JPSAとは?活動内容、大会について紹介

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国内でも広く親しまれているサーフィン。現在では、プロの日本人サーファーも数多く存在し、競技としての知名度もより高まっています。そうしたサーフィンの国内における普及に大きく貢献したのが「JPSA」です。今回は、このJPSAにスポットライトを当てて、その理念や活動内容などを紹介します。

一般社団法人 日本プロサーフィン連盟(JPSA)とは

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JPSAは日本におけるサーフィンの普及・発展に大きく貢献し、現在でも国内のサーフィン界隈で強い影響力を持つ団体です。ここでは、JPSAの成り立ちや理念・指針について解説します。

1981年に設立された日本プロサーフィン連盟

JPSAとは「Japan Pro Surfing Association」の頭文字を取った言葉で、日本語では「日本プロサーフィン連盟」と訳せます。

一般社団法人として活動しているJPSAは、1981年に設立。当時の日本にはアマチュアに特化した「日本サーフィン連盟(NSA)」は存在していたものの、プロに特化したサーフィン連盟は存在しませんでした。JPSAの誕生は、多くの国内のサーファーにとって、待ちに待ったできごとだったのです。

本来サーフィンは個人、あるいはごく少数の仲間だけで趣味の範囲内で楽しむスポーツという認識でした。そのため、例えばサッカーや野球などのチームスポーツのように、広く普及させるのが難しいという側面がありました。 JPSAの誕生は、このようなサーフィンの普及に関わるデメリットを解消し、より多くの人にサーフィンの魅力を知ってもらうきっかけを作ったという点で、大きな意義があったといえるでしょう。

また、2018年にはJPSA理事長に細川哲夫氏が就任。細川氏は、プロのロングボーダーとして活躍していた経緯があり、このことからも日本においてプロレベルでのサーフィンの発展が進んだことがわかります。

JPSAの理念、指針

JPSAの活動などについて知るには、同団体が掲げている理念と指針を理解することが不可欠です。

・理念

JPSAでは、以下のような理念を掲げています。

JPSAの使命は
日本のプロサーフィンを統括する団体として
日本におけるサーフィンのさらなる発展を促し

“サーファーズ・マインド” を広めていくことにあります。

海の大きさを知り、自然を大切に。
自分の力量を知り、命を大切に。
ルールの必要性を知り、人を大切に。

サーフィンを通じて、より多くの人々に
その精神が広がることこそJPSAの理想です。

出典:JPSA

この理念からは、JPSAがプロレベルでのサーフィンの国内普及だけでなく、自然との共存やサーファーの安全を維持するための周知なども重視していることがわかります。

・指針

JPSAでは指針として「Pro Surfing(発展)」「Keep Surfing(環境)」「Kids Surfing(教育)」の3つを設定。これらの指針は、サーファーのレベル向上だけでなく、海を主とした環境保全、さらには子どもへの教育を通じたサーファーの育成にも力を入れていることがわかります。

JPSAではこれらの明確な理念・指針のもと、これまでに国内におけるサーフィンの普及に尽力。今日の国内におけるサーフィン人口の多さや、サーフィンができる海の環境整備が進んでいることなどには、JPSAの存在が大いに関与しているといえます。

JPSAの活動

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JPSAでは国内におけるサーフィンの普及だけでなく、既にサーフィンを楽しんでいる人たちがよりサーフィンを楽しめるようにするためのイベントなども開催。国内におけるサーフィン業界の盛り上がりにもまたJPSAが大きく関与しているといえます。 続いては、JPSAの主な活動内容を見ていきましょう。

S.O.S. プロジェクト

JPSAでは、上述した3つの指針を実現するための活動として「S.O.S.プロジェクト」を実施。このプロジェクトでは主に以下の4つの活動を継続して行っています。

・S.O.S.ビーチクリーン&エコ・コミュニケーション

指針のひとつである環境保全を目的とした活動です。ビーチクリーン活動だけではなく、環境保全を訴えるための呼びかけなども実施し、サーフィンを楽しむ際や大会を観戦する際に気をつけることの周知を行っています。

・S.O.S.キッズサーフィンスクール&ビーチアトラクション

サーファー育成を目的とする活動。子どもを対象とした活動がメインで、プロサーファーが講師を務めるスクールの開講などが行われています。

・S.O.S.サポートメンバー

日本全国のサーファーやサーフショップなどにサポートメンバーになってもらい、全国でS.O.S.プロジェクトを実施する取り組みです。ネットワークを強化することで、団体としての理念の周知にも努めています。

・S.O.S.制度の設立構想「Scholarship Of Surfing」

世界規模で活躍できるサーファーの育成を目的とした奨学金制度の設立を目的とした、未来を見据えた取り組みです。

JPSAツアー

サーフィンの普及や選手の育成、環境保全などを目的とした取り組みを多数行っているJPSA。一方で、同団体はプロに特化した団体のため、既にプロとして活動するサーファーの活躍の場として「JPSAツアー」も開催しています。

JPSAツアーは海外のツアーと同様に、年間を通してプロのサーファーが国内の各地にある会場を回りながら各地で競技を行い、最終的にその年のグランドチャンピオンを決定する大会です。海に囲まれた日本にはサーフィンを行える場所が数多く存在し、JPSAツアーはその地理的特性を生かしたイベント。

また、JPSAツアーには毎年スケジュールが変わるという面白さもあります。ツアースケジュールを小まめにチェックしていれば、目の前で繰り広げられるプロの技を観戦するチャンスも得られるかもしれません。

JPSA公認のプロに登録するには

日本国内におけるサーフィンの普及を目的としたさまざまな活動を行うJPSA。一方で、同団体ではプロサーファーの育成や認定なども行っています。このことから、日本国内でプロのサーファーを目指す場合、JPSAが定めている認定基準を知っておくのがおすすめです。

日本のプロサーファー

JPSAでは「ショートボード」と「ロングボード」の二つの種目に分けて、プロサーファーの認定を行っています。

2021年時点でのそれぞれのプロ認定者数は、ショートボードが260名(男性180名、女性80名)、ロングボードが185名(男性140名、女性45名)。後述するプロトライルの合格率はわずか2%といわれており、日本でプロサーファーとして活動することは容易ではないといえます。

また、JPSAのプロ認定制度には資格の一種であるという側面も。例えばサッカーや野球の場合は、プロチームと契約した段階でプロのプレーヤーです。 しかしサーフィンの場合は少なくとも日本国内では、JPSAの認定制度で合格し、プロ資格を取得して初めてプロのプレーヤーとみなされます。

JPSAによってプロとして認められたサーファーは、ツアーやプロ限定の大会などへの参加が可能です。それらで優勝すれば賞金などがもらえるため、サーフィンで食べていきたいという人は、まずはJPSAのトライアルに合格することを最初の目標とするのがよいでしょう。

プロトライアルに合格してプロサーファーに!

日本国内でJPSA認定のプロサーファーとして活動するには、同団体が行っているプロトライアルに合格しなければなりません。このトライアルに参加するためには、まずはJPSAにアマチュア登録しなければならず、その手続きは早めに行っておくのがおすすめです。

トライアルはJPSA主催のプロ大会と同時に開催され、1ヒート内でベスト2のスコアで、なおかつ合計12ポイント以上を出すか、予選ラウンドを勝ち抜いて本戦の規定ラウンドまで勝ち上がることが合格条件です。

これらの過程を経て、薬物検査などをパスすると正式にプロのサーファーとして認定。これにより、プロ大会への参加やプロ資格保有者のみのシード権の獲得などが可能になります。

また、トライアルはショートボードとロングボードに分けて実施されるため、得意なほうに参加することが重要です。

まとめ

一般社団法人 日本プロサーフィン連盟(JPSA)は日本におけるサーフィンの普及・発展に大きく貢献し、また、今日においてはプロレベルの日本人サーファーの育成においても重要な役割を担っています。プロのサーファーとして国内で活動したいという方は、同団体のトライアルを受けるとよいでしょう。

一方、JPSAは「S.O.S.プロジェクト」を始めとした活動も行っており、より多くの人がサーフィンを安全に楽しむうえでも欠かすことのできない存在です。

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