「スタンサー」なしでビンディングの取り付け?上級者も初心者もバランスを測定がレベルアップの近道

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今スノーボード関連のYouTubeやSNSで話題になっているのが、バインディングの取り付け位置を測定してくれる「スタンサー」という機械。足をのせる黄色い2枚の円盤を店舗で見たことがあっても、上級者だけのものと思っていた人も多いはずです。今年の冬にスノーボードデビューをしたい人や、数回のスノーボードの経験がある人こそ、測定した方がいいという話もあり、その真相をプロボーダーに聞いてきました。

話題のスタンサー。その真相とは?


昨年あたりから、スノーボード系のYouTubeやSNSでプロのレビューが目立ち始めている「スタンサー」。最初は「本当に意味があるの?」と半信半疑で測定してみると、その効果と滑りの違いに驚く内容がほとんど。スノーボードのコア層向けと思いきや、実は「初心者やなんとなく板を買った人や、もらった板で滑っている初心者だからこそ、測定した方がいい」という声も。そこでプロスタッフが多くいるビクトリア御茶ノ水本店(東京都千代田区)にうかがい、スタンサーが評価されている理由を探りました。

教えてくれたプロはこの方

出迎えてくれたのは、アルペンスノーボードのプロで、Team Victoria所属の志鷹あかりさん。アルペンスノーボードでは、2012〜2016年に国内ツアー1位、2017年、2018年は国内ツアー2位の実力の持ち主。長野県白馬出身でスノーボードをこよなく愛し、店頭でも、初心者にわかりやすい説明に定評あり。

編集部:今、スノーボード界隈で、「スタンサー」をよく聞くようになりました。
志鷹:確かに、プロの方も「スタンサーで測定した後に滑りが変わった」という声もあり、スノーボード業界では、この1、2年で特にに認知度が高まりました。ただ、それはプロのものだけでなく、私もプロであり、板選びをアドバイスするスタッフという立場からしても、初心者の方こそ、最初の板を選ぶ前に使ってほしいと思っています。

編集部:そもそも、スタンサーは何を測定して、何に活かせるものなのでしょうか。
志鷹:簡単にいうと、スタンサーは、スノーボードで立ちやすい位置を算出する測定器です。スノーボードは、ボード上に両足を固定した状態で行うスポーツ。体のバランスに合った足の位置でバインディングをセッティングすることが、無理なく体を動かせるようになり、より安全に上達するための近道です。これまでレンタルや貰い物の板でなんとなくセッティングされたものを使っている初心者の方もいますが、自分の体の特徴にあったボードを選ぶことがやはり、スノーボードの滑る楽しさをより感じられます。

編集部:数回滑ったことのある初心者も「立ちやすい位置」は感覚的にはなんとなくわかるのですが、そもそもスノーボードで立ちやすいっていうのは、どういうことなのでしょうか?
志鷹:主に3つの意味があります。
①足を固定した状態で余計な負荷がかからない
②足の左右のバランスを保ちながら可動域を最大化できる
③ボードの上で静的な重心を安定させる
スタンサーではこの3点を数値で指標化しているわけですね。
編集部:もう少し、教えてください。この3つがわかることで、どう活用できるのでしょうか。
志鷹:そのクセを知ることで、スノーボードのスタンス、つまり足の向き、角度、足幅の推奨値をライディングスタイルに合わせて示すことができるわけです。右利きの人なら、左足を前にするレギュラースタンスとされていますが、実は何回かスノーボードをやっていた人で、スタンサーで測定したら、実は右足が前のグーフィースタイルの方が向いているという結果が出る場合もあります。

実際にスタンサーで測定してみた!

黄色い円盤に乗って何をするの?


編集部:実際にはどうやって測定するのでしょうか。最近になって、スタンサーのバージョンが新しくなったとも聞いています。
志鷹:実は今回バージョンアップして、より精密に測定できるようになったのも話題になっている理由の一つです。まずは黄色い円盤の上に片足ずつ載せた状態で立ち、股関節の回旋できる範囲を知るため、両足を開いて閉じてを繰り返します。

新バージョンはここが新しい!


編集部:実際にやってみましょう!
志鷹:それでは、まず年齢、身長、体重、足の長さ、足幅を入力します。次にスノーボードのレベルを入れていきます。「まだ滑ったことがない」から「滑ったことはあるがターンがなかなか出来ない」という初心者レベルから、「資格保持者、大会に出ている」までの5段階のレベルに対応しています。
次に現在のスタンスも「レギュラー」「グーフィー」など4種類のスタンスまたは「不明」から選び、最後にライディングのスタイルを決めます。ビギナーから、ゲレンデで滑りながら技をきめる「グラトリ」、ゲレンデを自由に滑ったり、ターンをきれいに決める「フリーライド・カービング」、「パークライド・ハーフパイプ」、「オールラウンド」、「パウダー・BC(バックカントリー)」から選びます。
編集部:ほぼすべてのスタイルを網羅しているのですね。
志鷹:新バージョンからは、フリーライド・カービング、オールラウランドが追加され、より多様なスタイルに対応できるようになってします。

より正確なデータがとれるように!


志鷹:それでは、この黄色い円盤に足をのせてみてください。これでメトロノームの音に合わせながら足を内側、外側に開いて回旋させていきます。前モデルはこれで3回の開閉を図るだけだったのですが、今回から10秒間、内側と外側で計5回、開きの角度を測定できるようになり、より正確なデータがとれるようになっています。

標準化された測定結果とアドバイス


編集部:さて、結果がプリントされてきました。この可動域タイプで「M:マルチ」と出ているのは何でしょうか。
志鷹:これはどのスポーツにも向いている「天性のバランス感の持ち主」ですね。
「ニュートラルポイントに左右の偏りがすくないため、体の特徴として、レギュラー、グーフィーの概念がありません。どんなスポーツをするにも身体に落とし込みやすく、時間がかからずにある程度のところまで上達することができます」と書いてある通り。

志鷹:可動域タイプは全部で7種類あります。内外旋回角度のバランスや可動域の広さなどのすべてで完璧な可動域で、トップアスリートとなる資質のあるのが「ゴッドフット」。逆に左右のニュートラルポイントに大きな差のある「スーパーギャップ」というタイプもあります。人の動作にはそれまでやってきたスポーツや姿勢なのでクセがあるもので、野球などの片方に負荷のかかるスポーツをやってきた人に多い特徴ですね。

身体データから滑りのアドバイスも

編集部:測定結果と身体データからのアドバイスも出ていますね。「偏りの少ないレギュラースタンス体質。比較的特徴が少ないタイプではありますが、強いて言えばターンはヒールサイドターン、スピンはフロント(左回り)サイドが得意。トゥサイドターン時に右側の視野が狭くなりやすいので注意が必要です」。かなり専門的な分析までされていて、参考になりますね。
志鷹:新しくなったスタンサーでは、このアドバイスも詳細に出るようになったので、それまで店員さんの分析にたよっていたところが大きかったのですが、より標準化したアドバイスができるようになっているのもポイントです。

谷口さんの診断はいかに?

志鷹:スノーボード系YouTubeチャンネル「P-CAN factrory」で知られる谷口尊人さんのスタンサー診断も人気ですよ。
編集部:ここの最後に書いてある一文ですね。「人の役にたつ事が大好きで思いやりにあふれ、調和を好むタイプ。明るく話が大好きなあなたは時間があれば交流の場にできる限り顔を出すタイプです」。たしかに、そう言われればそんな気もしますが、まったくスノーボードと関係がないですよね!?
志鷹:そう、その関係なさが、逆に面白いんです。スタンサーのバージョンアップでひそかに人気が出ているいるのも、これが意外に当たっているからかもしれません。そのバリエーションも実に約200通りあり、これも谷口さんの「統計」に基づいたデータとのことです。

スタッフもアドバイスしやすくなる!


編集部:性格診断はあたっていると言われればそんな気もしますが、肝心のボード選びのアドバイスを見てみます。推奨ボード長は151cm〜156cm、フレックス(たわみの強さ)2〜4、トーション(ねじれの強さ)2~4などと出ていて、これからボードを買いそろえたい人には、何が向いてのか分かるのでいいですね。
志鷹:スタッフにとっても、こうしてデータが出ることで、おすすめしやすいものが明確になるので、ぜひ板を選ぶ前には、スタンサーを試してほしいと思っています。1回の所要15分で1,980円。御茶ノ水本店では来店による予約が必要ですので、注意してください。

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取材を終えて

スタンサーは上級者だけのものと思われがちですが、実は意外にも、初心者やなんとなくビンディングのセッティングをしていた人こそ、上達のために測定したほうがいいことが分かりました。お店のスタッフさんもアドバイスをしやすくなるので、自分に合った板で雪山を滑りまわれるためにも、スタンサーは今後の板選びで必須になりそうです。

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