一言にスキーといっても、その滑り方のスタイルはさまざまです。ゲレンデを滑走するスポーツを一般的にアルペンスキーと呼び、滑りながら、さまざまな技を披露する競技をフリースタイルスキーと呼びます。今回はその代表的な技であるバックフリップの練習方法を紹介します。
スキーに慣れたらフリースタイルスキーの技に挑戦
オリンピックで、ハーフパイプやモーグル選手が華麗に技を決める映像を見たことがある人は多いでしょう。スキーヤーであれば憧れるであろう、フリースタイルスキーとはどういうものなのか紹介します。
フリースタイルスキーとは
フリースタイルスキーとは、スキーで滑走しながら、さまざまな技を行う競技です。単に滑るだけでなく、魅せるスポーツという要素が強くなります。バックフリップ、ツイストといった空中での技を見ていると、ルールを知らない人でも、楽しむことができます。
普通に滑ることに慣れてきたら、ぜひフリースタイルスキーにも挑戦してみましょう。
いきなり難しい技に挑戦するのは難しいですが、このあと紹介する『初心者向けフリースタイルスキーの技の練習法』を参考に、ぜひ練習してみてください。
オリンピックで行われる5種目の内容
世界中で、若者を中心に人気のある競技で、オリンピックやワールドカップ、世界選手権の競技として開催されています。2018年現在で、オリンピック競技として採用されているフリースタイルスキーは5種目で、モーグル、エアリアル、ハーフパイプ、スキークロス、スロープスタイルです。
- モーグル
コブが連続した斜面を滑り降り、途中にある2カ所のジャンプを行う競技です。日本人選手では、平昌オリンピックで原大智選手がメダルを獲得しています。 - エアリアル
キッカーという反り返ったジャンプ台でジャンプし、技や高さを競います。器械体操の跳馬に似ており、それをゲレンデで行うというイメージです。 - ハーフパイプ
半円筒形のスロープで、ジャンプや回転などの空中で技を行う競技です。2014年のソチオリンピックで正式種目となりました。 - スキークロス
4人1組で行う競技で、さまざまな地形やアイテムのあるコースを滑り、その順位を競う競技です。 - スロープスタイル
ジブというレールやボックスなどのアイテムと、ジャンプ台を使ってのジャンプで競います。スロープスタイルも2014年のソチオリンピックから、正式種目となりました。
初心者向けフリースタイルスキーの技の練習法
フリースタイルスキーを始めるにあたって、初めての人におすすめの練習法を紹介します。
まずはストレートジャンプを練習
ストレートジャンプの習得は、フリースタイルスキーの中でも基本中の基本です。
まっすぐと前に進みながら、そのままジャンプするという練習を繰り返しましょう。ポイントは、後傾姿勢になりやすいので、前傾姿勢を意識することです。
スキーの基本姿勢と変わりませんが、浮遊感を感じながらジャンプするコツを掴んでおくと、このあとに練習する回転やグラブを習得する上でスムーズに練習できます。
イメージできたら、キッカーでのストレートジャンプに挑戦しましょう。真上に伸びるようにして、足裏全体が同時に地面から離れるように飛ぶイメージを持ちます。
次に横回転180、360を練習
ジャンプしながら空中で180度回転することを180(ワンエイティ)、一回転することを360(スリーシックスティ)といいます。
180の回転のポイントは、右回りの場合は飛んだら左手を、左周りの場合は右手を引くようにして、上半身を誘導すると回転しやすいです。その時に、目線は手についていかないように、首は固定しておきましょう。目線も後ろにいってしまうと、着地タイミングが分かりづらく、難易度が増します。
360は、初心者にとっては1つの目標でしょう。180ができるようになれば、コツは同じで練習あるのみです。180のときよりも、踏み切りの後に、より強く体を回すようにしましょう。
異なる点はただ1つで、目線も一緒に後ろへついていくようにすることです。
スキー板をつかむ基本の技グラブを練習
空中でジャンプしたときに、板を掴むことをグラブといいます。グラブにも、どのように掴むかで技の名前が異なり、難易度も全く変わるといえます。
最も難易度が低いといわれるのは、セーフティグラブです。右手で右足(または左手で左足)のスキー板を掴む技です。ストレートジャンプした空中でグラブするだけで、フリースタイルの雰囲気が出るでしょう。
グラトリの中でも重要なスライドに挑戦
スライドは、進行方向に対して板を横向きにして滑ることをいいます。
スライドは地味に見えますが、これを難なくこなせるようになることは大切です。体重移動や、滑りながらバランスをとれるようになることは、このあと、さまざまな技を練習する上での基礎となります。グラトリ(平らなバーンでする技のこと)の中で、最も大切といっても過言ではありません。
基本の技を習得したらバックフリップを練習
バックフリップは、3Dエアといわれる縦回転系の空中技の中で、大会等でも披露されることの多い技の1つです。ぜひチャレンジしたいですよね。
バックフリップとは
バックフリップを日本語で表現すると、「後方宙返り」です。後ろ向きに、頭が体より下になる宙返りをします。
失敗したときには、頭や首への衝撃が大きいので、危険性を伴います。練習は自己流でするのではなく、練習施設やプロのレッスンを受けることをおすすめします。
バックフリップが得意な日本人選手
バックフリップを披露する選手は多いですが、中でも男子モーグルの原大智選手、元女子モーグル選手である里谷多英さんの技は圧巻です。それぞれどのような選手なのか、紹介します。
<男子モーグル:原大智>
平昌オリンピックの男子モーグルの決勝で第3位に入り、銅メダルを獲得しました。決勝戦の第2エアで、バックフリップを華麗に決めています。
原選手は、小学校6年生の頃にモーグルをはじめ、16歳のときには、単身カナダへスキー留学をしています。
- 名前:原大智
- 生年月日:1997年3月4日
- 出身地:東京都渋谷区
<女子モーグル:里谷多英>
長野オリンピックで金メダル、ソルトレイクシティオリンピックで銅メダルと、2度もオリンピック表彰台に登っています。小学校5年生でモーグルを始め、全日本選手権では何度も優勝経験があります。
- 名前:里谷多英
- 生年月日:1976年6月12日
- 出身地:北海道札幌市
バックフリップの練習方法
まずはゲレンデではなく、トランポリンでフリップ、バックフリップの練習をしてみましょう。つまり縦回転の感覚を、体に覚えさせるということです。
その次のステップとしては、プールを使います。ウォータージャンプ、つまり踏み切る練習を行い、水に飛び込みます。失敗した場合でも危険性は低いプールでは、そのまま後ろにバタンと倒れる練習から始め、慣れてから踏み込んで一回転する練習に移るといいでしょう。
これらの練習をしても着地のイメージが持てないという人が多くいます。ブーツを前に蹴り出すイメージを持って、最後の着地イメージを作りましょう。
フリースタイルスキーの技を練習できる施設
トランポリンやウォータージャンプで練習することをおすすめしましたが、実際に埼玉県と大阪府の施設を紹介します。
関東、埼玉。西武園ゆうえんち
3時間3,800円、1日4,500円で思う存分に練習できるウォータージャンプ施設です。レッスンも開講されているので、始めての練習にもぴったりですね。
営業は春〜秋頃までなので、スキー場のシーズンインまでにしっかり練習することができます。
- 施設名:西武園ゆうえんち
- 住所:埼玉県所沢市山口2964
- 電話番号:04-2923-1119
- 公式ページ
関西、大阪。大阪ウォータージャンプO-air
大小9つのジャンプ台があり、初心者〜上級者まで、あらゆるレベルの人が練習することができます。また、トランポリンもあるのでバックフリップの練習を思う存分にできます。
- 施設名:大阪ウォータージャンプO-air
- 住所:大阪府大東市大字龍間1981-11
- 電話番号:072-869-1115
- 公式ページ
練習ではバックプロテクターやヘルメットをつけよう
バックフリップはじめ、さまざまな技の練習には危険性を伴います。身を守るために、できる対策をしておきましょう。
バックプロテクター、ヘルメットの必要性
スノーボードの初心者の人もよくつけるバックプロテクターは、腰を守ってくれますよね。バックフリップの練習にも、これは必須です。
またバックフリップは逆さになる動きを含んでいます。つまり、頭から落下することがあり得るので、ヘルメットも必須です。
バックプロテクターやヘルメットは、体をけがから守ってくれるだけでなく、練習中の余裕にもつながるでしょう。万が一うまくいかなくても、うまく着地できなくても、体を守ってくれるという安心感のもと練習できます。せっかくのフリースキーなので、練習も楽しめる方がいいでしょう。
おすすめバックプロテクター 「SALOMON FLEXCELL MEN」
体を守ってくれるバックプロテクターですが、動きが制限されてしまうと嫌ですよね。サロモンのFLEXCELLは、いろんな角度の動きに対応しながらも、転倒してしまった際の衝撃から身体を守ってくれます。快適性は保ちつつ、しっかりと強度があるので安心です。
おすすめヘルメット「SWANS H-45R」
スノーヘルメットのエントリーモデルで安全性、快適性、そして簡単に着脱することができます。3カラーあるので、ウェアの色にあわせて選びましょう。
まとめ
フリースタイルスキーはいろいろな技がありますが、バックフリップは誰もが憧れる技の1つでしょう。しかし、難易度が高いことはもちろんのこと、危険性を伴う技であることは忘れてはなりません。時間をかけて、慎重に練習を重ねてみてください。