波に乗ることはもうできてきたので「次はカットバックをマスターして波に乗れる時間を長くしたい」「初心者サーファーから抜け出したい」と考える方も多いのではないでしょうか。ここではカットバックの練習方法や、思わずやってしまった失敗などをご紹介し、カットバックを上達するためのコツを説明します。
「カットバック」ってどんな技?
「カットバック」とは、波のピークに向けて進んでいる所からサーフボードの進行方向を180度変えて、波の底に向かって進んでいくことです。大きな波に乗ったままスピードを上げて加速した後、波のピークよりも先に出てしまい、波に乗ることができなくなることがあります。
もう一度波のピークへ戻る時に必要なテクニックがカットバックです。必要なのは、速いスピードと高いコントロール能力。さらに、バランスを保ち続けるスキルも必要となるため、基本的なスキルを身につけた上でチャレンジする中級者向けの技です。
このように説明すると難しそうに聞こえますが、段階的に手順を踏んで練習し、一歩一歩確実にマスターして行くと習得できます。カットバックの技を身につけることにより、さらに長いライディングが可能となるため、サーフィンの楽しさが倍増するでしょう。
基本的なやり方と練習法
ここでは、カットバックの基本的な方法について簡単に説明します。カットバックで最も大事なことは、ターンするタイミングを見極めることです。波のトップに立ってからカットバックを狙いに行く時には既に遅く、タイミングを逃してしまいます。
波のボトムに乗っている状態で「どのタイミングでカットバックをして理想のポケット(波の勢いがある場所、パワーゾーンとも言います)に行けるのか」をあらかじめ予測しておくことが必要です。
トップに向かう際に「波が崩れようとする場所がどこになるのか」しっかりと観察しましょう。まずは、トップに向かって上がっていく際に、ひざを曲げて重心を低く保ちます。そこから右側に回る場合は、右手で水面にタッチし、逆側の左手を前に出しながらボードを回転させて方向転換していきます。
ここで前足を踏み込みすぎると倒れてしまうため、足のバランスを保つことを意識しましょう。その後は、予測先のポケットに向けて手を出して進んでいきます。そのとき、ひざは伸ばさずにそのまま腕を横にしてT字型の状態でキープ。手を振り回しすぎないようにしつつ、下半身の体重を移動させることを意識します。
カットバックでは、180度ターンしなければいけません。しかし、いきなり半回転するのは難しいため、まずは90度のターンからチャレンジしてみましょう。確実にマスターしたら次第に目標とする角度を大きくして行き、最終的には180度ができるように目指します。
実践で練習をするためのまとまった時間が取れなかったり、海まで遠くなかなか行けない場合は、スケートボードを使った練習がおすすめです。波の上では1回あたりの練習に時間をかけることになりますが、スケートボードであれば、短い時間で何度でも繰り返し練習できます。
スケートボードに乗って滑ることと、サーフボードに乗って波の上で進むことは体の動きが似ています。スケートボードに乗りながら、ひざを曲げたり体の重心を低くして滑ったりすることで、カットバックのときに形作るべき姿勢が次第に身についていくでしょう。
また、実践練習ではスピードをつけることが大事です。しかし、あまりにも波が早すぎるとついて行けず、だからといってスピードに乗らなければカットバックはできなくなります。
そのため、波をよく観察しながらタイミングを計ることを意識しましょう。
初心者が思わずやってしまう失敗例
初心者の場合、きれいに長く割れている波を見ると、長い間滑りやすくなるため、そちら側を選びがちですが、それだとカットバックの練習になりません。ポケットを意識しながら練習しましょう。
また「ターンしている時間が短い」というのも、初心者が陥りがちな失敗です。アマチュアならターンしている時間は0.5秒間ぐらいですが、選手は1秒間ぐらいかけてターンしており、結構長い時間が必要となります。
また、いくらやってもなかなかカットバックがうまくできない方は、スピードに乗りやすくするために、幅の広いボードを選んでみるというのもひとつの方法です。ロングボードだと長くて重いので、波のピーク部分にボトムを当てて切り返すことのがかなり困難になります。
さらに初心者が陥りがちな失敗は、動画を手本にしようと思うあまり「有名サーファーの動画を参考にしてしまう」ということです。ハイレベルなサーファーがショルダーだけでカットバックを行っている動画を観ると、タイミングを見誤ってしまいます。
そのため、動画を参考にしたいのであれば、初心者向けにレクチャーしているものがおすすめです。
意識すべきポイント
カットバックで最も意識すべきなのは、先を予測して理想のポケットに行けることです。そのためには自分が今いる位置を常に正確に把握し、波の動きを観察して「どの方向にカットバックするのか」を早めに判断しましょう。
観察する波の部分ですが、あくまでもトップではなくボトムがポイントです。ボトムを見ていると、波が厚くなっていくことがわかります。集中するがあまり視野が狭くならないように気をつけなければいけません。
視野を広くすることを意識すると、波全体を見ることができます。とにかく経験を積み重ねて何度も見ると、ベストなタイミングを見極めることができるでしょう。
また、カットバックでもうひとつ大切なのは、正しい姿勢でキープし続けることです。カットバックでは、後ろ足の使い方が重要となります。しかし、人間は後ろ側の動作が苦手なので、自然とできるものではなく動いている最中の姿勢を意識しておくことが必要です。
後ろ足から上半身までまっすぐな軸が伸びているイメージで、それを崩さないようにサーフボードと垂直に保った状態を意識してください。さらに、手を横に広げてT字型を保つことも大事です。よく綱渡りで手を真横にするポーズを目にします。
これは「人間が自然とバランスを取りやすいポーズ」を表しています。また、ターンの際には手だけではなく、体重による移動を意識しましょう。ひざを折り曲げた状態でT字型のポーズをしばらくの間続けていると、ももの部分が震えてきてつらく感じる場合もあるかもしれません。しかし、それぐらい姿勢を保ち続けるのが上達のコツです。
まとめ
今回は、以下の内容について解説しました。
・カットバックとはどんな技なのか
・カットバックができるようになるためには何をすれば良いか
・初心者が陥りがちな失敗例など
カットバックによってより長く波に乗ることができます。サーフィンの楽しさがより増すため、初心者から脱却したい方にはぜひともマスターしたいテクニックのひとつです。
プレイスタイルとしても格好いいものですが「スピードが乗った状態で180度回ったり波の動きを注意深く観察しながらタイミングを図ったりするのは難しそう」と感じる方もいるのではないでしょうか。
ターンなどの基本的なスキルを確実にマスターした後、ご紹介したカットバックのコツを踏まえつつ、ぜひ挑戦してみてください。