2014年のソチオリンピックから新しくオリンピック競技になったスキーハーフパイプ。どのような競技なのか気になるという人も多いのではないでしょうか。今回は北京オリンピックでも注目が集まるスキーハーフパイプを紹介します。
スキーハーフパイプとは何か
スキーハーフパイプは、冬季オリンピックでも盛り上がりを見せる人気の種目です。しかし、特徴やルールが分からないという人もいるでしょう。ここでは、スキーハーフパイプのルールや採点方法を紹介します。
専用のコース内で技を披露し得点を競う
スノーボードのハーフパイプと同じ雪面を半円状に掘り下げたコースの中で行われる競技です。名前のとおりで、「パイプ(円柱)」を半分にカットしたような形の斜面を滑りながら、ジャンプを繰り返して、技を競います。大会によって異なりますが、国際大会ではコース幅が左右15~20m、左右の壁の高さは6~7m、コースの長さは120~160m程度です。
ソチオリンピックで初採用
ハーフパイプの起源は、アメリカのスノーボーダーがごみ処理場の敷地内にあった半円形の地形を利用して滑ったことから始まったと言われています。その後、スキーハーフパイプへと発展し、現在のスタイルとなったのは1990年代頃。2014年のソチオリンピックで、オリンピックの正式種目として採用されました。
大会ルールや採点方法を解説
スキーハーフパイプは、ジャッジによって判定され、ポイントの多い選手が上位となります。ジャッジは複数人で行われ、各ジャッジが100点満点で採点し、最高点と最低点を除いた4名のジャッジの平均点が得点となるのです。
採点は以下の5つの基準で行われ、評価されます。
- Execution(演技の完遂度)
主に空中での体勢で、体をコンパクトにして回すことができているかが見られます。 - Difficulty(難易度)
ジャンプの難易度で、回転数が多いことはもちろん、コークやロデオと呼ばれる3D系の技は高く評価されます。 - Amplitude(高さ)
ジャンプの高さは非常に重要視され、高さを出すにはスピードを出して、勢いをつける必要があります。 - Variety(多様性)
技の多様性です。同じ技ばかりを連発するよりも、さまざまな多様性を求められます。 - Progression(発展性)
新しい技はスキーハーフパイプの競技自体を進化させるとして、評価されます。
スキーハーフパイプの技の種類
スキーハーフパイプの見どころのひとつに、選手たちが繰り出すダイナミックな技が挙げられます。どのような技があるか気になっている人も多いのではないでしょうか。ここでは、スキーハーフパイプの技を紹介します。
トリックの代表格。グラブ
最初に紹介する技は、スキーハーフパイプの代表格ともいえる「グラブ」です。グラブとは、ジャンプで空中にいる間に、手でスキー板を掴むことを指します。
右手で左足、または左手で右足のつま先部分を外側から掴む「ミュートグラブ」が有名です。他にも、右手で左足、または左手で右足の足裏部分を外側から掴む「セーフティグラブ」、スキーのテール(後ろの部分)を外側または内側から掴む「テールグラブ」、両手でスキーを掴む「ダブルグラブ」があります。
勝敗を左右する大技。ダブルコーク
「ダブルコーク」は、大会では多くの選手が挑戦しますが、きわめて難易度が高い技の1つです。フロントサイド540とバックフリップをあわせた技を「コーク」といい、それぞれを2倍したフロントサイド1080とダブルバックフリップを同時に行います。ボトム(ハーフパイプの底)側に回転軸が傾けながら、頭が2度真下を通過するというトリック技で、着地は後ろ向きになるのが特徴です。
スキーハーフパイプに必要な道具と練習方法
ここまでは、スキーハーフパイプのルールや技を紹介しました。これからスキーハーフパイプを始めようと考えている人もいるでしょう。ここでは、スキーハーフパイプの始め方を紹介します。
ツインチップスキー板と短いストックを使用
スキー板は、板の後ろの部分も反り返っている「ツインチップスキー」と呼ばれるものを準備しましょう。前傾姿勢を取ることが多いので、ストックは少し短いものを使うことが一般的です。その他、ブーツ、小物類は通常のスキーと大きな違いはありません。スキー経験者であれば、道具を買い揃えることなく始めることができます。
まずはドロップインとジャンプを練習
スキーハーフパイプの最初の難関といわれているのが「ドロップイン」です。
まずはリップ(デッキの縁の部分)に平行に進んで行き、上半身が壁に対して垂直になるようにしてドロップインします。底に向かってジャンプしてしまうと危険なので、しっかりイメージしてから入りましょう。
無事コースインしたら、次は「ジャンプ」です。まずは、深い弧を描いて、上に向かって軽くジャンプするイメージを持ちましょう。最初から高く飛ぼうとせず、リップに向かって斜めに入ることを意識してみてください。垂直に入ると、ジャンプの難易度が高くなります。
コツがつかめたらトリックに挑戦しよう
トリックに挑戦するのは、ドロップインはもちろん、ジャンプも問題なくできてからで十分です。ジャンプをして、安全に着地することが最初の目標になります。練習は、スキーハーフパイプの基本的な技「グラブ」から始めましょう。
【2022冬季五輪】スキーハーフパイプの日程
スキーハーフパイプは、2022年2月に開催される北京オリンピックでも行われます。日本代表選手たちの活躍にも注目したいところ。スキーハーフパイプは、以下の日程で行われます。
・2月17日(木)
10:30〜11:19 女子ハーフパイプ 予選Run1
11:21〜12:10 女子ハーフパイプ 予選Run2
12:30〜13:15 女子スキークロス 予選
13:30〜14:19 男子ハーフパイプ 予選Run1
14:21〜15:10 男子ハーフパイプ 予選Run2
・2月18日(金)
10:30〜10:55 女子ハーフパイプ 決勝Run1
10:57〜11:22 女子ハーフパイプ 決勝Run2
11:24〜11:49 女子ハーフパイプ 決勝 Run3
・2月19日(土)
10:30〜10:55 男子ハーフパイプ 決勝Run1
10:57〜11:22 男子ハーフパイプ 決勝Run2
11:24〜11:49 男子ハーフパイプ 決勝Run3
【男子】スキーハーフパイプ日本代表・強化指定選手を紹介
ここでは、男子スキーハーフパイプ日本代表選手や指定強化選手を紹介します。
高橋佳汰
高橋佳汰(たかはしけいた)選手は1998年3月5日生まれ、神奈川県出身です。2017年に行われたFIS Dalma Open、コンチネンタル杯で4位の好成績を収め、話題となりました。同年のFIS Oze Tokura Freeski Openでは3位入賞を果たした、今注目の選手です。
松浦透磨
松浦透磨(まつうらとうま)選手は2002年9月23日生まれ、岐阜県出身です。7歳から競技を始め、さまざまな大会で好成績を収めます。2020年のローザンヌユースオリンピックでは日本代表として活躍。2021年の全日本スキー選手権では優勝を飾り、注目を集めました。
山本泰成
山本泰成(やまもとたいせい)選手は2001年3月29日生まれ、東京都出身です。平昌オリンピックへの出場経験があり、スキーハーフパイプの選手としては日本人初のオリンピック出場を果たしました。2021年の世界選手権では17位という好成績を収め、話題となっています。
【女子】スキーハーフパイプ日本代表・強化指定選手を紹介
ここでは、女子スキーハーフパイプ日本代表選手や指定強化選手を紹介します。
鈴木沙織
鈴木沙織(すずきさおり)選手は1990年1月9日生まれ、山形県出身です。2015年のFISレースでの優勝や平昌オリンピックでの活躍で知られています。2021年のヨーロピアンカップ、同年の全日本選手権でも1位を獲得。山形県よりスポーツ栄光賞が授与されたことも知られています。
桐山菜々穂
桐山菜々穂(きりやまななほ)選手は1996年7月19日生まれ、岐阜県出身です。フリースタイルスキーヤーとして活躍しており、2015年のFIS世界ジュニア選手権ではスロープスタイルで優勝を飾り話題となりました。2019年のFIS NorAm Cupではハーフパイプで3位をマークしています。
スキーハーフパイプの魅力を知ろう!
スキーハーフパイプは、そのダイナミックさから、若者を中心に人気が高まっているスポーツ競技です。北京オリンピックでは3日間の工程で行われます。今回紹介したルールを覚えて、日本代表選手の活躍を応援しましょう。