知らずに挑戦すると怪我の危険も!?アーリーウープの注意点

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出典:truphoto / PIXTA

エアーテクニックのなかでも華があり、サーファーを虜にしている「アーリーウープ」。大きく飛び出して豪快に回転する様は、実に華麗です。しかし、知識がない状態での無謀な挑戦は怪我の原因になりかねません。今回は、アーリーウープをする際の注意点について解説します。

空中で華麗に決めるテクニック!

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最初に、アーリーウープの概要や、向いている波、基本的な技の仕掛け方について説明します。

アーリーウープとはどんな技?

アーリーウープは、進行方向に向かって逆方向に回転する、エアーテクニックのなかでも難易度の高い技です。進行方向沿いに、陸側に向かって回転するエア・リバースよりも高い波を使い、180度以上の大回転をします。

華麗な技なので、サーフィンの大会でも良く見られますが、初心者が気軽に挑戦できる技ではありません。アーリーウープの基本的な知識がないまま、安易に真似をしても成功は難しいです。場合によっては、怪我をする危険があります。

注意するポイントを押さえたうえで、プロの技をネットの動画などで確認し、十分な知識を蓄えて実践することがおすすめ。アーリーウープを習得できれば、他のエアーテクニックへのチャレンジも難しくありません。

アーリーウープができる波

アーリーウープに適した波のサイズは、頭から頭上といわれています。このサイズは、サーフィンをする波のなかでもかなりの高さです。波には非常に大きな力があるので、自分のレベルにあったサーフィンを行うことが大切です。

サーフィンでは、波の大きさを体の部位で表現します。例えば、ひざ、もも、腰、腹、胸、肩、頭、頭オーバーなど。初心者の方にとっては、腰程度の波でも十分に力があり、恐怖心を湧くことがあります。波のサイズから見ても、アーリーウープの難易度の高さは一目瞭然です。

波のコンディションには、陸から海に風が吹くオフショアと、その逆のオンショアがあります。アーリーウープに挑戦するのであれば、海から陸に向かうオンショアがおすすめ。足元からボードが離れにくいので、コントロールがしやすく、成功率が高まります。

危険な波とは?

一般的にエアーテクニックを練習するときは、チューブやバレルと呼ばれる巻いた状態の波を避ける必要があります。なぜなら、崩れる際に勢い良く前に飛び出しながら、トンネル状に巻き込みが生じるからです。

アーリーウープではスピードが必要となり、切り立った状態の波である「ホレた波」が最適。巻き込みがなく適度な速さで崩れていく波で、十分な高さがあればアーリーウープの練習が可能です。

アーリーウープのやり方

先述したようなアーリーウープの練習に向く波を見つけたら、ボトムターンからリップに向かってアプローチをかけます。失速せずに波頭に向かうためには、最底辺からのボトムターンではなく、波の中腹から行うようにしましょう。

波から飛び出すときは、しっかりとテールを蹴り上げて高さを意識。飛びあがった瞬間、肩から大きく上半身をひねり、すぐに着地点に視線を向けるようにすると、体全体が着地点を向きます。

着地のコツをつかもう!

出典:せと和 / PIXTA

アーリーウープのような難易度の高いエアーテクニックでは、着地がもっとも難しいとされています。なぜなら、スケートボードやスノーボードのように着地点が固定されておらず、海面が常に一定ではないからです。着地のコツをつかむためのポイントを確認します。

アーリーウープは着地時がとても危険

アーリーウープは、大きな波から高く飛び出し、ダイナミックに回転します。着地時の衝撃が大きく、バランスを失いやすい状態となります。最初のうちは、転倒したり流されたりして、たくさん失敗するでしょう。

カレント(離岸流)が発生するエリアや、海底が固いリーフブレイク、また地形を良く知らない場所での練習は絶対にしてはいけません。ビーチブレイクで海底がやわらかく、比較的流れが読みやすい場所で行うのが安全です。

着地の良し悪しはアプローチから

アーリーウープの難しい着地をなるべく安全に行うためには、波へのアプローチ場面から留意していく必要があります。仕掛けるタイミングは、波の崩れ始めがおすすめです。ブレイクし終わるセクションでも可能ですが、初心者のうちはうまく波の上に戻れず、波の裏側に着地する失敗が多く見られます。

次のアクションにスムーズに移れず、またバランスを失ってワイプアウトする可能性も。これを回避するためには、ブレイクが始まるセクションを目指して仕掛けることが大切です。

安全な着地のためには?

高いジャンプと高速回転のあと、安全に着地するためには、低い姿勢の維持が重要です。棒立ちになるとバランスを失い、転倒や転落する恐れがあります。目線を着地点に定め、前傾のまま両足をしっかりとボードにつけましょう。

ブレイク後の泡が立っているスープのセクションを目指して着地できれば、泡が緩衝材の代わりとなって衝撃から守ってくれます。フラットな場所に降りてしまうと衝撃が大きく、怪我やボードの破損につながる可能性があるので注意が必要です。

体の使い方をマスターしよう

サーフィンは、サーフボードと体一つだけを使うシンプルなスポーツです。波の力だけで海上を疾走し、空中に飛び出して、回転します。ボードの操作で使えるものは、自分の体のみ。自在にボードを操るためには、体を使うテクニックをマスターしなければなりません。

波の力を利用して、ボードを乗りこなすことは決して簡単ではありません。そのため、余分な力を入れずに、柔軟性をもって姿勢を保ち、重心を調整していくことが必要です。例えば、回転をする際には、足で回すのではなく、肩や腕を使って上半身を回転させます。

そのとき、「視線を先行させることで体がついていく」という流れを意識しましょう。足元は、波のうねりに従いながらボードを離さずにコントロール。波の力に逆らおうとするのではなく、タイミングをつかんで波の動きを利用していきます。

エアーテクニックに挑戦する前に

アーリーウープは、華やかなエアーテクニックのなかでも、ひと際豪快な技です。プロが軽々と実行しているのを見ると、すぐに試したくなる方もいるのではないでしょうか。しかし、プロや上級者のお手本を見るときには、エアーテクニック前後の動きに注目しなければなりません。

波にアプローチする力強いパドリングや、素早いテイクオフ、リップに駆け上るボトムターン、そして着地の際の安定感ある姿勢など、サーフィンの基本がしっかりとなされていることがわかります。アーリーウープの習得は決して簡単ではありません。

テクニックを身につけるためには、アーリーウープの危険性を知ることが大切です。できるかぎり安全に配慮しながら、基本を踏まえた練習を重ねていきましょう。

まとめ

アーリーウープを練習する際、注意しなければならないポイントは数多くあります。知識がないまま、海でいきなり挑戦すると大怪我をする可能性も。思いがけないアクシデントを回避するためには、何をすればリスクを減らせて、どのような場合に危険性が高くなるのかを良く理解しておく必要があります。注意点としてあげられたポイントを頭に入れたうえで、技術を磨き、アーリーウープの習得を目指してください。

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