昨シーズン使ったままのスノーボードで、今シーズンを迎えようとしていませんか?洋服はクリーニング、靴は磨いてメンテナンスするように、スノボ板もメンテナンスが必要です。メンテナンスに使うワックスの種類、その使い方を紹介します。
そもそもスノボ用ワックスとは何か
スノボ板のメンテナンスにはワックスを使用します。まず何のために使うのか、チェックしてみましょう。
スノボ板の滑りを良くするためのもの
ワックスを塗ることによる1番のメリットは、滑走性能をあげてくれることでしょう。スノボ板は一般的にプラスチック製です。雪は見ている分には美しいですが、氷の結晶なので、摩擦によるスノボ板の傷は避けられません。傷ができてしまうと、雪が引っかかりやすく、安定した滑りをしづらくなってしまいます。
また、摩擦でスピードも出にくくなるのは、想像がつきますよね。つまり、メンテナンスを怠ると、滑れば滑るほど上達するどころか、パフォーマンス低下に繋がってしまうということです。
スノボ板が傷むのを防ぐ効果も期待できる
摩擦による静電気で、汚れもつきやすくなってしまいます。それを防いでくれるのもワックスで、表面がなめらかにしながら、下地となってスノボ板を守ってくれます。傷もつきづらくなるので、良い状態を保ちやすくなります。スノボ板はそう簡単に買い換えられるものでもないので、長持ちさせるためにも、メンテナンスは必須といえるでしょう。
スノボ用ワックスの種類
ワックスにも種類があり、さまざまな形状のものがあります。ちなみに、スキー用、スノボ用という表記があるものがありますが、これはどちらでも構いません。大きさによる内容量の違いであることが多いです。
ベース、クリーニング、滑走用。固形型
ワックスといって最もベーシックなのが、固形型です。パラフィンワックスとも呼ばれ、パラフティン(=『ろう』という意味)の名前の通り、ろうそくのロウのようなタイプで、もっとも汎用性のあるワックスといえます。
ちなみに、ワックスにはクリーニング、ベース、滑走と主に3つの用途があります。それぞれについては以下で説明しますが、固形ワックスはどれにでも使用することができます。
- クリーニングワックス
汚れをとるためのワックスで、塗って剥がすを繰り返すことできれいにします。 - ベースワックス
滑走ワックスを塗る前の下地として使用するもので、クリーニングワックスの役割を兼ねているものも出ています。 - 滑走ワックス
ボードの滑りをよくするためのワックスで、気温や雪の温度によって種類があります。
固形ワックスは、アイロンなどを使って使用します。
滑走用、応急処置として使用。スプレー型
固形ワックスよりも手軽で利用しやすいのがスプレー型です。持続性はないですが、スタート時に加速を追求して使用するなど、応急処置的に使われることも多いです。スプレー型のものはその手軽さと、フッ素入りで非常に高価なものが多いです。緊急時以外は、持続性の観点からも、固形型もしくはパウダー型がおすすめです。
スタートワックスとして使用。パウダー型
パウダー型もその手軽さゆえにスタート前などで利用されますが、持続性は短いです。またこちらも高価です。基本的には競技選手でない限りは、ほとんど必要はないといえます
おすすめのスノボ用ワックス
固形型、スプレー型、パウダー型のワックスについて説明しましたが、実際におすすめのワックスを紹介します。
オールインワンホットワックス。TOKO HOT WAX
NFオールインワンワックスは、滑走性能があるハイドロカーボンワックスです。
万能なワックスで、用途は先ほど紹介した3つのクリーニング、ベース、滑走用途いずれとしても利用することができます。雪質も、温度もなんでもOKなので、使い分ける必要がありません。
ベース、クリーニング、滑走用。GALLIUM BASE WAX
ガリウムのワックスは、スキー、スノーボードの日本代表だけでなく世界各国のナショナルチームも愛用しています。1983年よりワックスの研究をしているガリウムは、スピードを追求するためにあらゆる素材や技術を開発してきました。
そんなガリウムのBASE WAXは、雪質を問わず、用途もオールマイティです。テクスチャはほどよく固く、とても扱いやすいことも特徴といえます。それでいて、とてもリーズナブルな価格なのがうれしいです。
全雪質に対応、滑走用。GALLIUM GENERAL F100
ガリウムのGENERAL F100は全雪質に対応しており、フッ素配合のスプレーワックスです。スプレーワックスは高価なものが多いと紹介しましたが、これならコスパが良いです。
ゲレンデコンディションの悪い時にさっと振れるように、ポケットに忍ばせておくことのできるサイズ感で、重宝します。
滑走、スタート用。TEAM RESCUE WAXイチバン+ / ICHIBAN+
こちらはパウダー型のワックスです。白色のパウダー状で、静電気でくっつくという樹脂で作られています。新たに配合した親水成分によって、持続性がアップしています。可能であればスポンジなどで、さっと塗って使用しますが、ゲレンデで使用する場合は擦りこむだけでもOKです。その場合は何度も擦り込んで使用してください。
全雪質で使用することができ、滑走温度帯はマイナス20度以上であれば問題ありません。
固形型ワックスの2種類の塗り方
ワックスを購入しても、正しい塗り方をしていないと効果は発揮されません。固形型ワックスの場合、生塗りまたはホットワックスがあります。それぞれの塗り方をチェックしてみましょう。
ブラシ、コルク、スクレーバーを使用。生塗り
生塗りとは、この後紹介するアイロンを使用せずに塗る方法全般のことを指します。
アイロンを使う時間がない時のほかに、アイロンで塗ったあとに更にスピードを求めて生塗りすることがあります。たとえば、大会でとにかくスピードを追求したい時や、ゲレンデコンディションが悪いときなどです。ちなみに生塗りではフッ素高含有ワックスを使うことが一般的となっています。
<用意するもの>
- 固形ワックス(生塗りに使えるワックス)
- コルク
- スクレーパー
- ナイロンブラシ
- 馬毛ブラシ
<塗り方>
- まず汚れをとることが重要です。ソールについている汚れはすべて、スクレーパーを使って削り取りましょう。それでも取りきれないものは、ナイロンブラシを使用します。
- 汚れが取れたら、ソール全体にワックスをまんべんなく伸ばし、コルクを使ってソールを擦ります。この時のポイントは、摩擦熱でワックスを溶かして、ソールに浸透させることです。
- 浸透したら、ナイロンブラシでブラッシングします。
- 最後に、馬毛ブラシでソール全体をブラッシングすれば終わりです。
専用のアイロンの温度を利用。ホットワックス
続いて、固形ワックスの基本的な塗り方であるホットワックス、つまりアイロンを使用しての塗り方を紹介します。
アイロンは通常、洋服に使用するものでも利用することはできますが、塗りづらく、ムラにもなりやすいのでおすすめしません。また一度ワックスを塗るのに使うと、ワックスがアイロンについてしまうため、洋服には使えなくなります。
<用意するもの>
- 固形ワックス(ホットワックスに使えるワックス)
- 専用のアイロン
- ワックスリムーバー(クリーナー)
- ティッシュペーパー
- スクレーパー
- ナイロンブラシ
- 馬毛ブラシ
<塗り方>
- まず下準備として、汚れをしっかり取っておきましょう。ティッシュペーパーにワックスリムーバーを染み込ませ、ソールの汚れをとりましょう。次に、バインディングのビスをゆるめておくとワックスがけしやすいです。ビスが締まっていると、ソールが凹んでいるため扱いづらくなります。これで準備完了です。
- 固形ワックスを約100度のアイロンにつけて、表面を少し溶かします。溶けたワックスを擦りつけるようにして、ソール全体にワックスをつけます。
- 約100度のアイロンでソールに擦りつけたワックスを溶かしながら、素早くアイロンをかけます。満遍なくかけおわったら30分ほど、そのままにします。
- 完全に冷めたら、スクレーパーの角でワックスを削って、ソールからワックスをはがします。
- ナイロンブラシでブラッシングして、不要なワックスを取り除きます。
- 最後に、馬毛ブラシでソール全体をブラッシングすれば終わりです。
スプレー、パウダー型ワックスの塗り方
続いて、スプレー型とパウダー型の塗り方も紹介します。固形型ほど煩わしくも、難しくもありません。
コルク、ブラシを使用。スプレー型の塗り方
スプレータイプのメリットは、持続性は劣るとしても、手軽にワックスをかけることができます。ゲレンデで利用する場合は綺麗に汚れを落とせないですが、可能な範囲でソールの汚れを取り除いてから使用することが望ましいです。
<用意するもの>
- スプレーワックス
- コルク
- ナイロンブラシ
<塗り方>
- スプレーを振る前に、スプレー缶をよく降ります。そして付属のスポンジをソールに押し当て、ワックスを塗り、乾くのを待ちます。
- ワックスが乾いたら、コルクでワックスをまんべんなく塗り広げていきます。
- 最後にナイロンブラシでととのえれば完成です。
スポンジで重ね塗り。パウダー型の塗り方
パウダータイプも手軽に使用することができます。パウダータイプも、先に汚れを取り除いておくことが望ましいです。
<用意するもの>
- パウダーワックス
- タオル(水分を拭き取れるもの)
- スポンジ
<塗り方>
- ワックスを塗る前に水分を拭き取っておきましょう。
- できればスポンジにパウダーをのせてから、ソールに塗り込みます。ちなみに、一度滑走後に再度重ね塗りすることで、滑走性がより高まります。
スノボ用ワックスはいつ塗るべき?
ワックスの塗るタイミングも迷うものです。とくに固形ワックスは手間がかかるので、頻繁に塗るのは難しいです。効果的なタイミングを紹介します。
滑りに行く前と帰宅後に塗る
最も丁寧なのは、スノボ板を使う前、使った後に毎回塗ることです。
といっても、シーズン中に何度も滑る人にとっては煩わしいでしょう。せめて目立つ汚れを落として、簡易的ですがスプレータイプのワックスをかけておくだけでも十分でしょう。
シーズン終了後に塗る
シーズン最後に、お世話になったスノボ板に感謝の気持ちも込めて、丁寧なメンテナンスをしてみてはいかがでしょうか。
来シーズンまでしばらく使わなくなるので、その前に綺麗にしておくと、もちにも大きく影響します。ビンディングをはずして、汚れを綺麗にとって、ワックスがけをしましょう。どうしても時間がない、面倒だという人はショップでプロに依頼することもできます。その金額等は、後ほど『チューンナップを行っている店舗と値段』で紹介します。
ぜひ丁寧に磨いて、1年の健闘を称えてあげましょう。
ホットワックスは夏に塗る
夏は暑いですよね。つまりアイロンを使わなくても、気温でホットワックスをかけることができるのです。手間いらずという口コミで広がっているようですが、自己責任でお願いします。
方法は、先ほど『専用のアイロンの温度を利用。ホットワックス』で紹介したように、ワックスを全体に塗ります。 そして日中に車内に放置しておくというものです。たしかに真夏の車内は蒸し風呂状態で、かなりの高温となるのは間違いありません。
そして翌朝に見ると表面に気泡が出てくるそうで、これが出ていれば成功で、空気が抜けてワックスが浸透した証拠です。
100均の商品でワックス台を手作りしてみよう
ワックスを塗る際に、地べたではなく台があると便利です。ワックス台として販売されているものはありますが、5000円〜1万円ほどかかってしまいます。自宅で台として適切なものがない場合に、100均の商品で台を作ることができるので、2パターンを紹介します。
2種類のアイテムだけでワックス台を手作り
2種類、合計3品で簡単にワックス台を作ることができます。
<用意するもの>
- 100均のお風呂用の椅子(2個)
- すべり止めマット
<作り方>
作り方というほど難しい話ではありませんが、椅子の座る部分と同じくらいの大きさに合わせてすべり止めマットを切ります。それを椅子に乗せれば完成です。
ワックスを塗らない時は、椅子を2個重ねて直しておけば、さほどスペースをとることもありません。
100均の折りたたみ椅子で自作する方法
使わない時は、お風呂用の椅子よりももっと省スペースで保管したいという人向けにとっておきの情報です。折りたたみ椅子で作れるとなるといかがでしょうか。
<用意するもの>
- 100均のキャンプ用の折りたたみ椅子(2個)
- すべり止めマット
- 多用途ボンド
- 割り箸
<作り方>
キャンプ用の折りたたみ椅子の足部分に多用途ボンドを割り箸で伸ばします。そこに、すべり止めマットを巻きつけます。次に、座る部分の布は不要なので、これを切り取り、同じようにすべり止めを巻きつけます。
これを2個作れば、この上にスノボ板をのせて、ワックスを塗ることができます。
チューンナップを行っている店舗と値段
ここまで、ワックスの塗り方を紹介しましたが、自分でできるスノボ板のメンテナンスにはやはり限界があります。シーズン始まりまたは終わりなど、年に1回くらいはプロにお願いするのも良いでしょう。
板の保管サービスも実施。Victoria
スポーツ用品ショップ『Victoria』では、チューンアップはもちろん、そのあと使わないシーズンオフの間は保管サービスも実施しています。3~9月まで預かってもらうことができ、無料で自宅へ配送してもらえるので返却時も楽です。
WEB店舗。スノーボードメンテナンスセンター
スノーボード歴27年、チューンナップ歴も21年という経験豊富なオーナーがメンテナンスを手がけてくれるので、安心できます。さまざまなプランがあり、1番人気は『こだわりパック』で1万5000円です。下記リンクの公式HPよりパックの詳細、またほかのプランも確認することができます。
スノーボードのメンテナンス専門店 | スノボーメンテナンスセンター
まとめ
スノボのワックスの役割や種類、そして使い方などを紹介しました。ワックス塗りは、パフォーマンス向上のためにも、また大切なスノボ板を長く使うためにも非常に大切です。日常的に行う自分でのメンテナンスはもちろん、プロのチューンナップもあわせて検討してみてください。