サーフボードで目立つ形を持つ「フィン」は、見た目で選ぶケースもありますが、もちろん単なる飾りではありません。このフィンですが、意外とサーフボードの性能を決めるもので、知れば知るほど奥深いものです。ここでは、フィンの種類や自分に合ったフィンの選び方などについて解説します。
フィンの役割
サーフボードのフィンとは、どんな役割を担っているのでしょうか。フィンはサーフボードの方向を変えるのが役割のひとつです。しかし、フィンは他にもプレイにさまざまな影響を与える特性を持っています。
主な特性は、以下の「ドライブ性」「ピボット性」「ホールド性」「リリース性」といった4つです。
・ドライブ性
進行方向へ加速している状態でターンを行う際「どれだけスピードが維持できるのか」を指し、フィンのベースの長さや素材、表面積によって決まります。ベースが長くて大きなフィンだとドライブ性が強まり、逆にベースが短くて小さくなるほど弱まります。
・ピボット性(回転性)
ターン時の円弧の長さを表し「ピボット性能が高い=小回りが効く」ということです。スイープの角度やフォイル、フィンの高さなどで決まります。スイープが小さいほどピボット性能が小さくなり、スイープが大きいほどピボット性能が大きくなるのが特徴です。
・ホールド性
ボードが水面にしっかりと吸い付くような安定感を示します。性能が良いほどターン時にスリップやスライドしづらくなり、レスポンスも良くなります。
・リリース性
波に入れたフィンを海面から外したり、抜いたりするなど、動作のしやすさに影響し、センターフィンのサイズやスイープの角度などで変動します。センターフィンが小さいほどリリースしやすく、通常のセッティングであればリリースしにくい傾向です。
フィンの種類
フィンの種類には、さまざまなものがあり「枚数」「形状」「サイズ」「素材」などによって種類が異なります。
●枚数
・ツインフィン
中級者以上向けで、センターフィンがないために動かしやすいのが特徴。大きめのフィンは安定感が増します。
・トライ(3枚)
最も一般的なタイプで、安定性や回転性、直進性で総合的なバランスの良さが特徴であるため、スキルレベルを問いません。
・クアッド(4枚)
スピードが加速しやすいうえに、小さな波の細かい動きにも対応し、幅広いスキルで利用可能です。また、4枚のフィンの位置を変えることによって、スラスターやツインフィンに近い性能を得ることができるのも面白い点です。
・5フィン
1つのサーフボードで、トライとクアッドの2通りのセッティングが可能な構造になっており、トライとクアッドを両方買うよりはお得に購入できるのがポイントです。また、当日、現場で波のコンディションを見てからどちらにするか決めることができるのも便利な点です。
●形状
フィンの形によっても大きく性能は変わります。
・PERFOMER
最も幅広い用途で使えるフィンなので、まずはこれを選ぶと間違いがないでしょう。
・REACTOR
回転性が高く、タイトターンやスナップといった技をかけやすいのが特徴で、さまざまなコンディションやボードに幅広く対応する万能なフィンです。
・CARVER
フィンの角度が最もきついのが特徴で、ホールド性、加速性が高く、オープンフェース(すぐに崩れない急斜面の波)に適しているため、上級者向けのフィンです。
・ACCELERATOR
フィンの面積が一番大きい形状になっていて、大きめの波に向いており、PERFOMERとCARVERの中間のフィンです。コントロールができる中級者以上向けです。
●サイズ
自分の体重を目安に、以下のサイズを選択してみてください。
・X-SMALL:55kg未満
・SMALL:55~70kg
・MIDIUM:65~80kg
・LARGE:75~90kg
・X-LARGE:85Kg以上
●素材
フィンは、その硬さの違いやしなり度合いにより、ドライブ性などに大きな影響を及ぼします。しなりやすいフィンはコントロールしやすいため、勢いが弱い波や小さな波に向いていて、初心者向けです。
硬いフィンは、レスポンスが良く速いターンができるため、高いテクニックを見せるのには最適で、脚力のある方や中級者以上向けといえるでしょう。ここでは、FCSⅡのフィンの素材について、やわらかい順に確認していきます。
・GLASS FLEX
最もしなりやすい素材を使用していて、お求めやすい価格のため、初心者におすすめです。通常、サーフボードを買うとついてきます。
・NEO GLASS
グラスフレックスの素材に軽量なファイバーグラス素材を混ぜているもので、しなりやすさを持ちつつ、ある程度の固さがあるため、レスポンスが良いのが特徴です。
・NEO CARBON
ネオグラスにカーボン素材を混ぜることにより、軽量で反発力の強い素材となっています。後述のPCよりもしなりがあり、コントロールしやすいのが特徴です。
・PC (PERFORMANCE CORE)
ファイバーグラス素材を使用していて、ドライブ性、スピード性、コントロール性の総合的なバランスが優れていて、ライディングの安定感が得られます。
・PCC(PC CARBONE)
その名の通り、パフォーマンスコアにカーボン素材を混ぜたものです。パフォーマンスコアの軽量さに反発力を持つカーボンの組み合わせで、高いレスポンス性と大きな波でのホールド感を実現しています。中級者以上向けです。
・PG(PERFORMANCE GLASS)
最も硬い素材ですので、オンフィンに近い感覚が得られます。そのため、高いレスポンス性を誇っており、海外のダイナミックな波に挑戦したい上級者向けの素材といえます。
自分に合ったフィンの選び方
フィンを選ぶ要素としては「今持っているサーフボードがどんな種類か」「自分の体重以外に、自分の今のスキルに合ったフィンを選ぶ」といったことが大切です。例えば、以下のような点をあらかじめ分析しておく必要があります。
・どんな波の質に向かって進んでいくのか
・どんな大きさの波に向かっていくことを想定しているのか
・自分のプレイに必要な性能(回転性やドライブ性など)は何かなど
先述したフィンの役割や、種類を確認したうえで選びましょう。
代表的なメーカー
フィンの代表的なメーカーは、大きく分けて2つあり、それぞれ特徴があります。
FCS社
FCS / FCSⅡは、素材やサイズなどのバリエーションが豊富であり、初心者でもフィンが選びやすいのが特徴となります。初心者の場合、コントロールしやすいフレックス性の高い(しなりやすい)フィンがおすすめです。
そのため、素材はグラスフレックスやネオグラス、形状はオーソドックスなPERFORMERで、サイズは自分の体重を基準に探すとよいでしょう。
FUTURES社
FUTURESは、オンフィン(ボードにくっついているタイプ)に極限まで近づける構造となっているフィンです。素材のバリエーションはあるのですが、形状の種類はFCSと比べると少ないため、初心者にとっては選びづらく、その点では中級者や上級者向けのブランドと言えます。
まとめ
今回は、フィンの主な役割や自分に合った選び方、代表的なメーカーなどについてご紹介しました。今まで「色やデザインで選んできた」という方は、自分がやりたいプレイに合ったものを選んでみることも方法のひとつです。
種類が多すぎてよくわからない方も、まずはフィンの性能の違いなどを理解してみましょう。レンタルや知り合いから借りるなどして様々なフィンを試し、自分に合ったフィンを見つけてみてはいかがでしょうか。