南アフリカの星”ジョーディースミス”…CTに12連続参戦する最上級レベルのサーファーの魅力

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1度でもサーフィンの世界に魅了されたことがある方なら、今やサーフィン界の生きた伝説である、ジョーディースミスの名前を聞いたことがあるでしょう。今回は彼の魅力やプロとしての実績やスポンサーについて、プロからも絶賛される類い稀ない技術などを余すところなくご紹介していきます。

ジョーディースミスの魅力

ジョーディースミスは1988年2月11日に南アフリカのダーバンで生まれ、サーフボードのシェイパーであった父グラハムの影響で3歳のころからサーフィンを始めました。海から少し離れたところに家があったため、小さい頃は平日にサッカーをし、週末になると海に出かける、という少年時代を過ごしていたのです。

あまり裕福とは言えない家庭で育ったジョーディースミスでしたが、いつしかサーフィンで成功して家族を幸せにすることを夢見て練習していたと語っています。彼は幼少期から、出身地南アフリカの厳しくも恵まれた世界最高峰のサーフスポットで、サーフィンに打ち込むことで頭角を表してきました。

ジョーディースミスが幼少期にお手本としていたのは、サーフィン界のレジェンドであるトム・カレンのライディングです。そんなレジェンドのスタイルをまねすることで、ジョーディースミスだけのスムースでダイナミックな力強くも美しいサーフィンが誕生しました。

2008年からはWSLのCTに参戦し続けていますが、それまでのアマチュア時代でも彼の活躍は目を見張るものがありました。彼が注目を集めたのは2003年のダーバンで開催された、Quiksilver ISA世界選手権のアンダー16のジュニア部門で優勝した時のことでした。それから、2006年にはASP(現在のWSL)の世界ジュニアにて優勝し、2007年にはASP WCTの2次リーグにて見事にチャンピオンになり、翌年2008年からのWSLのCTへの参加権を手に入れています。

そんなジョーディースミスの魅力と言えば、身長190cmという大きな体格を活かした、大柄でダイナミックなパワーサーフだけではなく、非常にスムースで美しいターンやカービングもこなせるという点でしょう。大柄な体格を感じさせないほどあっさりとビッグエアを決めてくるところなど、ジョーディースミスはアマチュアだけでなくプロでさえも魅了するスキルを持ち合わせています。

現在、多くのキッズサーファーが、かつてジョーディースミスがトム・カレンをお手本としていたように、彼のランディングに魅了され、ジョーディースミスを目標として日々練習を続けているのです。

プロとしての実績やスポンサー

ここからは、プロとしてのジョーディースミスの戦績をご紹介します。2008年からWSLのCTに参戦し続けていますが、残念ながらグランドチャンピオンになったことはありません。しかし、2010年と2016年は総合で2位につけており、グランドチャンピオンに手が届くまであと一歩というところまで何度も到達しています。

2015年には背中のけがが悪化した時期もあり、シーズンの半分の欠場を余儀なくされていました。しかし、その後見事にカムバックを果たし、先ほども記載していますが、翌年の2016年にはCTの総合2位まで昇り詰めています。いずれ、ジョーディースミスがグランドチャンピオンに輝く日は遠くはないかもしれません。

ジョーディースミスが普段使用しているボードブランドは、昔はJSのボード、最近ではアルメリックのボードを使っているようです。ボードサイズは6.2フィート~6.3フィートと身長と同じくらいで、幅は19インチ弱、そして厚みは2と1/2フィート。使用しているフィンはフューチャーの物を使っています。

続いて、ジョーディースミスのスポンサーについてですが、2007年にスポンサーとしてナイキとオニールからそれぞれ契約の誘いがあったそうです。ナイキのほうが契約金は高かったにも関わらず、彼はオニールと契約を結んでいます。その理由として、「オニールのスタッフがいい人ばかりで何度も会いに来てくれたから」と語っていました。また、オニールのスタッフはみなサーファーだったようで、その点からも「オニールのスタッフのほうが打ち解けた」と語り、お金よりも大事なものがあったというところには彼の人柄が感じられます。

その後、メインスポンサーとして基本契約金100万でドルレッドブルとも契約を結びました。さらに、彼はサングラスではオークリー、サーフボードではチャネル・アイランズ、フィンではフューチャーとも契約しています。その他にもGPSサーフィン会社のトレースやシューズ会社のブランドブラックとも契約を結んでおり、まさに、実力も収入もトップクラスのアスリートです。

プロからも絶賛される類い稀ない技術

ジョーディースミスは、その類まれなる体格の良さからパワー系のサーフィンをします。それだけにとどまらず、その巨体からは想像もできないような華麗で鮮やかなトリックを決めることもできる、唯一無二のサーファーです。そんな彼の技術は、同じプロのサーファーをも魅了してしまうほどです。

ジョーディースミスには、トレーニングをつけてもらったクレイトン・ニーナバーというコーチがいました。彼はジョーディースミスと同じく南アフリカの出身です。ミックファニングやケリースレーターのサーフィン理論を学び、ジョーディースミスの他にも、トラビスロギーを育てたことで知られています。サーフィンの技術を理論化したトレーニングで知られ、世界中で引っ張りだこのコーチです。

クレイトン氏は、日本のNHK『奇跡のレッスン』という番組に出演したことがあります。その中でクレイトン氏は『サーフィンは簡単である』という彼の理論に基づき、日本の子供たちにサーフィンを教えていました。また、2019年にクレイトン氏のパートナーである、越谷健さんと日本のプロサーファーである脇裕史さんが「Corrective Surf‘n’ Fitness オンラインサロン」というサロンも開設しています。クレイトン氏の教えである『サーフィンは簡単である』という考え方を基に様々なコンテンツを配信しており、現在でも精力的に活動されています。

東京オリンピックでサーフィンが公式種目として選ばれ、ジョーディースミスは南アフリカ代表として出場が決定しました。サーフィンを通して南アフリカの存在がアピールできる良いチャンスだと、彼は語っています。

ちなみに東京オリンピックにおける日本の代表選手については、いまだにほとんど決定していません。唯一出場が確定しているのは、男子の五十嵐カノア選手です。近年の五十嵐カノア選手のサーフィン界での功績は目覚ましいものがあります。ぜひ、東京オリンピックという場で五十嵐カノア選手とジョーディースミスの対決を見てみたいものです。このコロナ渦で東京オリンピックの開催がどのようになるかはわかりませんが、開催されればジョーディースミスの名前が東京オリンピックでフォーカスされるのは間違いないでしょう。

まとめ

昨今のコロナ渦の影響で、今までのように世界中を飛び回ってサーフィンをすることができなくなってしまいました。しかし、こんな状況でもジョーディースミスは母国の南アフリカでサーフィンを楽しんでいるようです。

今までCTのせいで非常にタイトなスケジュールをこなさなければならなかった彼からすると、この移動制限がかかった現在の状況は、自分のホームでサーフィンを楽しむ絶好のチャンスといえます。今後もジョーディースミスの行動には目が離せません。

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