サーフィンをはじめて波を横に乗れるようになってきたら、いろいろな技術にチャレンジしたくなるでしょう。その中でも「バックサイド」が難しいと感じる人が多いようです。こちらでは、バックサイドでの波の乗り方を上手にこなすコツについて解説していきます。
バックサイドが難しいと感じる理由とは?
波を目の前にして乗るフロントサイドに対し、バックサイドは波に背を向けるため視野が狭くなり、乗りにくいと感じる人が多いようです。 テイクオフをした後は姿勢が前かがみになり、肩が中に入ってしまう人が多くなっています。肩が中に入ってしまうと、さらに視野が狭くなってしまいますし、ターンのときに勢いがつきにくくなってしまうでしょう。また、中に入った肩を振り戻したくなって上体をひねってしまうので、サーフボード全体のターンが弱くなってしまうのです。
バックサイドはスピードを出しづらいという点も、難しく感じる理由のひとつと言えます。フロントサイドは前に重心をかけますが、バックサイドでは後ろに重心をかけるためスピードが出にくく、失速して倒れてしまう人も多いです。
では、苦手意識の強いバックサイドをスムーズにこなすために、どんな方法が有効なのか考えてみましょう。
バックサイドの基本的なやり方と練習法
バックサイドの練習をする際は、以下の点に気をつけてみましょう。
・正しい姿勢はマスト
バックサイドでは、視野が狭くなることからどうしても慎重になり、上体を縮めてしまいがちです。しかし、バックサイドをきれいにこなすためには、体を開くことがとても重要になります。体が柔らかい人は開きやすく、硬い人は開きにくいので、柔軟のトレーニングをすることも大切です。体が硬い人は、肩をできるだけ開いて腕をリードさせることで体が自然と開きやすくなります。
・つま先に重心をかけて目線を前に
重心と目線の位置は、バックサイドにおいて非常に重要なポイントになります。足元の波だけを見ていると、ターンした後のライディングに行き詰まってしまうからです。
バックサイドは波の質によって入り方が変わってきますが、共通して言えるのは、目線を前にして戻るべき波をしっかり確認することが大切だということです。そして、ターンに入る際にはできるだけつま先に重心をかけるよう意識しながら体を低くしていき、しっかりレールを入れてサーフボードが自然に回転するのを待ちましょう。
体を開いても人間の視野は限られていますので、できるだけ下を見ないで上半身は常にフラットな状態にしておき、いつでも先を見ることができるようにすることが大切です。
・波に手を入れて軸をつくる
ターンに入るとき、波に手を入れるとその部分が軸となってスムーズにターンできます。このときも肩を開いて片手を進行方向に向け、もう片方の手を波に入れることでスピーディーなターンが可能です。体が硬い人は、波に入れる手のひらを上に向けると体が開きやすくなります。
バックサイドでできる技の紹介
バックサイドがスムーズにこなせるようになったら、バックサイドでできる技にもチャレンジしてみましょう。ここでは、バックサイドで活用できる技を3つご紹介します。
・ボトムターン
ボトムターンはフロントサイドでも使う技ですが、バックサイドの場合は後ろのレールを立てて方向転換します。目線を横に向けて、少しずつ腰を落としながら波に向かって体を傾けていきましょう。体全体を使って板を傾けることでレールが波に入り、自然にターンしていけるのが理想です。
バックサイドのボトムターンは目線や体、サーフボードすべてを連動させておこなうので、フロントサイドのボトムターンよりも難しく感じるかもしれません。しかし、バックサイドでボトムターンができればその後のライディングがとてもスムーズになるので、ぜひマスターしてください。
・カットバック
乗っているうちに波が厚くなり、スピードが落ちてきてしまったときに掘れた場所に戻ることができる技が「カットバック」です。カットバックは、素早く方向転換することと波の動向を瞬時に読むことが必要な技で、少し難易度が高くなります。しかしカットバックができるようになると、失速しても波のトップに戻ってよりロングライディングが楽しめますので、ぜひマスターしましょう。
カットバックを練習するときは、波が失速する前のスピードが出ている状態がおすすめです。ターンするときに膝を落として少しずつ上体を低くし、回る方向の手を水面に入れ、逆の手を前に出してリードしながらサーフボードを回転させていきます。水面に手を入れることでバランスを取りやすくなりますので、初めて練習する場合はまずここから意識するとよいでしょう。
前に重心がかかりすぎると転びやすくなってしまうので、重心のバランスには十分気をつけながらターンを練習してください。
カットバックにおいても、目線は足元の波ではなく先の波を見ることがポイントです。ターンをするときには前ではなくターンする先、つまり水面の垂直に目線を動かすとしっかりターンできます。
・グラブレール
「グラブ」とは「掴む」という意味です。「グラブレール」はレールを掴みながら波に乗る技のことを言います。レールを掴むことで波のフェイスに入りやすくなり、チューブインなどのときに活用できるでしょう。また、崩れていく波に入ろうとする際にスープに煽られてしまいそうになったら、グラブレールでバランスを取ることもできます。
グラブレールはレールを掴むだけなので、大きなポイントはありません。チューブインのほかにも、ライディングが不安定になったときなどさまざまな場面で活用できますので、いざというときすぐにグラブレールができるよう練習しておくとよいでしょう。
・アップス&ダウンズ
「アップス&ダウンズ」は「トップから滑り降りる」「ボトムターンをする」の2つを繰り返してスピードをあげていく技です。アップス&ダウンズは「フェイス」と呼ばれる波が最も切り立った場所に合わせてターンをすることがコツとなります。
慣れていないとついターンした先に目線が向いてしまいますが、進んでいく波の先に目線を合わせると次のターンに進みやすくなるでしょう。波をよく見て、波に合わせてターンを繰り返すことが、アップス&ダウンズでスピードを上げていくコツです。ターンの際には前身に重心をかけるよう意識することで、よりスピードが出ます。
・スケボーを使って陸上で練習する方法
練習を重ねたいけれど頻繁に海へ出かけることができない場合は、スケボーを使って練習をするのもひとつの方法です。
バックサイドやカットバック、アップ&ダウンズにおいては、スケボーで移動しながら目線を先に持っていくよう意識することで、実際に波に乗ったときにスムーズに技を出しやすくなります。グラブレールはスケボーを掴みながらすべることで、波の上でもおこないやすくなるでしょう。平坦な陸上でおこなう練習よりも、スケボーパークでの練習がより水面で活かしやすいです。
まとめ
サーフィンすべてのテクニックに言えることですが、バックサイドやバックサイドで活用できる技は、体全体でサーフボードを操作することがポイントとなります。そのためには常に柔軟性を保ち、フラットな状態で波に臨むことが大切です。
上体だけをひねってターンするのではなく、体でサーフボードを傾けてターンするなど、体全体を使うことを意識してみてください。その瞬間の波や体の状態だけでなく、その先を見ることがスムーズなライディングにつながりますので、ぜひ姿勢や目線から意識しながら練習してみましょう。