タイムトラベル映画の金字塔といえば、「バック・トゥ・ザ・フューチャー 」三部作です。なかでも、PART2に登場した空中に浮く「ホバーボード」に衝撃を受けて、スケボーに興味を持った人もいるでしょう。今回は、映画の概要を簡単におさらいし、スケーターの夢であるホバーボードの実現について紹介します。
バック・トゥ・ザ・フューチャーのスケボーとは?
公開から35年以上がたった今でも、多くの人に愛され続けるバック・トゥ・ザ・フューチャーの概要を振り返りましょう。
バック・トゥ・ザ・フューチャーとは?
「タイムトラベル映画の歴史を塗り替えた」といわれる1985年公開のPart1。興行的に世界的な大ヒットを記録したばかりではなく、全米で「フューチャー現象」といわれるブームを巻き起こしました。
1985年、主人公の高校生マーティは、ブラウン博士(通称:ドク)が発明したタイムマシン「デロリアン」の実験中にテロリストの襲撃に遭って、1955年にタイムトラベルします。そこで出会ったのは、若き日のドクやまだ高校生だったマーティの両親でした。本作では、両親の仲を取り持つために奮闘するマーティの姿が描かれます。
家族の絆や青春の出来事が面白おかしく繰り広げられる様子は、幅広い年代から支持されています。劇中に登場するファッションはもちろん、マーティが得意とするスケボーにも注目が集まりました。
1989年に公開されたPart2は、無事に1985年に戻ったマーティの前にドクが現れ、未来のマーティの息子が窮地に陥ると告げることから始まります。それを回避するため、マーティは恋人のジェニファーとドクの3人で2015年に向かうことに。
30年後の未来では、さまざまなところでテクノロジーの進化が見られます。空を飛ぶ車やホバーボード、自動でサイズを調整してくれるジャケットやスニーカーといった未来のアイテムに、当時の人々は大きな夢やロマンを抱きました。
1990年公開のPart3の舞台は、西部開拓時代。前作のラストでデロリアンとともに雷に打たれて消えたドクを追って、マーティは1885年へ向かいます。
ドクのラブロマンスをマーティが応援するシリーズ最終作のラストシーンで描かれたのは、「未来は白紙だよ。君たちもいい未来を創りたまえ」と言い残して去っていくドクの姿でした。タイムマシンの開発を何度も後悔してきたドクを象徴するセリフで物語は完結しました。
主人公がスケボーを使いこなす
主人公マーティが得意とするスケボーは、Part1の公開で一気に人気が広まったといわれています。Part1で有名なのは、スケボーを使ったチェイスシーンでしょう。
悪役から逃れるために、現代(1985年)ではスケボーを得意とするマーティは、とっさに子どもたちが乗っていた木製キックスケーターを借り、ハンドル部分を外してスケボーにしました。
タイムトラベルで過去に戻っているから、もしかしたらマーティの様子を見てスケボーが誕生したのかもしれないというタイムトラベルものらしい「if(もしも)」も感じさせる演出です。板と地面の摩擦で散る火花や、車の後ろにつかまってスケボーを巧みに操る姿に憧れた人も多いのではないでしょうか。
Part2で印象的なのは、なんといっても空中に浮くホバーボードの登場です。バック・トゥ・ザ・フューチャーのスケボーと聞くと、ホバーボードを思い浮かべる人も多いでしょう。マーティは前作と同じように、少女が持っていたキックスケーター型ホバーボードを借り、ハンドル部分を外してスケボーにします。
前作をなぞるようなチェイスが「空中に浮くスケボー」というアイテムで繰り広げられるシーンに、多くの人が胸を躍らせました。
バック・トゥ・ザ・フューチャーの「ホバーボード」が実現!?
劇中では2015年にホバーボードが登場していますが、2015年がすでに過去となった現在、果たしてホバーボードはどこまで実現しているのでしょうか。
Part2のレプリカが販売された
実物と同じ1分の1スケールのレプリカ「バック・トゥ・ザ・フューチャーII ホバーボード 1 / 1スケールモデル」が販売されています。レプリカですので、残念ながら映画のように空中に浮くことはありません。
とはいえ、マテル社から正式にライセンスを与えられた商品であり、見た目の再現度の高さはさすがの一言。コスプレやハロウィンの仮装にはぴったりです。
さまざまな企業がホバーボードを開発中!
劇中のように街中を自在に乗りこなす姿はまだ見かけないホバーボードですが、実現に向けてさまざまな企業が開発に乗り出していることは、あまり知られていないでしょう。
最も有望とされているのが、「HENDO」というスケボー。4つのディスク型ホバーエンジンを搭載し、磁場を利用して浮く仕組みです。磁力で浮く場所は金属面上に限られますが2.5cmほど、浮上させることが可能。クラウドファンディングで目標額10万ドルに対して46万ドルを集めて話題になったことからも、期待度の高さが伺えます。
また、自動車メーカー「LEXUS」の挑戦も目が離せません。LEXUSのホバーボードは、同ブランド広告キャンペーン「AMAZING IN MOTION」第4弾のために製作されました。液体窒素をボード下部に内蔵し、超伝導を冷却。蒸気の煙が吹き出しながら作動します。
永久磁石を埋め込んだレールに反発してボードが浮き上がる仕組みで、原理はリニアモーターカーに近いでしょう。両手で持ち運べる軽量さも特徴です。
注目ポイントは、水上でも走行が可能な点。劇中のホバーボードは水上では動けないため、マーティは池の上で立ち往生してしまいました。水上でも走れるとなると、劇中の技術を超えるホバーボードの誕生、といえるかもしれません。
現状では、HENDO同様に作動条件を備えた環境でしか浮くことができないため、一般には普及していませんが、実現に向けて一歩ずつ進んでいるようです。
DIYで見た目の実現
「技術的には今すぐ再現できないなら、せめて見た目がそっくりなホバーボードをDIYしたい」という人におすすめなのが、ポップカルチャーアイテムをDIYで再現するYouTubeチャンネル「AWE me」が2015年に投稿した動画です。
ホバーボードの製作工程が詳しく説明されているため、参考にしてみてはいかがでしょうか。
ホバーボードの製作工程
- ホバーボードのデザインをプリントしてカットする
- 型をとって合板を切り出し、サンドペーパーなどで切断面をなめらかにする
- 角度がついている後方部分は、ステイプラーで固定し、ペーストでつないでテープで補強する
- ピンクのスプレーで着色した後、カットしておいたデザインプリントを貼り付ける
- ディスク部分はプラスチック皿で再現、他のパーツはウレタンフォームをカットして貼り付ける
- 表面のグリーンのディスク部分も再現して完成
まとめ
バック・トゥ・ザ・フューチャー3部作のなかでも、未来を舞台にしたPart2で描かれるテクノロジーは、当時の人々から見ればジョークに思えるようなものもあったでしょう。
2015年がすでに過去となった現在、かつては夢のようにと思われていたアイテムも、少しずつ実現に向けて歩みを進めていますが、まだまだ実現には至っていないのが現状です。「バック・トゥ・ザ・フューチャーを見てスケボーを始めた」という人は、まずは紹介したレプリカデッキを手に入れてみてはいかがでしょうか。