東京オリンピックで正式種目に採用されたスケートボードは、大きな注目を集めています。大会のルールや注目のトリックを知っておくことで、東京オリンピックをより楽しめるでしょう。そこで当記事ではスケートボードの種目やルール、注目の技を紹介します。
スケートボードの種目は2つ
東京オリンピックで正式採用されたスケートボードの種目は「パーク」と「ストリート」の2種類で、競技ルールや技の採点基準が統一されている点が特徴です。ここではパークとストリートの違いや見どころについて、詳しく紹介します。
1.パーク
パークとはトリックを競う競技です。スケートボードは1960年ごろにストリートとパークに分かれました。
お椀状のコースをスケートボードで自由に走り回り、その中で技を披露して競います。1人あたり3回までチャンスがあり、そのうちの最高得点で勝敗が決まります。採点基準はジャンプの高さや空中技の難易度などです。
2.ストリート
ストリートは街中を再現したコースの中をスケートボードで走る競技です。階段や縁石、斜面や手すりなど、街中を滑ることを意識したコースとなっています。
ストリートが生まれた背景には、街中を走るスタイルに対して否定的に捉える意見が多かったことが関係しているようです。それに対する形で街中のようなコースを専用で作ったことが、ストリートの起源のひとつとなっています。
スケートボードにおける大会ルール
東京オリンピックのスケボーにおける「共通ルール」「パーク・ストリートの各ルール」などについて解説します。
いずれも持ち時間は45秒
選手に与えられる競技時間は45秒で、これはパークとストリートいずれにも共通しているルールです。選手は45秒の中で自由に技を披露し、その技の難易度や精度によって得点が変わります。
繰り出す技の順番にも制限はなく、また途中で転倒しても、時間内はそのまま競技を継続可能です。制限時間内で、いかに高得点を出すかを競う競技となっています。
パークに関する大会ルール
パークはお椀のようなコースを自由に滑り、その得点を競います。選手が披露する技の難易度や成功率、技の組み合わせ方、技のスピード、オリジナリティを競う競技です。
パークは特にアクロバティックな技が多い点が魅力で、急斜面を使ったトリックやスピード感のある回転、大ジャンプなどに注目が集まります。選手には3回までの滑走が与えられ、その中で最も高い点数で順位が決まるルールです。審判5人の得点のうち、最高点と最低点をカットした3人の平均点が基準となります。
安定感のある技術を持つ選手が順位を上げやすい一方、3回の中で最も良い点数を取ればよいため、1発勝負の大技で逆転を狙う選手がいるのも特徴です。スリルのある展開が楽しめるでしょう。
ストリートに関する大会ルール
ストリートは障害物を利用し、難易度の高い技を披露する競技です。ジャンプの高さや難易度を重要視するパークに比べ、障害物を利用した技の難易度を重要視しています。
また難易度以外にも、成功率や技の組み合わせの見せ方、スピード、オリジナリティを競い合う競技で、板と高く飛ぶ技や手すりに乗る技などがこのストリートの見どころです。採点ポイントも細く、選手の細かな工夫への注目でより楽しめます。
ストリートは手すりや縁石の上を走行するスライド系の技や、空中で板を回転させるフリップ系の技が人気です。スライド系とフリップ系は選手の個性やセンスが反映されやすく、オリジナリティが問われます。
ちなみに、フリップ系は板を回す技、オーリーはジャンプする技とおおまかに覚えておきましょう。ストリートには、BESTTRICK方式とRUN方式の2種類があり、それぞれの合計点数を競う競技です。BESTTRICK方式とRUN方式のそれぞれについても紹介します。
自由にライドする「RUN方式」
RUN方式は45秒という制限時間限の中で、手すりや縁石などの障害物に利用したトリックを繰り出し、ミスなく繋げながらコース内を自由に滑走する点が特徴です。
繰り出すトリックに対する完成度や難易度、速さ、独自性、安定感など、さまざまな要素を総合的に評価します。1人2回の試技を行い、いずれかの得点が高いほうが採用されるのです。
障害物を利用する「BEST TRICK方式」
BEST TRICK方式はコースの中で自分が得意、好きな障害物を1つ選択します。選択した障害物を利用してトリックを1つだけ披露し、そのトリックに対する完成度や難易度などを点数付けするルールです。
1人5回の滑走のうち、点数の高い4回分が持ち点となり、その合計点数を競い合うシステムとなっています。
スケートボードの大会で注目すべき3つの技
スケートボードの大会で注目すべき技として「バックサイド540」「レーザーフリップ」「360インワードフリップ」の3つが挙げられます。
1.「バックサイド540」
バックサイド540は、空中で時計回りに1回転半する大技です。ジャンプの高さや難易度を競うパークでよく披露される技で、大会ではいつバックサイド540が披露されるのかに注目が集まります。
日本代表に選出されている岡本碧優選手が、公式戦で初めて成功させました。また、四十住選手も代表選考最終戦で成功させているため、この技名を耳にしたことがある人も多いでしょう。
バックサイド540の成功は優勝に大きく貢献するため、東京オリンピックでも注目が集まります。
2.「レーザーフリップ」
レーザーフリップは、難易度のかなり高い技として知られています。フロントサイドの360ショービットという技に、ヒールフリップの回転を合わせた技です。なお、ショービットとは、スケートボードを180度回転させるシンプルな回転系のトリックを指します。
2017年にワールドツアーなどで優勝したDashawn Jordanが、レーザーフリップを成功させたことでも有名です。難易度が高い技なので、注目したい技のひとつといえるでしょう。
3.「360インワードフリップ」
360インワードフリップは、ショービットとヒールフリップを合わせた技です。スケートボードを前後に半回転させ、横方向に1回転を加えます。
前足と後ろ足の動かし方が正反対になるため、バランスの維持が難しく、蹴り出す前足にも注意しなくてはなりません。
難易度の高い分、成功時の評価も高く、観客を魅了できる技です。360インワードフリップが東京オリンピックで披露されるかにも注目しましょう。
まとめ
スケートボードの競技は、見方によって魅力や見どころが大きく異なります。ルールや技を理解すれば、初めて見る人でも楽しく観戦できます。
スケートボードは遊びや移動手段として使っている人は多いですが、競技として見る機会は意外に少ないスポーツです。そのため「ルールを知らない」「競技を見たことがない」といった人も多いと思います。
東京オリンピックが開催される前にルールや技を理解して、スケートボードという競技を存分に楽しむための準備をしておきましょう。