初心者のうちは、スキー場でスキー板やその他のギアをレンタルすることが多いです。しかし、ある程度上達してくるとこだわりも出てくるため、スキー板の購入を検討するでしょう。今回は、そんなときに知っておきたい情報をまとめてみました。
スキー板を選ぶときの気になるポイントは
まずは、数あるスキー板の中から自分にあったものを選ぶために知っておきたいポイントを3つ紹介します。
板の種類とシーンで選ぶ
まず、スキー板には滑る目的に応じた種類があります。一般的にレジャーとして楽しむ人が使うものはオールランドスキーといわれるものです。
圧雪されたゲレンデ滑走するスキーのことですが、どんな滑りにも対応できるようにバランスよく作られています。特にターンからターンへの切り替え時の操作性を重視しています。
他にも、ジブやグラトリをするフリースタイルスキー、モーグルスキー、オールマウンテンスキーなどがあります。たとえばフリースタイルスキーは、通常のものよりも板の長さが短めでフレックスは硬めなど、さまざまな特徴があります。
まずは、どのような滑りをしたいかでスキー板の種類を選びましょう。
長さと太さ・軽さで選ぶ
種類が決まったら、次は自分に合ったスキー板を選んでいく必要があります。
サイズは自分の身長にあわせて適切なものを選ぶ必要があります。目安としては、以下を参考にしてみてください。
- 身長150cm:132~143cm
- 身長155cm:136~147cm
- 身長160cm:141~152cm
- 身長165cm:145~157cm
- 身長170cm:150~162cm
- 身長175cm:154~166cm
- 身長180cm:158cm~
スキー板の太さは3カ所見るところがあり、スキー板の前部(トップ)、中央部(ウエスト)、後部(テール)です。これらをあわせて「スリーサイズ」とも表現されます。一般的にはウエスト幅が広いほど安定しやすく、トップとテールは細い方が操作性が増します。
初心者で重さで選ぶ人は少ないかもしれませんが、参考にはなります。たとえばスピードを追求したい場合は安定感のある重いもの、まだ慣れていない初心者や、操作性を重視するモーグルスキーなどの場合は軽いものを選ぶ必要があります。
形状とスペックで選ぶ
形状は、サイズにかかわってくるのですが、もう少し詳しく紹介しておきます。スリーサイズの中でも、センター幅がもっとも滑りに影響するため、センター幅を目安にして選ぶと良いでしょう。
センター幅が70mm未満のものは、上級者向けです。競技でスピードをきそうようなデモスキーを志す人におすすめです。
初心者や多くのスキーヤーが使いやすいのは、70~80mmのものです。圧雪されたゲレンデを滑って楽しむすべての人に適しています。70〜80mmの幅の中でも、幅が広いものほど非圧雪エリアでも滑りやすくなり、より幅広い雪質に対応することができます。
深雪や非圧雪のパウダースノー好きには、80mm以上のものが適しています。センター幅が狭いと、足の重みでスキー板が沈みがちになるためです。
人気のスキーメーカー 特徴とコンセプトは
次にスキー板で人気のある、代表的なスキーメーカーを3つ紹介します。
ビンディングとブーツも人気 SALOMON(サロモン)
「SALOMON(サロモン)」はスキーをしている、していないにかかわらず知らない人はいないといっても過言ではない老舗メーカーです。ビンディングやブーツなど、スキー用品はもちろんのこと、ウインタースポーツ以外でも、アパレルやバッグなどが世界中で愛用されています。
サロモンの始まりは、1947年にフランスのアヌシーで、サロモン一家がスキーエッジの製造をスタートしたことでした。
その後、スキービンディングやアルペンスキー板へ製品ラインナップを広げ、1997年にスキー板が発売されました。長年で培われたその技術力ゆえに、長野オリンピックハーフパイプ銀メダリストのダニエル・フランクをはじめ、多くのプロ選手に愛用されるメーカーとなっています。
公式はこちら:Homepage | Salomon
スキー界の方向性を決定 elan(エラン)
「elan(エラン)」は1948年にスロベニアのメーカースロベニアで設立されたスポーツ用品メーカーです。
1970年代に「史上最強の天才スラローマー」と称されたスウェーデンのステンマルク選手がエランの板を使い続けていたことで、一躍注目を浴びました。日本の選手でいうと、高梨沙羅選手も、かつてはエランのスキー板を使用していました。
スロベニアという中央ヨーロッパの中でも人口の少ない国で生まれたブランドですが、今や世界中で愛されるブランドとなりました。
公式はこちら:エランジャパン株式会社|ELAN JAPAN
Made in Japanクオリティ OGASAKA(オガサカ)
「OGASAKA(オガサカ)」は、1958年に日本の長野県で生まれたスキー用品メーカーです。
日本でもいくつものスキー用品メーカーが生まれてきましたが、廃業や撤退が続き、今も愛されるスキー用品メーカーは少ないです。その中の代表的な存在がオガサカであるといえるでしょう。
日本発メーカーということで、日本人スキーヤーの体にあったもの、そして日本らしい繊細なもの作り技術でファンを獲得しています。
公式はこちら:オガサカスキー | アルペンスキー・ノルディックスキー・スキー用品 & 製作・販売
アルペン競技におすすめの人気メーカーは
続いて、滑りの目的ごとにとくにおすすめのスキー板メーカーを紹介します。まずはアルペン競技用です。
フランスの老舗メーカー ROSSIGNOL(ロシニョール)
「ROSSIGNOL(ロシニョール)」は、フランスの老舗メーカーです。1907年にロシニョールがスキー板作りをはじめていますが、スキー板の製造、販売を注力しはじめたのは1955年と、かなり時間が経ってからのことでした。
フランスのメーカーですが、日本人の基礎スキー用にジャパンモデルとして出ているものも多く、日本人でも使いやすいでしょう。老舗メーカーの安定した技術力を感じてみてください。
公式はこちら:グループ ロシニョール
世界最大のスキーメーカー ATOMIC(アトミック)
「ATOMIC(アトミック)」は1955年にオーストリアのメーカーオーストリアで、当初はスキー板の専業メーカーでした。その後、スキー用品全般に商品ラインナップを拡大し、世界最大のスキー用品メーカーへと成長しています。しかしながら、1994年に破産に至っています。現在はサロモンと共にアメアスポーツ・グループ入りをしています。
日本人選手では皆川賢太郎氏が、ATOMICのスキー用品を利用していたため、知名度も向上しました。
公式はこちら:アトミック — We are skiing
オリンピックメダリスト御用達 HEAD(ヘッド)
「HEAD(ヘッド)」は1950年にアメリカで生まれ、オリンピック選手もそろって愛用するような、プロも認めるメーカーです。ちなみに、他にもテニスラケットなども手掛けています。
テニスラケットもプロ選手に愛されており、ジョコビッチ選手、シャラポワ選手が愛用していることで知られています。一方で、スキー板は、平昌オリンピックで、アルペンスキー競技のメダリストのうち42.9%もの選手がヘッドのスキー板を使用していたというほどの驚異的な人気を得ています。
公式はこちら:Home
モーグル競技に使われる板は日本製が大人気
続いて、モーグルにおすすめのメーカーを2つ紹介します。
五輪出場選手の70%が愛用 ID one(アイディーワン)
「ID one(アイディーワン)」は日本の大阪生まれのメーカーです。設計やデザインにとくに思いをこめているメーカーで、日本らしいメーカーともいえます。
日本人選手からも多く愛されており、上村愛子氏、モーグル日本代表のチーフコーチも務め、元プロ選手でもあるヤンネ・ラハテラ氏などが使用したことでも有名になりました。
公式はこちら:ID one アイディーワン モーグル フリーライド 日本製スキーブランド
アメリカから日本へ Hart(ハート)
「Hart(ハート)」は1955年にアメリカで設立されたのち、フリースタイルスキーのスキー板で高く評価され、世界中に広まった由緒正しい老舗メーカーです。
日本ではアルペングループ入りしたジャパーナが、ジャパンモデルを製造、販売しており、日本のスキーヤーにも愛されています。近年ではソチオリンピック出場の遠藤尚氏、村田愛里咲氏がハートのスキー板を使用していました。
ハートの公式HPは、下記リンクより確認できます。
公式はこちら:Hart Skis
ジャンプ競技に使われる板の人気メーカーは
最後にジャンプで人気のメーカーを3ブランド紹介します。
ジャンプ板のレジェンド FISCHER(フィッシャー)
スキー板だけでなく、アイスホッケー用品でも人気を誇るのがオーストリア発のFISCHER(フィッシャー)です。日本でジャンプの選手というと伝説ともいっても過言ではない葛西紀明選手がいますが、葛西選手もフィッシャーのスキー板の愛用者でした。ジャンプ板だけでなく、幅広いウインタースポーツ用品でトップメーカーの座を築いています。
公式はこちら:FISCHER(フィッシャー) 日本公式サイト – GOLDWIN
イメージカラーのピンクで勝負 BWT(ベストウォーターテクノロジー)
先ほど紹介したフィッシャーのセカンドブランドであるBWT(Best Water Technology、ベストウォーターテクノロジー)。BWTは水処理関連の大手企業です。2017年に入ってスキー板の販売に進出し、コーポレートカラーであるピンクを打ち出したスキー板を作っています。このスキー板の製造をフィッシャーが担っているのです。長年で培われたフィッシャーの技術力と、BWTのコラボに期待大です。
公式はこちら:Water is our global mission – BWT
高梨沙羅選手愛用 Slatnar(スラットナー)
Slatnar(スラットナー)は、高梨選手が使用していることで注目を浴びているメーカーです。当初は「スラットナー・カーボン」というブランドで知られるスキージャンプ用のビンディングを製造する会社でした。しかし、先ほど紹介したスロベニアのエランがジャンプ用のスキー板事業から撤退することとなり、その製造部門がスラットナーへ移管され、ジャンプのスキー板の販売事業に参入しています。
公式はこちら:Slatnar & Improving Your Best
まとめ
スキー板の購入時には、自分に最適なものを選ぶ必要があります。その際に知っておきたいポイントをまとめて紹介しました。ぜひ自分に合ったスキー板を見つけて、上達を目指してください。