知ったら必ず欲しくなる。スケボーをするときにVANSの靴が選ばれる理由とは?

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▲イメージ画像

ストリートファッションにおける人気ブランドのひとつ、VANS。その知名度は「ABCマート」が販売権を獲得して以降、日本国内でも急速に高まったといえます。そんなVANSのスニーカーは、スケートボードをする際の定番シューズとしても愛されています。

VANSってこんなブランド

出典:楽天

スニーカーブランドとして知られるVANSは、1966年にポール・ヴァン・ドーレン(Paul Van Doren)が友人たちと一緒に設立したブランドです。

カスタムオーダー式

当時としては珍しい、カスタムオーダー式の受注生産をコンセプトとしていたVANS。カルフォルニア州アナハイムのブロードウェイ通りに、一号店をオープンしました。

その珍しい販売方式と「オーセンティック」と呼ばれるメイン商品のシンプルなデザインが徐々に話題を呼び、人気を集めていったVANS。その評判は当時カリフォルニアを中心に人気のあったスケートボード界隈にも知れ渡ることになります。

1970年代

「スケートボーダー御用達」というイメージが強くなり、ブランド側でも商品展開においてそのイメージを利用。その結果、現在のVANSに対するストリートブランドとしてのイメージが生まれたといえるでしょう。

1980年代以降

必ずしも順風満帆とはいえない時期もありましたが、ストリートブランドとしてのイメージを壊さなかったVANS。世界的に有名なブランドになってからは、スニーカーにとどまらない幅広いアパレル商品の展開を開始しました。現在では靴やTシャツ、靴下などのアイテムが日本でも販売されています。

コラボレーション

さまざまなカルチャーとのコラボレーションや、支援を積極的に行っているVANS。とりわけスケボーやサーフィンをはじめとしたスポーツとのコラボレーション、音楽フェスの開催などはブランドとしての知名度を上げる要因となりました。そのため、現在のVANSはスニーカーブランドの域を超え、カルチャーのひとつとして認識されています。

有名スケートボーダーが着用

もともとはカスタムオーダー式の受注生産をコンセプトにしていたVANS。このことからも分かるように、VANSそのものは必ずしもスケボー向けのブランドとして設立されたわけではありませんでした。

スケートボーダー集団「Z-BOYS」

VANSにスケボーのイメージを付加したきっかけのひとつが、有名スケートボーダーによるVANS商品の使用です。とりわけ1970年代に、カリフォルニアで絶大な人気を誇っていたスケートボーダー集団「Z-BOYS」がVANSのスニーカーを愛用したことは、のちのブランドとしてのイメージを決定づける一因になったといえます。

そんなZ-BOYSのなかでも、特に人気の高かったメンバー「トニー・アルバ(Tony Alva)」もまた、1970年代の早い時期からVANSのスニーカーを愛用。彼はVANSのスニーカーをただ履くのではなく、自分の好みに合わせてセルフカスタマイズをしたことから、VANSの魅力を広く知らしめるきっかけを作ることになりました。

トニー・アルバ

トニー・アルバが愛用していたVANSのスニーカーは、人気モデルであったオーセンティックの履き口に綿入りのパッドを入れたものです。このカスタマイズ方法は、以後多くのスケーターに真似されることになります。

VANS側でもこのことをブランド展開に利用し、1976年発売のトニー・アルバのセルフカスタマイズモデルを参考にデザインされた「#95 エラ(Era)」は、ブランドの新たな定番商品のひとつになりました。

スリッポンの誕生

これ以降も、VANSではスケートボーダーを意識した商品展開を行いました。これは、現在でも主力商品のひとつとなっている「スリッポン(1979年発売開始)」の誕生にもつながります。このことから、VANSの躍進には有名スケートボーダーによる使用が、大きく関係しているといえるでしょう。

ものづくりに対する真摯な姿勢

出典:楽天

どのような状況にあっても、商品の品質を落とさないことをブランドの理念に掲げてきたVANS。それまでの成功から一転して、1980年代に訪れるブランドとして初めての経営危機と、それに付随する創業者ポール・ヴァン・ドーレンのエピソードからも見て取れます。

経営状況の悪化

1970年代に順風満帆な時期を送ったVANSは、1980年代に入るころにはカリフォルニアだけで70店舗近いショップをオープンするほどの成功を成し遂げ、スケボー以外のカルチャーとのつながりも密接になりつつありました。

しかし、1980年代初めに創業者のポール・ヴァン・ドーレンが事業から手を引くことを決断すると、経営状況は急速に悪化。ショップ数を増やしすぎたことなどが原因となり、1984年には経営破綻を余儀なくされてしまいます。ブランド再建が急務となったVANSは、裁判所からの命令にしたがう形で再度ポール・ヴァン・ドーレンを社長として招き入れました。

民事再生法の適用を受けることを決断し、同氏は全従業員に対して大幅なコストダウンが必要になるといいました。また、3年間の昇給を期待しないこと、靴などの商品のクオリティを絶対に下げないことを伝え、ブランドの再建に乗り出します。

わずか3年で負債を完済

VANSは計画通りわずか3年で、1,200万ドルといわれる負債の完済に成功。そのあいだも、商品の品質に関しては一貫して下げない姿勢を保ち続けたことから、VANSに対しては「ものづくりに対する真摯な姿勢を崩さないブランド」というイメージがもたらされます。

のちのVANSは、スニーカー以外の商品展開も積極的に行うことになります。その戦略が功を奏したのも、こうした経験によって得たブランドそのものに対するポジティブなイメージが、大きな要因になりました。

スケートボードのために作られたPROライン

今でこそスケボーに特化したものにとどまらない、多種多様なデザインの靴を販売しているVANS。しかし、その歴史を語る上では、やはりスケボーカルチャーとの関係について言及しないわけにはいきません。

PROライン

VANSがスケボーカルチャーに迎合する形で開発したスニーカーのひとつとして挙げられるのが「PROライン」と呼ばれるシリーズです。現在のPROラインシリーズには、スリッポンタイプ、ハイカットタイプなど、数多くのモデルがありますが、もともとはスケボーをする際に履くことを考えたデザインです。

デザイン

デザイン面での大きな特徴のひとつが、ポリウレタン素材を使用したクッション性の高いインソールです。程よい弾力があるこの素材は、スケーターの足腰への負担を軽減するだけではありません。足でボードをコントロールする際、じゃまにならない点でも魅力があります。

耐久性

耐久性が高い点もPROラインの魅力のひとつ。これは特殊な製法で、靴の外側のラバーをしっかりと密着させるためです。強いダメージが加わりやすい小指が当たる部分などの強度は、非常に高くなっています。

裏地

裏地に綿を使用した生地を用いているため、履き心地がよい点もPROラインの魅力です。PROラインシリーズには、シンプルなクラシックデザインが採用されています。そのため、さまざまなファッションアイテムに合わせやすいというメリットがあります。

まとめ

現在ではスケボーに限らず、サーフィンや音楽などのさまざまなカルチャーと深いつながりがあるVANS。しかし、その歴史をさかのぼると、その魅力はスケボーカルチャーとのつながりによって培われたものであることが分かります。これからスケボーを始める、あるいは既にスケボーを楽しんでいる方は、そんなVANSのスニーカーを購入して、モチベーションを高めるのもおすすめです。

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