スケボーにはさまざまなテクニックがあり、それらを習得していくことが魅力のひとつです。なかでも初期の段階で習得すべきテクニックのひとつが「オーリー」。初心者が最初に習得する技としてもおすすめです。ここではオーリーのやり方や有効な練習方法などを紹介します。
スケボーのオーリーとは?
オーリーとは、スケボーのトリック(技)のこと。プッシュやチックタック、ボンレス、ショービットなど基本トリックをマスターしてから挑戦する人が多いトリックです。
オーリーとは?
オーリーとはデッキに乗った状態で滑走しながら、デッキと共にジャンプをするテクニックです。このテクニックは見た目がかっこいいだけでなく、習得すれば障害物を乗り越えることなども可能。多くの初心者があこがれるテクニックです。
オーリーという名前は、このテクニックを考案したとされる「アラン・ゲレファンド」というスケートボーダーの愛称「オーリー(Ollie)」に由来します。アラン・ゲレファンドが考案したこのテクニックは、その後のスケボー・テクニックのスタンダードのひとつとなりました。
オーリーの仕組み
アラン・ゲレファンドが初めてオーリーを披露したとき、それを見た人は仕組みが分からず、魔法のように感じたかもしれません。オーリーは「てこの原理」を利用したテクニックで、後輪を支点、デッキ上の後ろの足が乗っている箇所と前の足が乗っている箇所を作用点としました。
後ろの足を瞬間的に踏み込むようにするとデッキの先端は急激に跳ね上がり、その反動を利用してデッキの後方も浮き上がらせるようにすると、デッキ全体はきれいに跳躍。これら一連の動きをスムーズに行えるようになると、オーリーを習得できます。
オーリーの世界記録
オーリーの技としてのレベルを競う際の基準となるのが、ジャンプの高さです。そのためオーリーを習得したら、より高く跳ぶことを目標にして練習をするのもよいでしょう。
ちなみに現時点での世界記録は115.2cmです。この記録は2013年4月13日に開催された「AWO contest」で、Bernd Trattnigというオーストリアのスケーターが打ち出しています。より高度なオーリーのテクニックを習得したい方は、この記録を目標のひとつにするのもよいかもしれません。
有名なオーリー
オーリーには個性を出せるという側面もあり、有名スケートボーダーのなかには自己流のオーリーを考案している人も少なくありません。自己流のオーリーが有名なスケートボーダーとしては以下の3名が挙げられます。
ジェレミー・レイ
ジェレミー・レイは、安定感のない場所でオーリーを行うのを得意とするスケートボーダーです。彼が披露した給水タンクから給水タンクへのギャップオーリーは映像でも記録されており、大きな話題となりました。
アーロン・ホモキ
ハワイ出身のアーロン・ホモキは、ステア(階段)をオーリーで飛び降りるのを得意とするスケートボーダーです。彼がフランスのリヨンで披露した25段越えのオーリーもまた、ネット上で大きな話題となりました。
ディエゴ・ブッチェリ
オーリーでのステア越えを得意とする、もう一人のスケートボーダーがディエゴ・ブッチェリ。彼は新宿でオーリーによる20段のステア越えを披露しており、こちらは日本国内でも注目を集めました。
オーリーのやり方【基礎編】
オーリーの基礎的なやり方を習得する際には、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。
オーリーに必要な基礎をマスターする
まずはデッキを浮かせなければなりません。オーリーは、デッキ自体を浮かせられるようにならないと習得できません。後輪を浮かせるのは難しく、まずは後ろの足の使い方を工夫しながら、デッキを浮かせる感覚を掴んでいきましょう。
次に、四輪で着地できるように練習しましょう。オーリーはきれいに着地できないと、技としての魅力がほとんどなくなってしまいます。デッキを浮かせられるようになったら、四輪でしっかりと着地するために空中でのデッキコントールの仕方を習得していくとよいでしょう。
スタンスを覚える
オーリーの基礎を習得する上で大切なのがスタンスです。足の位置はデッキコントロールのしやすさにかかわるため、正しい向きと置く場所を覚えておくことが大切です。
オーリーでは後方の足をテールの縁ギリギリに置き、つま先に重心を移すことを意識します。前方の足はデッキの中央より若干前あたりに置き、こちらも重心はつま先を意識しましょう。 また両足共に、かかとがデッキに乗らないようにすると、体重移動がしやすくなります。
テールを弾く
オーリーのコツは、テールを地面に向かって弾くように強く踏み込むことです。この際に「てこの原理」によってデッキの先端が跳ね上がることから、さらにテール側の体重移動のコツを掴めばデッキ全体を浮かせられます。
テールを弾く練習は、最初はジャンプをしようとせずに止まった状態でテール側を強く踏み込むことを意識し、慣れてきたら徐々にジャンプをしてみるのがおすすめです。
オーリーのやり方【実践編】
基礎を覚えたら、実際にオーリーに挑戦してみましょう。以下の練習方法を続けることで、オーリー習得に近づきます。
滑りながら練習
止まった状態でテールを弾くのに慣れてきたら、次は滑りながらオーリーをする実践的な練習をしましょう。
滑りながらのオーリーでも基本的な動作は変わりありませんが、ジャンプするときは重心を若干前に動かすことを意識することが重要です。これは滑りながらだとどうしても重心が後ろにいってしまうためで、止まった状態でのオーリーと比べるとこの重心移動が若干難しいと感じるかもしれません。
物を跳び越える練習
本来オーリーは障害物を跳び越える技です。そのため、十分な高さまでジャンプできるようにならないと、習得したとはいえません。実践的な練習では、物を飛び越えるトレーニングをするのも不可欠です。
この練習では地面に目印をつけるなどして、高さのない物を跳び越えるトレーニングからはじめましょう。徐々に障害物を高くしていけば、自然とジャンプ力が身についてきます。
刺しオーリー
普通のオーリーに慣れたら、「刺しオーリー」にチャレンジすることも可能。刺しオーリーとは、重心を固定したまま、ノーズを前方に突き出すようにコントロールするオーリーです。通常のオーリーと比較すると難易度が若干上がりますが、通常のオーリーの習得後にチャレンジしてみるとよいでしょう。
オーリーのコツ
きれいなオーリーを飛ぶには、重心やトラック調整などのコツをマスターするとよいでしょう。
上半身を固定する
見る人を魅了できるオーリーを習得するためには、見た目を意識した練習を積むことも重要です。オーリーの練習では足にばかり意識が向かってしまいがちなため、上半身の動きにも意識を向ける必要があります。
見た目の美しいオーリーでは、上半身がしっかりと固定されています。特にジャンプをする際には、腰より上の重心を意識することが大切です。
トラックを調整する
オーリーを習得するためには、デッキの曲がり具合を調整するトラックという部分の締め具合を、自分の好みに合わせて調節することも大切です。トラックは硬めに締めることでデッキが安定します。初心者はこの部分がしっかりと締まった状態で練習をするとよいでしょう。
上達してきたら徐々に緩めていくと、今度は高いジャンプをした際に転倒しにくくなるでしょう。
高さを上げていくには?
オーリーの練習では転倒がつきもの。そのため、ジャンプの練習をする際にはカラーコーンのような柔らかいものを使用しましょう。
カラーコーンは倒した状態や立てた状態、バーをつけた状態など、さまざまな使用方法ができるため、高さを調節しやすいというメリットがあります。よって、少しずつ高さを上げていく練習においてもカラーコーンを利用するのがおすすめです。
まとめ
オーリーはスケボー初心者が最初に習得すべきテクニックのひとつです。十分な高さのジャンプと上半身の安定が伴えば技としての見栄えもよくなります。友人などに自慢できるテクニックを習得したいという方は、まずはオーリーの練習から始めるとよいでしょう。
オーリーの練習では重心移動や足を置く位置などが重要となり、試行錯誤しながら地道にコツを覚えていくのが上達への近道となります。また、上達のためにはプロの動画などを参考になるためチェックしてみましょう。