サーフボードのお手入れで重要なのがワックスですが、ワックスにはサーフボードの寿命を伸ばすだけでなくさまざまな役割があります。この記事では、サーフボードのワックスの役割とワックスの塗り方、ワックス以外に滑り止めになる便利グッズを詳しくご紹介しますので、参考にしてください。
サーフボードのワックスの役割
サーフィンは楽くても、手入れが面倒に思うことがあるかもしれません。しかし、安全にサーフィンを楽しむためにはワックス塗りはとても重要です。ワックスの役割がわかれば、ワックス塗りもそれほど苦にならないと思うので、ワックスの役割をぜひ理解してください。サーフボードのワックスの主な役割は次のとおりです。
・滑り止めの役割
サーフィンは初心者でも楽しめるスポーツですが、ケガのリスクが全くないわけではありません。そのままのサーフボードは滑りやすく、サーフボードを掴んだとき、ライディングをするとき、パドリングをするときなどにサーフボードが滑りやすいと、それが原因でケガをする可能性もあるでしょう。
ワックスを塗ることでグリップ力をアップでき、事故を未然に防ぐことができます。安全にサーフィンを楽しむためにはワックスは必要不可欠。ワックス塗りは忘れずにおこないましょう。
・サーフボードの表面を保護する役割
サーフボードは想像以上にデリケートです。岩に当たったり、衝撃を受けたりしたときはもちろんのこと、地面に落としただけでも傷がついてしまいます。傷をそのままにしておくとそこから海水が入ってきて、サーフボードが劣化させてしまいます。傷はこまめにチェックして、傷が付きにくくなるようにワックスを塗ることが重要です。
サーフボードの修理費用は1万円以上することもあります。ワックスを塗っておくことでサーフボードを長持ちさせるだけでなく、無駄な出費を抑えることができます。
・グリップ力を高める役割
初心者にとっても第一関門は「テイクオフ」ではないでしょうか。「テイクオフ」で重要なのは体のバランスですが、サーフボードが滑りやすいと上手くバランスを取ることはできません。ワックス塗れば滑りにくくなるだけでなく、グリップ力も高めることがきます。ワックスを塗れば初心者でもサーフボードの上で重心のバランスをコントロールしやすくなります。ワイプアウトすることも減るので、サーフィンも習得しやすくなるでしょう。
ワックスの効果を最大限に引き出すためには、季節や水温に合わせてワックスを選ぶことも大切です。ワックスには「TROPICALタイプ」、「WARMタイプ」、「COOLタイプ」、「COLDタイプ」、「SUPER TACKタイプ」などの種類がありますが、選び方については次項でご説明いたします。
ワックスの塗り方
ここでは、ワックスを使ったサーフボードの手入れの仕方をご紹介いたします。ワックスを塗るときの流れは次のとおりです。
・ベースコートとトップコートを選ぶ
ワックスを塗るには、ベースコートとトップコートが必要です。ベースコートは1種類でオールシーズン使えますが、トップコートは種類によって硬さが異なり、季節で使い分けないとうまく塗ることができません。トップコートは気温ではなく、海水の水温を目安に使い分けましょう。
それぞれのトップコートに適した水温の目安はこちら
「TROPICALタイプ」:水温25℃以上が使用の目安。真夏におすすめ。
「WARMタイプ」:水温17~25℃のときが使用の目安。初夏や初秋に最適。
「COOLタイプ」:水温12~20℃のときが使用の目安。春や秋と広くつかいやすい。
「COLDタイプ」:水温14℃以下が目安の目安。冬や寒冷地向け。
「SUPER TACKタイプ」:真冬の場合、国内ならCOLDタイプで代用可能。
・古いワックスを剥がす
古いワックスを塗ったままにしておくとサーフボードの表面を劣化させてしまうので、まずは古いワックスを剥がします。必要なものは、「ドライヤー」「スクレーパー」「リムーバー液」です。ドライヤーで温めるとワックスが柔らかくなるので「スクレーパー」を使って剥がしていきましょう。
「スクレーパー」でワックスがだいたい剥がせたら、「リムーバー液」を塗ってしばらく放置します。最後に「リムーバー液」を拭き取りますが、このとき「リムーバー液」がサーフボードの表面に残っていると、ベースコートがうまく塗れないのでしっかりと拭き取ってください。
・ベースコートを塗る
ベースコートを塗る範囲を決めて、両端に線を引いておきましょう。ベースコートは斜めの格子状に塗るので、最初に平行線を斜めに引き反対向きの斜線を引いて格子状にしていきます。力が弱いときれいに線が引けないので、角を使って力強く斜線を引いていくのがポイントです。
次に格子状の線の上に丸を描くように塗ります。力が強すぎると粒がつぶれてしまうので、力を加減しながら広げてください。また、ベースコートの塗り方でグリップ力が左右されるので、気を抜かずに丁寧に塗ることが大切です。
・トップコートを塗る
トップコートは厚さに弱いので、直射日光を避け室内で作業をおこないます。トップコートはベースコートほど硬くはないので、力は入れなくて大丈夫です。力を入れて塗ると粒がなくなり、グリップ力もなくなってしまうので、トップコートを塗るときは撫でるようなイメージで優しく塗っていきましょう。
ベースコートは何度も塗る必要はありませんが、トップコートはサーフィンをする前にその都度塗っておくのが一般的です。
ワックス以外に滑り止めになるワックスレスな便利グッズ
ワックスはグリップ力と安全性を高めてくれるありがたいサーフィングッズですが、いくつかのデメリットもあります。主なデメリットは次のとおりです。
・サーフィンをする前に毎回塗り直さないといけない
・サーフィンの荷物が増える
・見た目が悪くなる
・ウエットスーツにワックスがつく
・腕時計の凹凸の部分にワックスが入り込む
・ワックスが溶けると車内が汚れる
・剥がすのに手間がかかり剥がすときに傷ができる可能性がある
ワックス以外にも滑り止めの役割を果たす便利グッズがあり、ワックスレスのものとしては「クリアデッキ」と「クリスタルグリップ」があります。どちらもワックスのように塗るのではなく貼るものなので、サーフィンをするたびに塗り直す煩わしさがありません。また、ワックスを使うことで生じるデメリットも解消できる優れものです。
滑り止めシートという点では「クリアデッキ」と「クリスタルグリップ」は同じですが、形状やスペックは異なるので、ふたつの特徴を理解してどちらにするか選ぶとよいでしょう。ここでは、「クリアデッキ(3Xプラス クリアデッキ)」と「クリスタルグリップ(クリスタルグリップネクスト)」を比較しながらそれぞれの特徴をご紹介いたします。
・シートの形状
「クリアデッキ」の形状はいろいろあるので、好みに合わせて組み合わせて配置することができます。「クリスタルグリップ」は全部同じ形なので縦に貼るか横に貼るかの選択しかできませんが、カットして使うことも可能です。
・シートの透過度
「クリアデッキ」の透明度はある程度あってロゴは透けて見えますが、表面に凹凸があるためシートを貼っていることが分かってしまいます。一方「クリスタルグリップ」は透明度が高いので、ロゴもきれいに見えて遠くから見ればシートはほとんど分かりません。
・貼り具合
「クリアデッキ」は気泡や貼りムラができにくいのですが、「クリスタルグリップ」は張りムラができやすくなっています。気泡が気になる場合は、水スプレーを使って貼る「水貼り」がおすすめです。
・グリップ力
「クリアデッキ」はマイクロディンプル加工で表面をザラつかせ、その凹凸で滑りを防ぎます。「クリスタルグリップ」の表面にはザラつきはなく、ゴムのような弾力性でサーフボードと体を密着させるので、クリップ力に優れ肌触りがよいのが特徴です。
まとめ
ワックスは最初こそうまく塗れなくても、回数を重ねコツを掴むと、時間を掛けずに上手に塗れるようになります。サーフィンは子どもから高齢の方も楽しめるスポーツですが、接触や衝突、転落などでケガをするリスクがあるスポーツです。サーフィンをする際は、ワックスやクリアデッキ、クリスタルグリップなどで安全性を確保して、大好きなサーフィンをおもいっきり楽しんでください。