スケートボードには、初めから完成しているコンプリートモデルもありますが、部品一つ一つを選んでカスタムモデルを作ることもできます。自分なりのスタイルを見つけるには、各部位に関する知識が欠かせません。この記事では、スケートボードの部位別の名称やはたらきについて詳しく解説します。
デッキ部分の名称
デッキとは、スケートボード板部分のことで、一見シンブルながら各部位にはさまざまな名称があります。スケートボードの材質は、メープル(カエデ)が一般的で、薄く加工した材料を7層ほど重ねて圧着して作成します。
デッキの幅は、男性の場合8.0~8.2インチ、女性の場合7.5~7.75インチが目安です。幅が太いと安定しやすく、細いと取り回しやすくなります。また、長さやデザインは、好みで選んでもかまいません。
ここでは、デッキの部位ごとの名称とはたらきについてご紹介します。
・ノーズ、テール
スケートボードの両端は上側に反りかえっていますが、デッキにある前側の反りがノーズで、後ろ側がテールです。ノーズのほうが長く、テールのほうがキックとしては強く作られています。
キックは、トリックに大きくかかわります。キックが弱い(反りの角度が小さくデッキの先端が低い)と安定性が増すのが特徴です。一方、キックが強い(反りの角度が大きくデッキの先端が高い)場合には、力が必要で扱いづらいものの、
高く飛べるようになります。
・ホイールベース
スケートボードには、ノーズとテール側に2個で1対となる車輪があります。各々の車輪軸同士の距離をホイールベースといい、デッキの乗り心地に大きな影響を与える点は押さえておきましょう。
ホイールベースが長い場合は、直進安定性がよくなる一方で回転性が悪くなります。また、ホイールベースが短い場合は、回転性が良くなり素早い動作が可能です。
・コンケーブ
デッキの断面は、中心が最も低くなるように微妙なへこみがついています。このへこみ形状がコンケーブです。足をデッキにフィットしやすくしたり、トリックの際に蹴り上げやすくしたりする効果があります。
デッキは完全に平らでも乗りにくいですが、コンケーブが弱めのほうが安定する傾向です。そのため、初めのうちはコンケーブが弱めのものをおすすめします。
・デッキテープ
デッキの表面に取り付けるザラザラしたテープのことです。デッキテープは、貼らなくてもスケートボードに乗ることはできます。しかしトリックをする場合、デッキテープは欠かせないものです。
デッキテープを付けておくと、板と一緒にジャンプするオーリーなどのトリックをする場合にデッキをすり上げやすくなるのです。スタンスを良く変える場合は、目が細かいデッキテープがおすすめですが、目が粗いほうが足によく食いつきます。ただし、靴の摩耗が激しくなる傾向があるため、注意しましょう。
トラックとウィールの名称
デッキの裏側には、さまざまなデザインが施されているほか、ウィール(タイヤ)がついています。トラックとは、デッキにウィールを固定するために使う金属製の部品です。主に、アルミが採用されていて、以下などの細かい部品からできています。それぞれの名称を見ていきましょう。
・アクスル
アクスルシャフトともいわれる棒状の構造。ベアリングを通しナットとワッシャーで固定します。
・ハンガー
トラックの中心にあり、アクスルを受け止める構造。
・ブッシュ
ラバーなどでできている部品で衝撃を吸収する構造。
・キングピン
トラックの中心にあるピン構造。
・ベースプレート
四角にネジ穴がある
部品で、トラックとデッキをネジで固定します。
トラックは、安定性や曲がりやすさ、足へのひっかかりにくさなどに影響します。そのため、トラックを選ぶ際は、デッキの幅との組み合わせが重要です。デッキの幅が太い場合はトラックの横幅を長く、デッキが細い場合にはトラックの横幅も細くしましょう。
また、トラックには、車高の違いにより「HI(ハイ)」と「LOW(ロー)」があります。
・HI(ハイ)
大きなウィールに対応し、クイックなターンが可能。上に飛びあがりやすい。
・LOW(ロー)
重心が低く安定感があり、デッキコントールがしやすい。脚力がなくてもテールを弾きやすい。
スケートボードのウィールとは、タイヤのことです。スケートボードの場合は、ノーズとテール側にそれぞれ2個、計4個のウィールで支えられています。ウィールを選ぶ場合は、直径と硬さに着目しましょう。
どれを選べばよいか迷った場合は、硬さは98A~99Aのハードタイプのウィールで直径が大きめのものがおすすめです。
・ウィールの直径
ウィールの直径は、トラックの高さに対応する範囲で選ぶのが重要です。ウィールの直径が小さいほどトリックがしやすく、ウィールの直径が大きいほどスピードが出やすく走行が安定します。なお、ウィールはトラックとの組み合わせが重要で、トラックが低いにもかかわらず大きな直径のウィールを選ぶと、デッキとウィールが接触して非常に危険です。
・ウィールの硬さ
ウィールの硬さは「数字とA」の組み合わせで表現され、ハードとソフトがあります。ハードウィールは、ストリート向けでトリックがやりやすいのが特徴です。しかし、凹凸のある道では振動が多く滑りにくさが感じられるかもしれません。
一方、ソフトウィールはクルージング向け。トリックはやりにくくなるものの、衝撃を吸収し走りやすい傾向です。
ベアリングの名称
ベアリングとは、ウィールの内部構造のことで、ホコリや異物、サビなどの影響を受ける消耗部品です。ウィールがスムーズに回転できるように支える役割があり、1つのウィールに対して2つのベアリングを使用します。
ベアリングは、ウィールと組み合わせあとでトラックに取り付けます。ベアリングを固定する場合は、ベアリングがついたウィールの両側をワッシャーで挟み込んでトラックのアクスルに通してからアクスルナットで締めあげます。固定する際は、ウィールの回転を妨げないように少し緩ませておくことが重要です。
ベアリングを選ぶ場合には、ABEC(エイベック)という性能等級で評価をします。ABECの数字が大きいほど精密になり、より摩擦抵抗が少なくウィールが回転しやすいものの耐久性が低くなるのが特徴です。初心者の場合は、ABEC3やABEC5程度がおすすめです。
ベアリングには、オイルタイプとグリスタイプがあります。オイルタイプは、ベアリング内のボールが回転しやすいものの定期的にオイルの補充が必要です。グリスタイプは、オイルタイプに比べると回転しにくい一方で、メンテナンスの手間が軽減できます。
ここでは、ベアリングの内部にある構造の名称をご紹介します。
・アウターレース
ボールの回転を外側から支える円筒形状で、内部に溝が作られています。インナーレースと組み合わせてボールを保護します。
・リテイナー
一つ一つのボールが等間隔の場所で回転できるようにボールを受け止める構造
・ボール
ウィールが回転する際の摩耗を和らげるはたらきがあります。スケートボードの場合には、カーボン、クローム、セラミックなどが用いられ、一つのベアリングに7つのボールが使われるのが一般的です。
・インナーレース
ボールの回転を内側から支える円筒形状で、外側に溝が作られています。アウターレースと組み合わせてボールを保護します。
・シールド
ベアリングの中に、砂利や小石などが入らないように保護をする構造で、メンテナンスのために取り外しが可能です。
まとめ
スケートボードは、大きく分けると「デッキ」「トラック」「ウィール」の3つの構造からできています。デッキには、その部位や反り具合などに関する名称があり、トラックにも構造ごとに名称があるので押さえておきましょう。
また、ベアリングはウィールの内部あり、ウィールの回転を支える重要な構造です。さらに、ベアリング自体も細かなパーツから構成されています。スケートボードの名称を知ることで、より自分にあったスケートボードの構造がわかるようになるでしょう。
希望するプレイスタイルにあったスケートボードを選ぶために、ぜひお役立てください。