーマンスができ、安全にサーフィンを楽しめます。
またワックスは、水温に対応できる種類が決まっているのが特徴です。季節がうつり、水温が変化してくると、それに合わせて適切なワックスに変える必要があります。冬用のワックスは、温度が上がると溶けます。夏用のワックスは、寒ければ硬くなりすぎてしまうのが特性です。
ワックスはその種類が使う気候に合っていなければ、意味がありません。種類を変えるときは、それまで使っていたワックスをきれいに剥がして、ベースコートから塗り直しすることが大切です。古いワックスをつけたままにしておくと、サーフボードの劣化を早めてしまいます。また、海水の成分を含んでしまうため、衛生的にも好ましくありません。
サーフワックスの塗り替え時期
サーフボードのワックスを塗り直す頻度は、人それぞれですが、どのタイミングが良いのでしょうか。剥がし時となる目安について説明します。
サーフボードのワックスを剥がす目安は?
サーフボードのワックスを剥がす目安は、時間経過ではなく「サーフィンを何回、どのような状況下で使用するか」によって異なります。頻繁に海に出るのであれば、ボードも汚れやすくなります。
サーフボードが汚れてきたり、ダマがつぶれて平らになってきたときは、剥がし時と考えておくと良いでしょう。また、重ね塗りをする場合に、新しいワックスのノリが悪くなったときは、一度剥がして塗り替える必要があります。
季節ごとに剥がす必要はあるの?
ワックスのトップコートには、対応する水温によってCOLD(冬用)、COOL(春・秋用)、WARM(初夏・初秋用)、TROPICAL(真夏用)の4種類があります。それぞれのトップコートの下地として、オールシーズン使えるベースコートを塗ってから重ねるのが一般的です。
安全にサーフィンをするためには、商品に表示されている水温を確認し、季節に適したワックスを使用しなければなりません。気温の変化によってワックスを変える際は、ベースコートからすべて剥がす必要があります。
「何月だから」ということではなく、サーフィンをする場所の水温を基準にしてワックスを選ぶことが必要です。種類の異なるワックスを塗るときには、しっかりと剥がしてベースコートから塗り直してください。
剥がし方①スクレーパーで剥がす
実際にワックスを剥がす際には、はじめに専用のスクレーパーで削って剥がします。スクレーパーの使い方について見ていきましょう。
サーフィンワックスを剥がすスクレーパーとは
海中の激しい動きの中で滑り止めの役割を果たすサーフィンワックスは、強い固着力があります。サーフボードに硬く付着しているため、簡単には落ちません。スクレーパーは、ワックスを効率良く除去するための専用アイテムです。
強靭ながら弾力のあるカーボンや、特製樹脂などの素材が使われており、ボードを傷つけないように角を丸くしたタイプもあります。握りやすく力を入れやすいグリップで、楽に作業が進められるように設計されているのです。
スクレーパーを使うときのポイント
専用のスクレーパーを用いても、「硬いワックスを剥がすのに夢中になりすぎて、ついボードを傷つけてしまった」ということがあります。できるだけボードを傷つけないためには、ドライヤーで少しずつ溶かしながら除去していくのがおすすめです。
ワックスは、熱に弱いため、少し温めるだけでやわらかくなっていきます。ただし、温めすぎるとドロドロになり、逆に取り除くことに苦労します。スクレーパーで削れる程度の硬さになるよう、ドライヤーを加減することが大切です。
冷えるとすぐに固まってしまうため、辛抱強く少しずつ温めながら剥がしていくようにします。
剥がし方②リムーバー液で拭き取り
スクレーパーだけでは、新しいワックスを塗れるほどはきれいにできません。サーフィンワックスを完全に剥がすために、リムーバー液を使って仕上げます。
サーフィンワックスのリムーバー液
スクレーパーで剥がし残したワックスを、リムーバー液で溶かして落とします。リムーバー液を全体に吹きかけて1分程度置き、浮き上がったワックスを乾いた布や紙で拭き取りましょう。ぬるぬるした部分がなくなるまで、しっかりと拭くことが大切です。
ワックスが残ると、新しく塗ってもうまく乗りません。完全に落とすために、さらに水で絞った布でふき上げます。また、ワックスを落とす商品には、粉タイプのリムーバーもあるため、「液体リムーバーの臭いが苦手」という方におすすめです。
粉をつけてこすると、ワックスがポロポロと落ちます。リムーバー液のように、拭き取りの布や紙を大量に必要としない点がメリットです。一方で粉と一緒にワックスが落ちて床に散らばるので、あらかじめ下に新聞紙などを敷いておかなければなりません。
リムーバー液をふき上げるのが大変な場合、試してみてください。
リムーバーの正しい使い方と注意点
リムーバーを多く吹きつけすぎると、垂れて汚す恐れがあります。心配な場合には、布や紙に垂らしたものを使って拭くと安心です。落ちにくいときには、リムーバー液で濡らした紙を、しばらく貼りつけておくと拭き取りやすくなります。
リムーバー液は、石油系溶剤です。発火や延焼の恐れがあるため、火の気のある場所で使用は厳禁。もちろん、くわえタバコでの作業は絶対にしてはいけません。また、キャンプやバーベキューなどの際には、焚き火のそばでサーフィンの手入れをしないように気をつけてください。
まとめ
サーフボードにとってワックスは、必要不可欠なものです。しかし、手入れを怠るとワックスの威力が低下し、良いパフォーマンスができないばかりか、安全にサーフィンを楽しめなくなる恐れがあります。サーフィン上級者ほど、こまめにワックスの状態を確認し、サーフボードを常に良好な状態に保っているものです。
ワックスの塗り方とともに剥がし方をマスターすることで、サーフィンへの自信をより一層深められます。季節に合わせたワックスを手に入れたら、メンテナンスが楽にできるアイテムをそろえておくと安心です。