サーフィン競技の花形、エアーテクニック。その中でも、「難易度の高いアーリーウープを攻略したい」と考えるサーファーは少なくありません。しかし、瞬時に形を変える波を利用したテクニックのため、至難の業です。ここではアーリーウープを安全に成功させるために、チェックすべき3つのポイントを解説します。
安全にエアーテクニックを楽しもう!
波の上に大きくジャンプするエアーテクニック。ある程度の経験者でも、簡単には成功しません。さらに、華やかに見えてもエアーテクニックの実行にはリスクが伴います。安全に行うための知識が必要です。
エアーテクニックは危険度が高い
サーフィンのエアーテクニックには、スケートボードやスノーボードとは違う怖さがあります。それは、着地点が必ずしも一定ではないからです。スケートボードやスノーボードの場合、少なくとも事前に見えていた地面や斜面が急に変化することはありません。
しかし、海の上で行うサーフィンは、波の動きが予測不可能という場合もあります。着地でバランスを失い、ボードに激突すれば大けがを負うことも。十分に経験を積んだプロでさえも常に危険と隣り合わせです。
まずは、波の怖さやエアーテクニックの危険性を意識し、自分のレベルに合わない無謀なチャレンジは行わないようにしましょう。
基礎を固め無理のないチャレンジを
エアーテクニックに至るまでには、「パドリングをして良い波を探す」「素早くテイクオフを行う」ことを心がけて、波を追っていきます。一連の動作に慣れていないうちは、まだ初心者レベルから抜けていません。
波の下部でターンするボトムターンや、波の斜面を上下しながらスピードアップしていくアップスダウンなど、基本的なテクニックを身に付けることが先決です。波に対する、ある程度のコントロールができるようにならなければ、難易度の高いエアーテクニックには臨めません。
体勢を低くして重心の調整をすることは、ジャンプアップや着水を成功させるために必要な動作です。常に、大き目の波を確実に乗りこなせるようになるまで、基礎練習を繰り返していきます。
STEP1.波を見極める
アーリーウープを成功させる重要なポイントの一つが、波を見定めること。エアーテクニックによって、最適なサイズや波の種類は異なります。
アーリーウープをする波の大きさ
アーリーウープに最適な波のサイズは、頭~頭上くらい。推進方向に飛ぶエアーリバースと比べると、やや高めの波を狙います。360°回転するアーリーウープでは、大きくジャンプするための力強い波が必要です。
アーリーウープに向く波の種類
アーリーウープには、海から陸に向かって風が吹くオンショアが適しています。オンショアによってボードが足元から離れにくいため、技をしかけやすくバランスを失いません。波のセクションとしては、崩れ始めか崩れ終わった箇所が良いとされていますが、初心者のうちはブレイクし始めがおすすめです。
慣れていなければ、波の裏側に出てしまう傾向があります。崩れ始めの波であれば、元の波の上に戻りやすいので覚えておきましょう。
STEP2.波が崩れ始めたら仕掛ける!
良い波を見定めたら、いよいよアーリーウープを実践。どのタイミングで入るか、また避けたい波について説明します。
ブレイクするタイミングがベスト
オンショアでサイズが適当な波を見極められるようになったら、ボード上で技を仕掛けるタイミングを待ちます。波が崩れ始めたセクションがベスト。テールをキックし、肩を大きく使って360°の回転を加えていきます。
エアーテクニックで重要なのがスピードです。波に乗るスピード、回転スピードのいずれかが落ちると、美しい技は決められません。中途半端な状態になると、波にのまれたりボードから落下する恐れがあります。
アプローチ速度を上げたあとは、すぐに次のアクションに移って技のタイミングを逃さないように意識します。
日本の波はエアーテクニック向き?
どのエアーテクニックにもいえることですが、チューブライディングでは好まれるバレル(波が巻いている状態)は、技を仕掛けには不向き。バレル気味の波で無理にアーリーウープに挑むと、着地に失敗してケガをする恐れもあります。
ただし、日本の多くのサーフポイントでは、バレルが見られずあまり心配はありません。つまり、エアーテクニックの練習場所としては恵まれていると言えます。アーリーウープをはじめとするエアーテクニックを仕掛けやすいのは、リップが切り立っていてほどよくカールした「ホレた波」。ソフトにホレた波を見つけたら、練習のチャンスです。
STEP3.低姿勢でバランスをとって着地
アーリーウープに初めて挑戦する方は、うまくジャンプして回転まではできても、着地が決められず転倒するということが少なくありません。リスクを減らせる着地と全体の流れを解説します。
着地ポジションはスープを狙え
着地をうまく決めるためのポイントは、第一に技を仕掛けるタイミング。波の崩れ始めに合わせることで、初心者の方に多く見られる波の裏側への着地を回避できます。回転時の姿勢は低くして重心を保ち、バランスを失わないようにしましょう。
棒立ちになるとバランスをとるのが難しくなるので、常に低い姿勢を意識することが大切です。さらに、アクション中は着地点を見ることが重要。視線を先に送り、体全体の動きを正しい方向へ促します。着地点は、波がブレイクした後にできる泡状のスープと呼ばれるセクションがベスト。
泡がクッションの役割を果たし、衝撃によるケガのリスクを低下させます。激しいアクション後、スープのゆったりとした流れに任せて休息できます。
タイミングとリズムでアプローチからフィニッシュへ
アーリーウープができる場所は、高さがありリップの立つ波です。瞬時に形状を変える波にアプローチをかけて、タイミングを図り、リズムに乗りながら技を実行し、フィニッシュまでの流れを作ります。リップへのアプローチでは、速度を上げることに集中し、勢いに乗ったまま回転に入ることが大切です。
技の直前のボトムターンは、波の中腹でのターンが必須。ジャンプの際には、ボードのコントロールを意識し、高さを出すために後方の足でテールを強く踏みます。回転するためには、テールを力強くけり上げ、肩から回りながら着地方向に視線を向けましょう。頭は波頭方向ではなく、やや下向きです。
視線を着地点に、肩や腕を回して上半身を先行させるようにすると、自然に下半身とボードを回転できます。先に見たように、着地点は波が崩れた後のスープセクションがおすすめです。フラットな場所にボードで着地すると、衝撃によってケガやボードの破損の可能性があります。
スピードとタイミングを念頭に、波の動きを予測してアプローチからフィニッシュまで技に集中しましょう。アーリーウープは、難易度の高い技ですが、乗る波やそのセクション、着地に留意して練習することで、技術を向上が期待できます。
まとめ
「あこがれのアーリーウープを何とかマスターしたい」と、練習を繰り返しても、なかなか成功できないときには、ポイントを確認することが必要です。ポイントとなるのは、 「波の見極め」「仕掛けるタイミング」「低姿勢からの着地」の3つ。
アーリーウープに適していない波に乗ろうとしたり、間違えたセクションで仕掛けようとしても、失敗や怪我のリスクが高まるだけです。エアーテクニックは、ダイナミックで爽快な技ですが、危険があることを忘れてはいけません。
基本的な技術を身に付け、ポイントを押さえながら練習を繰り返していくと、成功率が向上します。プロの動画を参考にポイントを確認し、成功イメージを高めてみてください。