「オーリー」はスノーボードでジャンプしたり回ったりする「グランドトリック」の基本となる技です。習得すればスノボ仲間に自慢できるだけでなく、スノボをさらに楽しめます。今回は、「オーリー」のコツややり方を解説。ぜひ参考にしてみてください。
スノボのグラトリをはじめよう!
スノーボードに慣れてきたら、回転やジャンプなどのトリックに惹かれるもの。ここでは、「グラトリ」と呼ばれるグランドトリックの中でも基本的な技、「オーリー」を紹介します。
全てのジャンプトリックの基本「オーリー」とは
オーリーは、グランドトリックのジャンプ技、ジャンプ台で高く飛ぶための基礎となる必須の技術です。オーリーとは、テール部分(ボードの後ろ足よりさらに後ろの部分)の反発力を利用して跳ね上がるトリックのこと。しなったテール部分が元に戻ろうとする反発力(フレックス)を生かして高く跳ね上がります。
理解しておかなければならないのが、「オーリーは両足ジャンプではない」ということです。普通ジャンプするというと両足で踏み切って跳ね上がるイメージを持つため、スノボで跳ぶ場合も、両足で踏み切る人が多くいます。しかし、スノボのジャンプにおいて、この認識は間違いです。高さを得るためには、最大限に反発力を生かすタイミングや体のバランス、後ろ足の踏み込みを計算しなければなりません。
ノーリーとの違いは
オーリーとはまた別のテクニックで「ノーリー」という技があります。ノーリーはボード先端のノーズ部分で雪面を弾き、跳ね上がるトリックです。オーリーとノーリーは逆の関係にあると考えてください。
やり方もオーリーと似ています。ノーリーをする時に意識すべきは、前足(レギュラーなら左足)で踏み切る時に進行方向に向かって跳ぶイメージを持つことです。斜め前へ跳び出すように踏み切れば、バランスが取りやすくなり、真上に跳ぼうとすると、うまくボードを使えずに高さが出づらくなります。
ノーリーはスピン系のトリックで回転のきっかけを作るのに必要となるため、ぜひ習得しましょう。また、オーリーを逆スタンス(後ろ向きで滑る状態)でやるのは「スイッチオーリー」、ノーリーを逆スタンスでやるのは「スイッチノーリー」または「フェイキーオーリー」と呼びます。
オーリーのやり方を動画で解説
オーリーにこれから挑戦する人や、なかなかオーリーができず悩んでいる人もいるのではないでしょうか。そんな時は動画を観ながらイメージトレーニングもおすすめです。ここでは、おすすめの動画を紹介します。
スノーボードのオーリー、練習のコツ|初心者でも順を追ってすぐできるようになる!
こちらは、オーリー初心者必見の動画です。以下趣旨をまとめました。
オーリーはボードのフレックスを利用してジャンプする技です。オーリーがしっくりこない人は、フレックスを利用できていません。滑走している時にボードをしならせて止まれるぐらいフレックスを利用しましょう。
そうなればもうオーリーをマスターする寸前です。止まった状態からジャンプすると、フレックスを利用することになるので、もはやオーリーです。あとはそれらしく修正しましょう。ボードが浮く際に同時に両膝を引き付け、前手を振り上げます。
ボードをしならせ、止まった状態を一瞬にすれば、オーリーのカタチになります。後はゆっくり滑りながら練習して、少しずつスピードをつけましょう。とにかくボードをしならせて止まれるようになりましょう。そこからジャンプすればオーリーです。しならせて止まる練習は、1畳ほどのスペースがあれば自宅でもできます。
オーリーのやり方スローで解説 ハウツースノーボード動画 グラトリ89
瀧澤憲一さんによるオーリー模範演技を、スローモーションで解説している動画です。練習のポイントを挙げると以下のような流れです。ぜひ参考にして、繰り返し練習しましょう。
- 0:16〜「跳ぶ前に重心を前足へ移動」
- 0:18〜「膝を曲げて重心を落とし姿勢を低くする」
- 0:21〜「膝を伸ばすと同時に後足に重心を移してオーリーをかけていく」
- 0:24〜「後足から頭まで一直線に伸び上がり身体の軸を作ることでテールの反発を生み出す」
- 0:27〜「上半身をしっかりと持ち上げ、膝をできる限り引きつけて小さくなろう」
- 0:30〜「着地をしっかりと見て確認し、膝で着地の衝撃を吸収して完成」
オーリーの練習は段階的に進めよう
動画によって具体的なイメージを掴んだら、次は実践的な練習です。ですが、いきなりボードをつけて斜面で練習するのは非効率的です。難易度も高く、正しいフォームが確認できません。ここでは、どういった流れで練習を進めればいいのかを解説します。
最初はボードを付けずフラットな場所で
最初からボードをつけたままの練習だと正しい動きが体得しにくいので、まずはボードを付けずに平坦な場所で、体の動きを確認しましょう。
- 基本姿勢でスタンバイ。
- 軽く膝を曲げ、低めの姿勢になり真っ直ぐしゃがむ。
- 左肩ならびに左手を進行方向に向けて引き上げる。
- それと同時に左膝を曲げたまま右足だけ伸ばして真上に跳びあがり、足の裏全体を使い雪面を踏むように跳ぶ。
- 両膝を引き上げる(ボードをつけていると反発で浮き上がる)。
- 着地を見越して足を伸ばす。
- 膝を使って衝撃を吸収。
この時注意しなければならないポイントが3つあります。まず1つ目は、「左膝を曲げたままでやる」ことです。右足につられて伸ばしてしまわないようにしましょう。そして、「左肩と左手を同時に勢いよく引き上げる」ことと、「右足だけで踏み切ったら直ちに両膝を引き上げる」のを忘れずに行いましょう。
慣れたらボードを付けて緩斜面で練習
ボードを付けない状態で動きの感じをつかんだら今度はボードを付け、停止の状態で緩やかな斜面で練習しましょう。
- 基本姿勢でスタンバイ。
- 膝を軽く曲げて姿勢を低くする。
- 左肩左手をノーズの方向に引き上げる。
- それと同時に左膝、左足首に力を入れて曲げたまま、右足だけ伸ばして跳び上がる。
- ボードが浮き上がったら、両膝を引き上げる。
- 着地を見越して両足を伸ばす。
- 両足で着地する。この時、膝を使って衝撃を吸収する。
ジャンプ台にも挑戦!
これらの練習に慣れてきたら、ジャンプ台にも挑戦してみましょう。ジャンプ台は、「キッカー」という名前で呼ばれることもあります。ここではジャンプ台でのオーリーの流れを紹介します。
- エッジはかけずに、リップに向かってまっすぐ進む。
- 両肩を高い位置でキープしながらしっかりと踏み切る。
- 両膝を引き上げる(ボードをつけていると反発で浮き上がる)。
- 両足で着地する。この時、膝を使って衝撃を吸収する。
オーリー180、360で回転もマスター
次なる段階は、ボードを180度回転させるオーリー180(ワンエイティ)と、1回転させるオーリー360(スリーシックスティ)です。これまで紹介した基本を習得すれば、その延長線上に自然と見えます。以下そのやり方について見ていきましょう。
- ヒールエッジでフラットに近いカービングターンをし、少し回転方向の反対に上半身を回しておく(先行動作)
- 上半身を回転方向に引き上げ、できるだけフラットに近いヒール側で踏み切る
- 空中では可能な限り板を引きつけ、股関節や膝を曲げる
- 細心の注意を払って着地する
エッジを立て過ぎず、トゥからヒールに切り替え始めます。ヒールに乗れば板が真っ直ぐになるまで、オーリーの先行動作をし、オーリーをします。エアのピークで引きつけ、小さい姿勢になれば高さが出て安定します。着地する際は、体をひねらないことが好ましいです。
安定して180ができるよう、少しずつ回転を強くし高さを上げます。270度ほどで着地しても、ヒール側なので転びにくいです。反発をしっかり引き出して回しましょう。1回転できるようになったらそのまま360の完成です。
オーリーで高く飛ぶコツ4選
高さのあるオーリーはかっこよく、憧れている人も多いはず。ここでは、オーリーの高さを出すコツを紹介します。
重心移動をしっかりマスターする
オーリーでは重心の移動が大事です。ボードに乗っている時の重心を前足4に対して後足6程度を意識して膝を曲げ、腰を落としましょう。この時ボードをフラットにすることを必ず意識してください。また、頭の位置が、ボードからできるだけはみ出さないように注意しましょう。
腰を落とすときに、前かがみになって「くの字」にならないように気をつけます。アプローチ姿勢から前肩前足を引き上げつつ、後足でボードを一瞬踏み込みましょう。一瞬踏み込むと、テールがしなります。そのしなったボードが戻ろうとする反発を利用して、膝を抱えるように下半身を上半身へ引き付けます。後足で一瞬踏み込む場合に、後足でジャンプする意識を捨ててテールをはじくイメージで、素早くポンッと踏み込むような、後足で立ち上がるようなイメージでやりましょう。
高さを出すことばかり考えない
「オーリーに高さがでない」人は、一旦高さを意識することをやめて、まず常日頃のフリーランから見直しましょう。いかなる斜面でも、そこそこボードのコントロールをしながら転ばず滑れるようになれば、オーリーにも自ずと高さが出ます。バランスよくボードを扱える人ほど自在に力強く踏み込めるのです。
動きを頭で理解したら後は実践あるのみです。まず平坦な場所でボードを装着してテールのフレックスを感じてみましょう。後足の踏み込みと同時に上半身を伸ばし切ることで、ボードの反発がそのまま高さへと変わります。次に空中で、伸び上がった上半身に両膝を引き寄せればさらに高さのあるオーリーに。
衝撃に耐える
オーリーの着地の際は、引き上げた足を下ろすことが肝心です。足を引き上げたままにしてしまうと、着地の際の衝撃をそのまま受けてしまいます。膝のクッションを柔らかく使って、しっかりと着地するようにしましょう。着地の衝撃に耐えてこそ、オーリーがかっこよく決まります。
繰り返しの練習が必要
理屈は分かっているのに、なかなかオーリーが上手くできないと悩む人もいるのではないでしょうか。しかしオーリーは、繰り返し練習すれば必ずできるようになります。
リフトで上がった先の平坦で緩やかな傾斜はオーリーがやりやすいため、練習場所にぴったり。また、滑走してリフト乗り場に行く時にスピードを緩めますが、そんな瞬間もオーリーがやりやすいです。こまめにオーリーの練習を続けていきましょう。
オーリーの次に挑戦したいグラトリ
オーリーはグラトリの基本的な技です。ここでは、オーリーを習得したら次に挑戦すべきグラトリを紹介します。
ノーリー
この技はオーリーとは異なり、前足を使ったジャンプです。ボードのしなりを上手に使用することで、高く飛び上がれます。
フェイキー
別名、スイッチと呼ばれるグラトリで、利き足とは反対の足で滑ることです。飛び上がることはありませんが、習得するとグラトリが連続して繰り出せます。
ジャンプターン
ジャンプターンとは、ターン中にエッジをずらさず両足でジャンプすること。これを身につけると、踏み切りや着地の際の安定にも繋がります。
スノボでジャンプトリックを楽しもう
今回は、スノーボードのグランドトリックの基本となるオーリーについて、そのメカニズムと初歩的な練習方法、そしてそれを生かした応用技まで紹介しました。動画などを参考にしながら、カッコいいオーリーをいつでもどこでも決められるように練習に励んでみてください。