アレックス・グレイが語るチューブライディングの極意とは?

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サーフィンを始めると、誰もが一度は憧れるチューブライディング。トンネル状になった波の中を進む、最高難度の技です。このトンネル状になった波のことを「チューブ」や「バレル」と呼びます。世界有数のチューブライダーとして知られるアレックス・グレイは、チューブライディングを成功させる6つの極意を語ったことがありました。本記事では、その6つの極意について紹介していきます。

アレックス・グレイとはどんなサーファー?

1986年生まれのアレックス・グレイ(Alex Gray)。サーフィンが盛んなロサンゼルスのサウスベイで育ち、幼いころからスポーツ万能だったアレックス・グレイは、3歳年上の兄クリスの影響からサーフィンを始めました。

その後、兄の背中を追いながら上手くなりたい一心で、サーフィン中心の生活を送るようになります。努力が実り才能が開花してからは数々の大会で賞を獲得するようになり、世界的なチューブライダーとして注目されるようになりました。

世界中のビッグチューブを攻略

アレックス・グレイの代名詞ともいえるのが、ビッグチューブの攻略です。ビッグチューブのある所であれば、アラスカ、アフリカ、東南アジア、ミクロネシアどこにでも駆けつけます。しかも、どんなビッグチューブを目の前にしても、ひるむことなく笑いながら向かってくのがアレックス・グレイです。

GoProを装着してビッグチューブに挑み、チューブに入ってから抜けるまでの映像や、ワイプアウトして波にもみくちゃにされる映像をサーファー目線で捉え、動画投稿サイトなどで公開しています。フィジーでビッグチューブに挑んだ映像は、世界的なサーフィンメディアSurflineとGoProが開催したGoPro of the Worldで最高の賞を獲得しました。

さらにはビッグチューブにとどまらず、なんと寒波の到来している真冬のスペリオル湖でサーフィンをしたことまであります。寒波による風の影響で波がブレイクするのですが、湖岸は凍っておりとてもハードな環境でした。波さえあればどんな波でも乗りたくなってしまう、波に対して常に無邪気な少年のような心を持ち続けているのでしょう。

2011年サーファーポール・ベストチューブ受賞

サーファーポール・アワードはアメリカのSURFER magazineが主催する歴史と名誉のある賞です。サーファーポールでは審査員ではなく、世界中のサーフィンファンからの一般投票で受賞者が決められます。このベストチューブ賞を受賞したことで、アレックス・グレイは名実ともに世界最高のチューブライダーの1人となりました。

アレックス・グレイが語るチューブライディングの極意

世界中のビッグウェーブを攻略し、世界最高のチューブライダーとなったアレックス・グレイ。その経験に基づいたチューブライディングの6つの極意を、惜しむことなく語っています。

とにかく自信を持つこと

「多くの場合、あなたができると思っているよりも大きな波でメイク可能です。チューブに入ることでほとんどの難しいことが終わっています。チューブに入ったら恐れずに中に居続けることで、人生最大のチューブライディングができるのです」とアレックス・グレイは語ります。恐怖心を克服し思い切ってやってみることが極意の1つのようです。

出口までのラインを描くこと

「前の腕を『魔法の杖』として使うことです。自分の前に『魔法の杖』を持っていき、『魔法の杖』が進みたい方向を指し示すことができれば、チューブから抜け出すことができます。それがチューブから抜け出す最も簡単な方法です」と語っています。前腕を自分の前に持っていき、チューブの出口を指すことがチューブを抜けきるポイントです。

肩のポジションを意識すること

「サーフィンは肩のポジションをセットするところから始まります。肩の向く方向に腰がついてきて、波の上での行き先を決めるのです。肩を使ってチューブの中でラインを保てば、腰もライン上にとどまりチューブを抜けやすくなります」とアレックス・グレイは語っています。肩のポジションを意識して自分の中心を保ち、ラインをキープすればメイクできる確率が高くなるようです。

タイミングがすべて

「タイミングを計るベストな方法はリップラインをよく見て、スピードの目安にすることです。リップラインが自分のはるか前にある場合は少しパンピングします。リップラインが自分の方に寄って来る場合は、手を使うかボードのテールを踏んで失速させるとよいでしょう」とのこと。リップラインをよく観察しながらタイミングを計ることもポイントとして上げています。

イジェクトボタンを持っておく

「人生と同様に、チューブの中でも上手くいかなかった時の対処法を持っておくことです。最悪なのは波のフェイスに飛び込むこと、次にリップラインに飛び込むことです。何も考えずに飛び込むのではなく、少し時間を取って状況を把握することで最悪の事態をさけることができます。ボードを少し後ろに押しながら前足から前方に降りると安全でしょう」と語ります。

大きなチューブの中では少しの判断ミスが大きなけがにもつながるため、小さな波でイジェクトボタンの練習を重ねておくとよいでしょう。

最高潮を感じること

「私は、チューブライディングに人生を捧げています。チューブライディング中は無に近い感覚になれるのです。チューブから出てきた時の絶頂感は、私の人生において他では得られないもの。私にとって世界で最高のフィーリングなんです」と語るアレックス・グレイ。

ベストの波に対して心と体をコントロールしてチューブライディングを成功させると、今までにない最高潮を感じることができるのでしょう。

アレックス・グレイの現在

世界最高のチューブライダーとして世界を魅了したアレックス・グレイですが、プロ選手としての第一線からはすでに退きました。現在は、波と共に生きてきたアレックス・グレイらしい新たな挑戦を、一人のサーファーとして続けています。

悲しみを乗り越えるサーフセラピーを主催

17歳のころにアレックス・グレイは、幼いころから背中を追い続けてきた兄のクリスを亡くしています。この時の喪失感が、彼の生き方に大きな影響与えました。この経験から同じように傷を負った人を救いたいと考え「Agray Surf Therapy」を主催しています。

愛する人を失った人たちでビーチに集まり、お互いの経験を分かち合い、一緒にサーフィンを楽しみ、生きる意義を見出し、悲しみを乗り越えようという試みです。一人ではなく他の人の力を借りて乗り越えることは、自身の体験から導き出された答えでした。

子供や10代向けのサーフアカデミーの設立

中学生や高校生に対し、技術、戦略、海での安全、そしてメンタルヘルスなどを教え、サーファーとして次のレベルに引き上げるためのアカデミーを設立。アレックス・グレイがプロのサーファーになるという夢を実現させたメソッドを、子供たちにも伝授しています。

その他にも大学、高校、中学校などで「恐怖を克服する、逆境に向き合う、情熱に従う」ことをテーマとした講演も実施し、これまでの参加者数は25,000人を超えています。

まとめ

時にクレイジーとも言われるアレックス・グレイのチューブライディング。その背景には幼いころから磨き続けた技術からくる極意と、彼が人生経験から得た「恐怖を克服する、逆境に向き合う、情熱に従う」マインドが、ベースにあることが分かりました。

YouTubeで「Alex Gray surfing」で検索すると、アレックス・グレイの珠玉のチューブライディングを視聴できるので、まずは動画を見ることをおすすめします。アレックス・グレイ直伝の極意とマインドでビッグチューブを攻略する日が来ることを願っています。

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