ベテランは要注意!「サーファーズイヤー」への対処法

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サーファーを悩ませる症状の一つが「サーファーズイヤー」です。イヤーとは耳のことで、耳に悪影響を及ぼす症状のことを指します。聞き慣れない言葉なので、症状の内容がわからない人もいるでしょう。ここでは、サーファーズイヤーの症状や起きてしまう理由、予防の方法などについて解説します。

サーファーズイヤーとは何か?

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サーファーズイヤーは、「よく熟練サーファーに起こる」といわれていますが、そもそもどんな症状になることを指すのでしょうか。

どんな症状?

サーファーズイヤーとは、耳の軟骨が大きくなってきてしまうことで、外耳道外骨腫や外耳道骨腫とも呼ばれる病気のこと。耳の穴から鼓膜へと続いている外耳道がふさがれてしまうため、さらに症状が悪化すると、耳あかがたまってしまったり、耳が聞こえづらくなったりして、外耳炎などの病気につながってしまいます。

初期段階であまり自覚症状がないため、症状が軽い状況で気付くのは難しい傾向にあります。例えば、「音が聞こえにくくなってきた」「耳抜きがうまくできなくなってきた」と感じたらサーファーズイヤーを疑ってみましょう。

放置していた結果、実はサーファーズイヤーだったという可能性もあるため、違和感を覚えたときは、まず近くの耳鼻咽喉科で受診することをおすすめします。

なぜ起きてしまうのか?

サーファーズイヤーが起きてしまう理由は、冷たい水から受ける刺激を長い間受けることによって、外耳道にある骨が増殖してしまうからといわれています。そのため、「サーファーズイヤー」という名前ではありますが、サーファーに限らず、潜水夫や長い間水中にいる職業柄の方に多く起きる症状です。

特に、サーファーによく症状が現れることから、サーファーズイヤーという名前がつけられています。サーファーでは、経験年数が長ければ長いほど、頻度が高ければ高いほど、より深刻な症状が現れるともいわれています。なかには、「自然と耳の軟骨が水の侵入を防ごうとして大きくなるため」という説もありますが、なぜ骨が増殖するのかについては、いまだ解明されていない状況です。

また、冷たい水に長期間当たることが原因といわれているものの、比較的暖かい九州地方などでも症状は現れていることから、海水温の低さだけではなく、風や気温の影響も関係しているのではないかといわれています。

サーファーズイヤーになった場合の対処法は?

では、実際にサーファーズイヤーの症状が現れた場合は、どう対処すれば良いのでしょうか。現在のところ、手術以外に解消する方法がありません。1度できてしまった外耳道外骨腫を小さくすることができないため、「手術によって骨種を削る」「軟骨を切除する」といった選択しかないのです。

手術の方法はいくつかあり、病院によってどの手法を取るかは異なります。どの方法も手術自体にさほど時間はかかりません。ただし、耳の状態が通常に元に戻るまでには4週間程度はかかります。

事務作業など、肉体的な負担が比較的少ない作業を含め、日常生活は多くの場合翌日からでも可能ですが、再びサーフィンを行うのは1ヵ月以上経ってからとなるでしょう。そのため、手術を行うには深刻な状況でなければ、サーフィンのオフシーズンを選ぶことがおすすめです。

また、手術となった場合に気になるのが、保険適用できるのかということです。適用外となると数倍もの費用がかかってしまいますが、基本的には保険適用されます。また、金額も限度額内で収めることができますので、医療機関に確認してみてください。

サーファーズイヤーを回避する方法

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できるだけなりたくない「サーファーズイヤー」ですが、これを防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。

寒い時期の海に注意

まずは、海水温度が低い時期には、なるべく水には入らないようにすることです。冷たい水が原因となるケースが多いため、なるべく冬場のサーフィンを控えることによって、サーファーズイヤーになるリスクを低減することができます。

耳栓が有効

サーファーズイヤーを抑えるうえで有効なのは、耳栓をすることです。耳栓をすることで耳の中に海水が侵入することを防ぐことができます。また、1度サーファーズイヤーにかかった方でも、再発を防止する効果もあるといわれています。

さらに、サーファーズイヤー以外では、耳栓をすることで強い波を受けた際に海面に打ち付けられることによる鼓膜の損傷を防ぐ効果もあります。

おすすめの耳栓3選

耳栓がサーファーズイヤー防止には有効ですが、どんな耳栓を選べば良いのでしょうか。ここでは、耳栓を選ぶ際に気をつけなければならないポイントと、おすすめの耳栓を3点紹介します。

耳栓を選ぶ際の注意点

通常、耳栓といえば、騒音を低減、遮断する用途で購入することが多いですが、サーフィンの場合、周囲の声や音が聞き取りにくくなることは、むしろ危険性が高まる行為につながりかねません。聞こえにくくなると、周りのサーファーの動向に気付くのが遅れてしまい、誤って衝突してしまうリスクが高まります。

また、津波などの危険が近づいている際に、警報や周囲からの呼びかけ聞こえずに避難が遅れる可能性があります。そのため、耳栓を選ぶ際には、通常売られているような耳栓ではなく、水が入らないことを最優先に、音はできるだけ聞き取れるタイプのものを選ぶことが必要です。

ひと口に耳栓といっても、粘着性の高い安価なシリコンタイプのものから、イヤホンに近い形状のものまで様々ですが、命や健康には替えられません。そのため、価格だけで選ばずに音が聞き取れて密閉性が高いなど、性能が十分に高いものをできるだけ選びましょう。

SURF EARS 3.0

「SURF EARS 3.0」は、サーファーによって開発され、世界中のサーファーが利用している商品です。普通の耳栓は音声を遮断してしまうため、サーファーにとっては水だけを遮断し、音は遮断しないようになるのがベスト。耳を水、冷気、汚れ、バクテリアから守ります。

前のバージョンである2.0から改良されたシリコンソフトチップは、さらに薄く柔らかくなっており、人によって異なるいろいろな耳の形状に合わせることができるため、海水の侵入を防ぎます。耳へのフィット感も高いため快適で、長時間の装着も可能です。

また、安全で衛生的に保管できる高品質なケースが付属。今回紹介する3つの商品の中では価格が最も高いのですが、機能性が高くおすすめです。

EarSuits

「EarSuits」もマリンスポーツのために開発されたという、音が聞こえる耳栓。水や汚れ、細菌の侵入から耳を守る機能を持ちながらも、お求めやすい価格で販売しています。エアガンのパーツや各種ゴム製品を製造している株式会社宮川ゴム工業所が、素材選びを監修。海水や紫外線からダメージを受けにくい素材を使用しています。

YES EAR

「YES EAR」は、今回紹介する3つの商品の中では最も安価な商品です。ナノレベルの銀粒子を使用し菌との接触面積を増やすことにより、約650種類のバクテリアから抗菌するなど、優れた高菌力を発揮し、雑菌の増殖を抑制します。

会話音レベルの低周波は聞こえ、高周波の騒音は遮断できますので、安全にサーフィンをプレイすることが可能です。

まとめ

今回は、サーファーズイヤーについて、その症状と対策などについて説明してきました。サーフィンに限らず、寒い海に出続けていれば、発症する可能性があります。気になる症状が出ているようであれば放置せずに、病院での受診がおすすめ。

まだ発症していない場合は、耳栓などできる限りの予防策を講じておくと安心でしょう。これ以外にも、パドリングで負担がかかることが原因の腰痛や、紫外線を浴び続けることによる目のダメージ、もちろん水難事故や岩場との衝突など、サーフィンをプレイするうえでは様々な危険が潜んでいます。

健康やケガに留意したうえで、無理のないプレイを心がけてみてください。

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